目には目を、歯には歯を

随分昔に書いた文章その
今後、ちょっとずつ、いろんなウェブサイトに分散していたものをこちらで一元管理するつもり。で、こんな駄文も。

目には目を、歯には歯を

「目には目を、歯には歯を」なんておそろしい言葉だなぁとふと思う。この言葉はハンムラビ法典の196条と200条に由来している。

「もしある市民が、他の市民の目をつぶすならば、彼の目をつぶさなければならない」(196条)

「もしある市民が、彼に対等の市民の歯を打ち折るならば、彼の歯を打ち折らなければならない」(200条)

#もちろんちゃんと調べたわけではないので、ほんとにそうかどうかはとり
#あえず責任はもてない。

しかし同じような意味の法令を2つも用意するなんて、よっぽどこいつらは復讐心の強いやつだったのだろう。196条と200条の間の3つの条項も気になるところだ。
でも、今回はそんなことを調べるためにこんな話を持ち出したわけでもないので、あとは自分で調べて頂きたい。

「目には目を、歯には歯を」を下敷きにして、さてさて、ここで言う、前者の「目」あるいは「歯」と、後者の「目」「歯」のどっちが辛いかってことを問題としたい。
精神的には当然前者だろうが、あくまでも肉体的な痛みとしてなら、これはもう確実に後者に違いあるまい。
おそらく前者の「目」が潰されたり、「歯」が折られたりしたときってのはまさか自分がそんな目に遭遇するなんて思ってなかったりすることが殆どなのではないか。知らぬうちにそうなったときとも痛みは同じようなもんだろうが、

骨を折ったり、
爪を剥いだり、
完全に乾燥しきっていないカサブタをむいたり、
弁慶の泣所で思いっきり金属バットを蹴ってみたり、
瞼と眼球の間に針を刺し込んだり


なんてことを「意識的」にやったりするぐらい強靭な精神を持った人間なんてそうそうはいないだろうが、そういう目にあってしまって、痛くて痛くてたまらない状態を耐え抜く人は、過去には居たに違いない。
何を言いたいのかよくわからんが、まぁ、自分で自分の腹を切った日本人ってのはすげぇなぁーと思う。

んでもって、Aさんに目を潰されたり、歯を折られたりしたBさんは、その仕返しにAさんの目を潰したり、歯を折ったりするわけだけども、そのときの Aさんの恐怖足るや想像を越えるものがあるなぁと思うのだ。

“そうなる”と分かっていながら抗えない
ということの精神的な辛さとは想像以上のもんだろう。

大学の時、毎日20時間ぐらい寝ているC山という男がいた。
この男、Dというやつのマンションに居候して、いつのまにかDの寝床のベッドを占拠してしまった。ほとんど大学にも行ってなかったC山は、ベッドの上でほぼすべての生活をすませていた。便所と飯に行く以外はずっとごろごろである。

その日は、僕もDの部屋でごろごろしてたのだが、いつものようにベッドはC山が占拠していた。
そのC山の寝姿があまりにも気持ちよさそなので、ちょっと悪戯がしたくなった。

寝ているときのC山の寝息は比較的ストロークの長いもので、大きく息を吸って….深呼吸みたいな感じなのだ。そのストロークで、C山の鼻は大きく開いたり、閉じたりする。
息を吸う-鼻が開く。息を吐く-鼻を閉じる。この繰り返し。僕も暇人で、しばらくその見事の鼻穴の開閉めをしげしげと眺めていたのだが、ふと手にしていたタバコを見てひらめいた。

タバコの先には、今にも落ちそうな火種の塊が赤々と燃えている。
線香花火の最後を思わせるような微妙なバランスを保っていた。

うーむ。どうしても試してみたい。

一度湧き上がった欲望を抑えきれることなく、僕はそーっとそのタバコを C山の鼻に近づけていった。

そう。大きく息を吸い込むタイミングで、この火種が吸い込まれていく様が見たかったのだ。ほら掃除機とかかけているときに、ちょっとしたゴミが、吸引機にするすると吸い込まれていく様って、なんかうれしくないですかね?
(僕だけか?)

途中で火種が落ちてしまっては元も弧もない。
熱湯をなみなみと注ぎすぎてしまったカップヌードルをこぼさぬようこぼさぬよう運ぶときと同じぐらいの慎重さで、火種をC山の鼻に近づける。

その瞬間である。

まるでスローモーションを見ているようだった。

C山が大きく息をすったその瞬間に、ほんとに火種がすっと鼻の穴に吸い込まれていったのだ。感激! まだまだ燃え盛りの火種?は、C山のちょっと大き目の鼻穴に吸い込まれた。

それから1秒か2秒だろうか。

一瞬時間がとまったかのうような瞬間だった。
あまりにも完璧なその光景を見てしまった僕といえば、もう完全に思考停止である。

いきなりC山が飛んだのだ。
ほんとに飛んだと思うぐらい。飛び起きたのだけど、これまた今まで見たことのない飛び起き方で、ほとんど空中浮遊である。麻原もびっくりだろう。

ウ■ぎゃ◎×?あ2▽×ia$%ai

C山は言葉にならない叫び声をあげた。

C山にしても青天の霹靂。何が起きたのかわからず、この男にしてみればえらく動揺している。

「いたたたったたた。なんじゃぁーこりゃ」

どうやら鼻に問題ありとわかったC山。既に火種は飛び起きた勢いで鼻からは転がり落ちて、若干の灰がベッドを汚す程度だった。 C山は鼻に指をつっこんで、、、、、、

「うわーーーー。鼻毛がないぞーーー」

というような事件の顛末なのだが。この後がたいへんだった。

こんな仕打ちされたら、誰だって怒る。
でもC山は怒らないやつなのだ。怒らないとわかっていたからこそこんなことができたのだが。

C山はとにかく自分にもやらせてくれ!とせがむのだ。
僕がその光景がまるで天国かと思えるぐらい見事だったことを、口八丁手八丁で説明すると、
「俺も見たいっちゃ、見たいっちゃ」
「おまえ、早く寝ろ。寝ろ。寝ろ。俺、やりたい。やらせて」
「あ、じゃぁ別にほんとに寝なくてもいいっちゃ。寝ているフリしてくれ。お願い。でも、大きく息を吸いこんで吐いてを繰り返さないと駄目っちゃ。」
あれだけの仕打ちをうけていながら、なぜかお願いモードのC山。あほだ。

うーむ。「目には目を、歯には歯を」である。
C山の場合、復讐心というよりは興味本位なのだが….

C山の場合、寝ていて意識してないからいいのだ。やられるとわかってて寝られるわけがない。

それ以降、僕はC山の前で寝顔を晒していない…..

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