東京大学のアルバート・アイラー―東大ジャズ講義録・歴史編

東京大学のアルバート・アイラー―東大ジャズ講義録・歴史編 (単行本)
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これはもうむちゃくちゃ面白かった。でも、この面白さというものが、ボクが本書に出てくるようなジャズ史においてメルクマールとなるような作品群を聴いたことがあって(幸いなことに本書で紹介されているアルバムの大部分を持っていた。単にミーハーなんで、有名なアルバムを順番に買っていったからなのだが。)なんとなくは知ってるからのものなのか、いや、そうでなくて全くジャズに興味も関心もなくても、本書を読めば、あるいはこの講義を受講すれば興味が沸いてきてしまうものなのか、そのところが正直よくわからない。なので万人にはお奨めできないのだが、でも、多少なりとも音楽史や社会論、あるいはジャズそのものに興味がある人なら十分愉しめるだろうとは思う。

内容は東京大学で行われた「現代商業音楽史」の講義の収録で、講義の本流は50年代~70年代におけるジャズの歴史とその変遷となっている。

ジャズの歴史は全く知らないというわけでもなく、主要なミュージシャンの師弟関係や、誰がどこのグループにいて、いつどうなってみたいな大まかな流れは、ボクもある程度は知ってはいたのだけれど、本書・本講義で語られるような背景や潮流はまったく理解していなかった。

バップの勃興とバークリー・メソッドの関係性や、バップの極限化からモードジャズの誕生、そしてジャズというジャンルそのものの衰退。そしてMIDIの登場とモダニズムの終焉。

今までの音楽史観ではあまり言及されることのなかった無関係に思える事象を「商業音楽史」あるは、モダニズムそのものの成立と衰退という歴史に位置づけるという視点はすごく新鮮だった。

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