2005年08月24日

なぜ、就業規則を変えると会社は儲かるのか?

これまた新幹線の中で読んだ本。実は今ちょーど社内のルールの見直し、改訂を行っているところだったので、タイトルに惹かれて買ってしまった。

なぜ、就業規則を変えると会社は儲かるのか?―ヒト・モノ・カネを最大に活かす6つのヒント
4804716769下田 直人

大和出版 2005-08
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休日は「法定休日」と「所定休日」にわかれる。
労働基準法では休みは「1週間に1日与えればいい」ということになっている。この1日が「法定休日」だ。「法定休日」の労働は、35%の割増賃金になるが、「所定休日」の労働は、通常の時間外労働となるので、25%の割増で済む。

休みには「休日」と「休暇」がある。「休日」はそもそも労働義務がない日だ。「休暇」とは本来労働義務があるけれども、会社のほうでその労働義務を免除する日を指す。就業規則では「休日」と「休暇」をしっかり使い分けておく必要がある。「休暇」はそもそも労働義務がある日なので、その日に休まずに出勤した場合でも、労働義務が免除されなかっただけなので「休日出勤」にならないわけだ。
「年末年始休暇」や「夏期休暇」などがそうで、これらは「休日」ではなく「休暇」にしておかなければならない。

なんてちょっとした労務の基礎知識を説くと、悪く言うと経営者がルールの盲点をついて、従業員を搾取するみたいな、感じで受け取られてしまうかもしれない。

もちろんこの本は、そういうことを書いている本ではない。就業規則をきちんと整備することで、最終的には社員のモチベーションを向上させ、売上をアップさせていくということを目的としている。

しかし、それにもやはり段階がある。まずは「リスク管理」という面だ。どうしても人数が増えてくれば、人間関係でやっかい事が増える。会社にとってはリスクが大きい人材だってくるだろう。就業規則は、まずそういう事態に対して、会社としてどのようなリスクヘッジがとれるかというところからスタートする。
「休日」「休暇」の問題でいくと、ここを曖昧にしていると下手すると「休日」の多い社員のほうが、少ない社員より賞与配分が多くなってしまうなんていう頓珍漢なことが発生したりする可能性もある。

現実の働き方と就業規則がまったく即してないというのも「リスク」だ。こういうったところをまず解消していきましょうというのが最初。
これをクリアしたら、会社の理念やポリシーを強化していく、従業員のモチベーション向上につながるような制度を盛り込んでいける。
本書であげられているのは「裁量労働制」や「リフレッシュ休暇」「誕生日休暇」などなどだが、問題は、それらの制度ではなく、その制度の考え方が共有されているかどうか。就業規則なんて堅苦しい言葉でルールだけを書くものかと思っていたけど、そんな必要はなく、わかりやすい言葉で、その制度が存在する理由は、理念みたいなものも説明したって構わない。むしろ説明しなければならない。きちんとそういう背景みたいなものも文章化し、明文化するからこそ共有できる。

この考え方は、就業規則のつくりなおしを行ううえでとても参考になった。入社直後に少し読むだけで、後はそんなものがあるということさえも殆ど意識されない形だけの就業規則。現実とのズレにびくびくしながら、労働基準法違反をどうかいくぐるかという視点だけでつくりこまれた就業規則。そんな就業規則ではなく、真の意味で会社の重要なルールが定められ、誰もがそれらのルールや背景を理解できるもの。そういう就業規則をつくらなければならない。

内容自体は「目からウロコ」というような類のものではないけれども、この前読んだ『「儲かる仕組み」をつくりなさい』でもそうだったけれども、何かしらの目的達成のためにルールを敷くというのは一つのマネジメントと捉えなければならない。であれば、会社と従業員の間のルールとして最も根本的なものは就業規則であり、ここを蔑ろにしているということはそもそもマネジメントしてないとも言える。そこを明確にすることで、会社が発展するということはおそらくありえることだろうと思う。

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categories [ 読んだ本や雑誌 ] 2005/08/24 09:29