Twitterの価値
ここのところ、Twitterブームが再燃している。
いや、ブームとか再燃というよりは、Twitterがようやく一部のギークやマニアのものから一般のネットユーザーにも広がりを見せ始め、FacebookやMySpaceなどと同じようにネットの新たな定番ツール&サービスへの道を歩み出したということだろう。
そして、利用者が一定ラインを超えたことで、人々がリアルタイムに吐き出すつぶやきが、実はとんでもない価値を持っているということに気づき始めたというのが、今の状況なのだろう。
多くの人が指摘してるように、Twitterはただのマクロブロギングサービスではなくなり、それはリアルタイムのニュースメディアであり、世界規模のクチコミツールであり、またリアルタイムに軸足を置いたとてつもない可能性を秘めた検索エンジンだったのだ。
ニューヨークのハドソン川での旅客機の不時着事故の速報は一般の人によってTwitterに投稿された。(ねとらぼ:米国の旅客機不時着、Twitterに“速報” – ITmedia News))
Gmailの大規模障害の際も、Twitterには多くの関連投稿がなされ、これら世界規模のリアルタイムの投稿によってその障害の規模や範囲がリアルタイムで明らかになっていった。
「今」何が起きてるかを知るには、Googleの検索では不十分で、Twitterのほうが正しく求めてる結果を返してくれる。TechCrunchはそのことを的確に指摘している。
・Twitterについてはそろそろ検索エンジンとして考えるべきだ
・私はTwitterをマイクロ・ブログ・サービスだと考えていると説明した。膨大な感情―苦情などがそこに吐き出されている。
・最近、企業の製品やサービスについての体験をリアルタイムでTwitterに投稿するユーザーがますます多くなっている。
・一般ユーザーはニュースを検索している。企業は製品やサービスへのフィードバックを検索している。これらはすべて大きな価値がある情報だ。
Ad Innovatorでも「リアルタイム検索分野ではTwitter検索のトラフィックが、GoogleのBlog検索を超えつつあるというチャート」が紹介されている。
・Ad Innovator: ブログ検索でTwitter検索がGoogle Blog検索を超えた?
リアルタイム検索とソーシャル検索という2つのトレンドが、検索分野を大きく変えつつあり、Googleにとって脅威になるのでは?
・メディア・パブ: Twitterが再噴火、ソーシャル分野ではGoogleを追い抜く勢い
Twitter自身は、今日のこのような姿をきちんと思い描いていたようだ。
去年の7月にTwitterはSummize(現Twitter Search)という検索エンジンを推定1500万ドル前後で買収している。
SummizeはTwitterのつぶやきをリアルタイムで検索する検索エンジンだ。
(確定情報:Twitter、検索エンジンのSummizeを獲得)
当時も今もだが、Twitterには明確なビジネスモデルが見えておらず、収益源もほとんどない状態である。2008年6月に3回目の資金調達ラウンドを完了し1500万ドル程度(あくまでも推測)を調達してるとはゆえ、これは思い切った買収だ。
当時は、Twitterのシステムの不安定さにネガティブな意見が飛び交ってた頃だったので、ボクは、調達した資金は主にインフラやシステム増強、改善に向けられるものだと思っていたので、この買収は少し意外だった。
・メディア・パブ: 米SNSのダウンタイム,最悪はTwitterだが急激に改善へ
・Twitterの開発者のくせにそりゃないだろ
SummizeがTwiiterの切り札になるとは、この買収時点で想像している人はほとんどいなかったのではないだろうか。自身では検索エンジンの開発は厳しいので、最も使い勝手の良いTwitter検索エンジンを買収した、ボクの認識はその程度であって、「リアルタイム検索」という分野の可能性はまったく想像もしてなかった。
Twiiterのエヴァン・ウィリアムズは、Twitterに寄せられる「今」を語る膨大なつぶやきに、検索の価値があるということをしっかり見抜いていて、そこを中心としたビジネスモデルを組み立てることを考えていたのだろう。
だから、ビジネスモデルについて聞かれても、今は収益モデルは考えておらず、サービスの価値を高めることに注力しているというような曖昧な態度をとり続けていたのだろう。
さすがと言うか、したたかというか。
外野からも広告モデルや有料の法人アカウント、ツール類の有料化など、様々なビジネスモデル案が上がっていたけれど、「リアルタイム検索」の可能性について、当時言及していた人は皆無ではないか。
では、この騒がれてる「リアルタイム検索」だがこれはほんとに可能性があるのだろうか? ボクらはどんな時に「リアルタイム検索」を利用するのだろうか。
当然、何か大きな事件や問題が起きたときは、GoogleよりもTwitterになるかもしれない。
また、新商品や新サービスなどについての人々の感想もTwitter検索のほうが速いかもしれない。あるいはライブや何かしらのイベントの感想や状況もTwitterのほうが速いだろう。
GoogleもTwitterのつぶやきをオンタイムでインデキシングすることは可能なんだろうけど、逆にTwitterは、Googleを始めとする他の検索エンジンのクローラーに制限をかけて、リアルタイムの検索は不可能なようにしてしまえる。(すでにやってるらしいけど、詳細は知らない)
Googleも、まさかTwitterが検索エンジンとして台頭してくるとは思っても見なかっただろう。Jaikuを買収したのも(先ごろ、Jaikuはオープンソース化されたけど)、こういったリアルタイム検索のためのコンテンツ基盤を考えたわけではなく、あくまでも、マイクロブロギングの1つとして、Googleの対応が遅れているソーシャルネットワーキング分野の1つのサービスモデルとして獲得しただけだろう。リアルタイム検索の可能性に気づいていれば、どうにかしてでも、Jaikuの利用者数を増やす、Twitterの利用者数を増やさないようにする、という戦略をとったのではないか。
FacebookやBeboといった巨大SNSもTwitterと同じようなサービスを提供しようとしているが、Twitterがよほどシステム的に不安定で、まともに使えないような状況がない限りは、おそらくTwitterの成長はそのままの勢いが持続するだろう。
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