2004年04月26日

鉄則!企画書は「1枚」にまとめよ

鉄則!企画書は「1枚」にまとめよ
パトリック・G. ライリー, Patrick G. Riley, 池村 千秋



おすすめ平均
シンプルで非常にわかりやすい

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企画力」のなかに「企画とは人と組織を動かす力」という言葉があった。そう、「企画」とは企てるものであり、その企てによって人と組織が動くものでなければならない。
私達は安易に「企画書をつくる」とか「企画書出して」などと言う。しかし、それらのほとんどは企画書ではないだろう。たんなる計画書、提案書にすぎない。

さて、本書はそんな「人と組織を動かす」ための企画書をつくるためのフレームを与えてくれる。それは1枚の紙にまとめるというものだ。
1枚の企画書で人と組織が動くのか?
ここでも私達は「企画書」は何十枚という色鮮やかなシートや、図解が踊るものだという先入観があるのではないだろうか。それを著者は真っ向から否定する。
企画を判断する立場にいる権力者・実力者にはじっくりと読んでいる時間などない。だから簡潔にまとめなければならないと著者は言う。「人と組織を動かす」ためには「決定」を下さなければならない。「判断」しなければならない。「決定」や「判断」を下すために必要なすべてのことを1枚の企画書に盛り込むのだ。

「1ページ企画書」の構成は8つのパートから成り立つ。

  1. タイトル
  2. サブタイトル
  3. 目的
  4. サブ目的
  5. 理由
  6. 予算
  7. 現状
  8. 要望
  • タイトルとサブタイトルは、企画全体を簡潔に定義する。
  • 目的とサブ目的は、企画の意図を言い表す。
  • 理由は、提案する行動が必要とされる根拠を説明する。
  • 予算は、お金の問題に触れる。
  • 現状は、いまの状況を解説する。
  • 要望は、企画書の読み手にどういう行動を取ってほしいか具体的に書く。
この8つは順番も変えてはならないと著者は言う。この8つを簡潔に、そして完全に満たし、1枚の紙にまとめる。「1枚」というのも絶対だ。1.5枚でも2枚でも駄目。「1枚にまとめる」という制約が、「企画意図をはっきりさせ、余計なものをそぎ落とし、落とし穴を見つけ、思考を研ぎ澄まし、提案を完璧に売り込めるようになるという利点」があると言う。

本書ではそれぞれ8つのパートをどのように作っていくのか、どんなところに注意を払わなければならないのかということを詳しく解説してくれている。解説を読みながら、今、自分自身が考えている企画を整理していくと、1枚企画書の外観はできあがる。
なるほど、確かにこの1枚企画書はMECEだ。この8つのパートを意識し、それらを1枚にまとめらえるよう絞込み、そぎ落としていくという作業を行うことで、その企画の強み、弱みも書き手にはわかってくる。物凄く単純なフレームではあるが有効かもしれない。

本書には、著者が実際にビジネスの現場で提出した1枚企画書が数多く掲載されている。これらを見るだけでも、本書を買う価値はあるのではないかと思う。

さて、この8つのパート、順番は何も「企画書」だけにしか使えないかというとそれはもったいない気がする。たとえば、何かしらのオリエンやヒアリングの後、クライアントの意図や考えていることをこのフレームに沿ってまとめられれば、それは非常に的を得た議事録にもなるのではないか。クライアント側から見た場合にもオリエンシートやRFPなどをつくるときに、このフレームでまとめるという手もあるかもしれない。

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