コンペなどでよくある話

ウェブサイト構築のコンペなどでよくある話。

プレゼンの相手に経営者や経営陣が入る場合(特にその経営者、経営陣が高齢者の方の場合)に、とにかく動きのある派手なデザインを提案しないといけないというよくわからない思い込みがあったりする。

経営陣はウェブの細かいことや技術的なことはわからない。なんで見た目が大事。Flasとかで動きがあるものを作ったほうが印象が良い」なんてのがその理由で、総合代理店さんなんかからのプレ協力では必ずといっていいほど、そういうロジックでほぼ強制的にトップページのデザインと、そこで展開されるflashなどを利用したモーションやら、オープニングflashムービーやらを作らされる。実物をプレで見せて驚かせたいとか、具体的な絵や動きがないとわからない、なんてことでいくつかの案を作らされる。

企業サイトの多くにいまだに殆ど無意味としか思えないオープニングflashが踊るのは、こういうプレゼンを経由して案件が決まっていく名残なんではないかと思うことがある。

まぁ、採用されてるということは、実際、それがプレの可否を決めてるのかもしれないし、また、そういう成功体験や失敗体験の積み重ねが、動きのあるものを提案したほうが良い、プレ評価者に上の人が入れば入るほど、細かいことより一発のクリエイティブ勝負で見せたほうが良い、みたいな固定観念が作り上げられてきたのかもしれない。
提案の受ける側よりもむしろ、提案側がデザインや動きが大事だというところにミスリードしていってるような気がしてならない。

もちろん別にエモーショナルな表現が悪いわけでもないし、オープニングflashのすべてが悪いわけではない。でも、多くの企業サイトで採用されているflashやオープニングムービーみたいなものは、いざ、そのサイトを本当に必要として利用する場合にはほとんどが邪魔なものだ。オープニングムービーを根気よく最後まで見て、そのブランドの世界観に感化されたり、印象づけられたりすることなんてことはごく稀だろう。
自分が一利用者の立場としてネットを利用するときに、オープニングflashを最後まで見たことがどれだけあったのか。数えるほどもない。

なのに、こんな無意味なものが蔓延るのか。結局、提案する側がそういうものを提案しちゃうからじゃないか。提案を受ける側もどこもかしこもそういう提案になってるんで、必然的に出来上がるものもそうなっていくことが多いということだろう。素直にそういう提案を受け入れてしまう側にも問題があるのかもしえれないけど。

しかし、そもそも、経営者とか会社の上の人は、ウェブの細かいことや技術的なことなんてわからないから、デザインが重要とか、デザインも出来る限り動きがあるほうが高級感がある、みたいな認識ってのは、本当にそうなんだろうかと思う。

これって経営者とか上の人ってのを、すごく馬鹿にした考えじゃないか。

ウェブのことをよくわからないから、じゃぁデザインがすべてで、動いてれば喜ぶだろう、なんて発想は、提案をする側の驕りなんじゃないかと思う。そこまで経営者って馬鹿だろうか? そんなに何も考えてないだろうか? 自分の好き嫌いだけで判断するようなものに何百、何千万という費用をかけるのを厭わないのだろうか。バブル景気に浮かれてる時代ならいざ知らず、この時代にそんな豪快な経営が成り立つんだろうか?

少なくとも、ウェブのことには詳しくなかったとしても、提案側の誰よりも、経営者とかはお金の使い方や、それによって得られる効果や成果みたいなものにシビアな世界に生きている。
ウェブを作る、立ち上げることに価値があった黎明期ならいざしらず、今のように、ウェブやネットが生活に根付いて、そこが今後の最も重要なメディアやチャンネルになっていく、みたいなことが普通に語られる時代において、数百万、数千万円のお金をそこにかけていくという判断に「よくわからないから、見た目だけで決める」なんてことを真剣に考えてる経営者がいたとしたら、その人はかなり勉強不足だと思う。

そりゃ、そんな細かいことや技術的なことはわからないかもしれない。でも、普通、お金をかけていく以上、経営陣が最終の判断を行う以上、ネットをどう活用して、どんな成果が得られるのかとか、どれだけのお金をかけたら、どんな効果や成果が期待できるのかとか、費用対効果を最大化するにはどうしたらいいのかとか、それぐらいは気にはするのではないかと思う。
投資判断の際に、その投資に対してどんなリターンを得たいのかを考えないような経営者は経営者ではあるまい。

ところが、何度も言うが、提案側が勝手にに「相手はそんなことはわからない」という前提で提案を組み立てたりする。それは、実は、デザインとか動くものとか、そういうもののほうが細かい説明もいらないし、責任も負わないから楽というのもあるのではないか。

どんな効果とか成果とかROIみたいなことを語りだすと、そこには数値の裏づけや、責任みたいなことが問われるようになってしまう。提案側が逃げたいのはそこなんじゃないかと。

別にヴィジュアルの提案とかモーションの提案が駄目とういわけではない。それはそれで、提案の要素としてはあっても良いかもしれない。でも、経営者は理解してないから、という短絡的発想で、ビジュアルやモーションを絶対視する提案というのは、もうそろそろいい加減卒業すべきではないかと思う。

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