鉄則!企画書は「1枚」にまとめよ パトリック・G. ライリー, Patrick G. Riley, 池村 千秋 おすすめ平均 シンプルで非常にわかりやすい Amazonで詳しく見る |
「企画力」のなかに「企画とは人と組織を動かす力」という言葉があった。そう、「企画」とは企てるものであり、その企てによって人と組織が動くものでなければならない。
私達は安易に「企画書をつくる」とか「企画書出して」などと言う。しかし、それらのほとんどは企画書ではないだろう。たんなる計画書、提案書にすぎない。
さて、本書はそんな「人と組織を動かす」ための企画書をつくるためのフレームを与えてくれる。それは1枚の紙にまとめるというものだ。
1枚の企画書で人と組織が動くのか?
ここでも私達は「企画書」は何十枚という色鮮やかなシートや、図解が踊るものだという先入観があるのではないだろうか。それを著者は真っ向から否定する。
企画を判断する立場にいる権力者・実力者にはじっくりと読んでいる時間などない。だから簡潔にまとめなければならないと著者は言う。「人と組織を動かす」ためには「決定」を下さなければならない。「判断」しなければならない。「決定」や「判断」を下すために必要なすべてのことを1枚の企画書に盛り込むのだ。
「1ページ企画書」の構成は8つのパートから成り立つ。
本書ではそれぞれ8つのパートをどのように作っていくのか、どんなところに注意を払わなければならないのかということを詳しく解説してくれている。解説を読みながら、今、自分自身が考えている企画を整理していくと、1枚企画書の外観はできあがる。
なるほど、確かにこの1枚企画書はMECEだ。この8つのパートを意識し、それらを1枚にまとめらえるよう絞込み、そぎ落としていくという作業を行うことで、その企画の強み、弱みも書き手にはわかってくる。物凄く単純なフレームではあるが有効かもしれない。
本書には、著者が実際にビジネスの現場で提出した1枚企画書が数多く掲載されている。これらを見るだけでも、本書を買う価値はあるのではないかと思う。
さて、この8つのパート、順番は何も「企画書」だけにしか使えないかというとそれはもったいない気がする。たとえば、何かしらのオリエンやヒアリングの後、クライアントの意図や考えていることをこのフレームに沿ってまとめられれば、それは非常に的を得た議事録にもなるのではないか。クライアント側から見た場合にもオリエンシートやRFPなどをつくるときに、このフレームでまとめるという手もあるかもしれない。