エコポイント申請ページはForce.comらしいが。

エコポイントの申請フォームはSalesForceが提供するForce.comというプラットホーム上で作られている。このフォームは開発は1.5ヶ月で済んだそうだ。

エコポイントの交換や申請始まる、Force.com使ったシステムで受け付け – ニュース:ITpro

いちおう整理しておくと、SalesForceはSaaSで、Force.comはPaaS、Platform as a Service。SalesForceはその名の通り、営業支援、CRM関係のツール類、ソフトウェアをインターネットを介して提供するモデルで、一昔前ならASPと呼ばれてたものなんだろう。
Force.comは、プラットホームであって、プラットホームが提供する機能やインフラを利用して、その上で利用者自身がサービスやツールを開発するためのものだ。

エコポイントの申請フォームは、その仕組みだけで考えると、そんなに複雑なことをしているわけではないのかもしれない。でも普通に従来どおりの開発手法でやってたら、到底この期間での対応は無理だろう。
仕様を確定し、且つ何百、何千万件というデータの管理を保証したり、爆発的なトラフィックに対応できるようなインフラの条件やソフトウェアの条件をつくったり、テストしたりなんてことをやってたら、どうやっても1.5ヶ月での開発なんて出来ない。まず規模の大きいデータを安全に取り扱えるプラットホームとしての実績があるからこそ可能だったといえる。

使い勝手云々の問題はあるとはゆえ、言って見れば国家規模のキャンペーンシステムの開発だ。それを1.5ヶ月で終わらせてしまえるというのは、ある種、フルスクラッチを美徳とするようなITベンダーからしてみれば衝撃的なものかもしれない。今後、ITベンダーはPaaSでの開発を前提としたビジネスを避けて通れない。全部自前で作り上げたり、0から開発したりみたいなことに拘ってるベンダーは生き残れなくなるかもしれない。

大手のウェブ製作会社でもSalesForceのパートナーになったり、サイトカタリストのパートナーになるところが増えてるけれども、これも新しいインテグレーションへの対応のためだろう。サイトカタリストなんかもSaaSとしての側面もあるが、ある側面から見ると、PaaSであり、カタリストを基盤としたデータの連携やサービスの連携がなされる。
同じ仕組みを、ある会社はフルスクラッチで半年で見積もり、ある会社はPaaSやSaaSを効果的に活用することで2ヶ月で終わらせる提案する。だからといって単純にフルスクラッチが駄目で、PaaS利用が良いということにはならないかもしれないが、ある一定規模の仕事はPaaSなどに乗っかったものに流れていくことは間違いないだろう。
こういう競争に対応していくには、最も有力なPaaSやSaaSに早くのっかかって、そこでの経験やノウハウを得ておく必要がある。利益が出せるのは、みんながそこに参入して、その領域でも価格競争が始まるまでのごく僅かな期間しかないからだ。(どこが勝ち馬になるかを見極める能力も求められる)

このへんの潮流は、まさにジェフリー・ムーアが「ライフサイクルイノベーション」で提唱した「ボリュームオペレーション型」と「コンプレックス・システム型」の市場形成のサイクルに当てはめて考えてみると、その通りになっていて面白い。コンプレックス・システム型はどんどんモジュール化、定型化されていき、それらの一部がボリュームオペレーション型の企業のサービスに取って代わられていく。
コンプレックス・システム型の企業は、自分たちが提供できる価値領域が奪われていくので、また新しいコンプレックス領域を見出していかなければならない…. このサイクルが繰り返されるというのがイノベーションのライフサイクルなのだ。

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