「1秒!」で財務諸表を読む方法―仕事に使える会計知識が身につく本

「1秒!」で財務諸表を読む方法―仕事に使える会計知識が身につく本
「1秒!」で財務諸表を読む方法―仕事に使える会計知識が身につく本小宮 一慶

東洋経済新報社 2008-01-25
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社長の机にこの本があった。
社長は元々会計士を目指して勉強してた時期もあったぐらいなので会計には詳しい。財務にも明るい。なのにこんな本を読んでるのかと、ちょっと吃驚した。
社長がこんな本を読んで勉強しているのだから、これはボクも勉強しておかねばと思い、すぐに手にとった。
しかし、いくらなんでもタイトルの「1秒で読む」というのは煽りすぎだろう。中身が面白いのに胡散臭くなる。
書いてあることの殆どは理解している(つもり)のことばかりだったけど、改めて重要なポイントを絞って理解するのは無駄ではないなと思う。いくつかしっかりと理解しておきたいポイントを列挙してみる。
  • 純資産(資本)の調達コストは株主の期待利回り
  • 株主の期待利回りは「国債金利+α」
  • 純資産の調達コストをCAPM(Capital Asset Pricing Model)と言う
  • WACC(Weighted Average of Cost of Capital)とは、負債と純資産の調達コストの加重平均のこと。WACCが高ければ当然、株主からは高いリターンを期待される。
  • ROA(資産利益率)=利益[営業利益]÷資産 はWACCより高くないといけない。
花王がカネボウの化粧品部門をほとんど借入金で買収したのは、借入金を増やし自己資本比率を下げることでWACCを下げる狙いがあった。トヨタが多額の有利子負債を抱えるのも、WACCを下げるため。

外資ファンドが狙うのは「自己資本比率」が高く、「ROE(自己資本利益率=純利益÷自己資本)」が低い会社
ROEで使う「利益」は必ず税金を払った後の「純利益」。株主から与った資金の利益率を計算するから。株主に帰属する利益は税金を払った後の利益(=純利益)だから。

ROA > ROE
ROEはROAを高める/財務レバレッジを高める(資産÷純資産)で挙げることができる。つまり、自己資本比率が低ければ低いほど、同じ利益でもROEは高まる。
なので、経営においてはROAを重視すべき。

子会社とは貸借対照表や損益計算書で、親子間の取引を相殺した上で、各勘定科目をすべて合算する先のこと。一方、関連会社とは、各勘定科目は合算せず、「持分法」が適応される場合には、その持分に応じた損益が、損益計算書の「営業外損益」に計上される関係。

損益計算書での「売上原価」とは「売れた分だけの製造原価」。1年間に「製造した」製品にかかった費用は「製造原価」。売れ残った製品は貸借対照表の「棚卸資産」に計上される。
つまり、製造原価⇒棚卸資産⇒売上原価の順。

財務会計」(Financial Accounting)は、外部に対して定められた基準に基づいて開示することを目的とした会計
税務会計」(Tax Accounting)は、税金を計算するための会計。
管理会計」(Managerial Accounting)は、企業内部のパフォーマンス(業績、成績)を把握するための会計

借金の限度⇒借入れから現預金を引いた「ネット(純額)の借入れ」が、その企業の年間の付加価値(売上―仕入れ)を超えると資金繰りは苦しくなる

全部原価計算直接原価計算
全部原価計算の場合、在庫を増やしたほうが利益が増えるという欠点がある。
製造原価に固定費分を按分するので、同じ製品をたくさん作ったほうが1点あたりの製造原価は下がる。棚卸資産は増えるが損益計算書上の利益は表面的に増えてしまう。
こういう欠点がありながらも、全部原価計算が利用されるのは、特に製造業のパフォーマンスを正確に把握するためには必要だから。

直接原価計算はいわば「管理会計」上の概念。
売上―変動費=限界利益 / 限界利益―固定費=利益
固定費を在庫に資産として計上しない。
直接原価計算の問題は、変動費と固定費をどこで分けるか「固変分解」が難しいところ。
また、固定費をすべて期間費用として捉えるので、製造原価の正確な把握が難しい。製造業のように固定費において減価償却費の率が大きいような業態の場合はなおさら。

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