2004年12月02日

旅行版グーグル 大手サイト追撃

日経産業新聞に「旅行版グーグル大手サイト追撃」という記事。

旅行版グーグルとは何のことはない横断型の旅行サイト検索エンジンだ。

AOLが買収したカヤックは60を超える「ネット予約サイトが提供する航空運賃やホテル宿泊料などの価格情報を一覧表示する」横断型の旅行専門検索サービス。

旅行サイトは各社独自でホテルや航空会社と提携し、価格競争にしのぎを削っているため、サイトのよって宿泊料金などが大きく異なる場合が少なくないらしい。そのため、利用者は平均3~4の旅行サイトを見比べて予約しているという調査結果もあるとのこと。

カヤックのようなサービスを利用すれば、利用者はあちこちの旅行サイトを比較検討する手間が省ける。

カヤックは実際ちょい使ってみたのだが、最初はかなり重い。串刺しで検索して、マージしたりするためだろうか。ただ、一度設定が決まってしまえば、比較検討はすこぶる快適だ。

トラベロシティ登録ユーザー4400万人。2003年度売上高は40億ドル
オービッツ契約航空会社 455者、レンタカー会社22社
エクスペディア全米4位の規模
プライスライン2003年度売上高1200万ドル

こういうサービスは別に目新しくはない。日本でも古くからある。技術的には進化しているけれど根本のモデルは同じだろう。

横断型の比較検討サイトとしては「価格.com」や「アラジン」、「ECナビ」「ベストプライス」も同じようなものだろうし、ディプが買収した「ジョブエンジン」なども同系サービスだろう。 ビジネスモデルは微妙に違うけれど、これらのモデルが行き着くのたいていの場合、広告費だ。利用者から利用料をとるというモデルは成立しないだろう。PPCのようなモデルか、アフィリエイトのような成功報酬に近いモデルとなる。(トクーは、利用者からお金を徴収して成功しているけど、これはちょっとモデルが違うだろうし)

ただ、「旅行版グーグル」が他の分野に比べて魅力的なのは、「旅行」という体験中のその選択肢の多さと、各イベント間での連携の複雑さにあるのではないかと思う。行く場所から期間、移動手段、交通手段、目的、食事、イベント、予定.... 「旅行」をデザインするのはけっこう大変だ。いくつか選択肢があって、どれかを選べば良いというだけに留まらず、1つの選択にはさまざまなイベントが関係してくる。 これらまで処理できれば、それはたいそう便利なものだと思う。

旅行検索エンジンは確かに便利だが、各旅行サイトポータルもほったらかしにしておくわけがない。横断型旅行検索サイトにとって、旅行会社各社からクロールを拒否されてしまうとどうしようもなくなる。スクレイピングだけでは限界だろう。個人的に楽しむレベルを超えて(どの範囲を言うのかはよくわからないが)、スクレイピングで集めたデータを素にしたデータベースは、おそらく著作権にもひっかかる。

旅行検索エンジンが人気
http://hotwired.goo.ne.jp/news/business/story/20041130106.html

こちらの記事では「トラベロシティ社、オービッツ社、エクスペディア社は、クローラーによる巡回を許可する検索エンジンをこれまで以上に厳しく選別し、一部の検索エンジンに対してはデータの利用を禁止した。」とある。大手旅行会社のデータが使えなくなれば、横断検索の意味はほとんどなくなる。 ま、しかし最終的に勝つのは、利用者が本当に便利だと思うサービスだろう。いくら大手が牽制をしてきても、横断型の旅行検索サイトがきちんとユーザーに理解され、それがユーザーにとって欠かせないものになれば生き残るだろう。

そういえばTravelXMLの実証実験も着実と進んでいるようだ。TravelXMLによって標準化がなされることは、旅行業界全体にとって益になるのだろうが、当然第三者がこれらのデータを利用しようと思うと課金されるだろうなぁと。

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categories [ ネット・ウェブ関係 ] 2004/12/02 10:27