サイバーエージェントの「近距離手当」の目的

日本経済新聞「会社とは何か」より。

数年前から顕著になってきた傾向として会社に入っても短期間で退社していってしまうという現象。大卒者の二割が職に就かず、入社後三年で約三割が離職らしい。
若者が会社での自分の居場所、働く意義を見失いつつあることが原因だと言う。
最近の若者は所属する職場や集団を「ウチの会社」ではなく、「ウチら」と呼ぶそうだ。


こういった若者たちを取り込み、新しい連帯感の構築を目指す事例として、サイバーエージェント(CA)の「近距離手当」制度がとりあげられている。この制度は面白い。

ストックオプション目当てなどで集まった人材の流出に悩んでいたCAでは「組織力を高めるのは仲間意識」として、東京渋谷の本社から二駅圏内に住めば毎月三万円を補助する制度を導入した。これにより社員の四割が半径二キロのエリアに居住。もちろんこの制度だけが功を奏したわけではないだろうが、離職率は18%から8%に激減したそうな。

CAの離職率が8%というのは知らなかった。もっと高そうなイメージがあったのだけれどな。「近距離手当」がもたらしたものは、「ウチら」意識の強化だろう。この記事には「ウチら」を「仲間と共に働き、成長を実感できる場という意味が込められている」と分析している。職場から同僚がみな近いことにより、大学のサークルに近いノリが形成されるのだろうか。

社内の制度みたいなものはただつくれば良いというものではなく、その制度が人の考え方や働き方にどんな作用を与え、組織にどんな化学変化をもたらすのかという視点が必要だなと思う。ただ、今は人材の流出がどこも激しいので、ついつい「従業員満足度の向上」みたいなところばかりを目指した単なる「甘やかし」制度がつくられていき、失敗するのではないかと思う。CAの「近距離手当」は、ただ従業員の満足度をあげるという目的ではなく、その制度によって従業員の連帯感の醸成を見越しいるという意味では良い制度なのだろうと思う。

※従業員の満足度を上げる、という意味では、「マネジメントの正体」の一節『生産性が高まるから満足するのであって、その逆ではないらしい』をボクは信じている。制度としても生産性を高めてやること、大きな仕事に取り組め、責任を与えられること、そういう環境を生み出すのに役立つ制度を考えていきたいと思っている。

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コメント

  1. ウチラ主義

    なんか、いつも、papativa.jpさんのブログを引用しちゃって、
    なんだか、papativa.jpさんに、片思いみたいですが、(笑)

    http://papativa.jp/archives/000540.html

    さすが、マーケティ...

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