会社にお金が残らない本当の理由

会社にお金が残らない本当の理由

会社にお金が残らない本当の理由

これまたフォレスト出版で、著者自身も最後に述べているが神田昌典さんの影響が随所に見受けられる。
とはいってもここ最近読んだこの手の本(神田さん系)のなかでは一番面白かった。
普通の人なら多分2時間もかからずに読める。なので会社経営に携わってる人は読んどいたほうがいい。もちろんこの人の言ってること全て肯定できるわけではないけれど。

会社にとって最も重要なのは四つの「数字」だと著者は断言する。その四つの数字とは、
  1. 一人当たり付加価値
  2. 労働分配率
  3. 一人当たり経常利益
  4. ROA(総資本経常利益率)またはCROA(総資本キャッシュフロー率)
のこと。この四つの数字の管理に気を配りましょう。この四つの数字のライバルを上場企業に設定しましょう、と著者は述べる。
幸いなことにボクらの会社の面倒を見ていただいている顧問会計士、税理士さんは、著者が例にあげるような駄目な人達ではないので、このあたりの数値や指標についてもかなり細かく指導してもらっている。
けど、さすがに上場企業をライバル指標にしたことはなかった。同業界の黒字企業平均と、同業界の優良企業の平均値を指標にしてはいるけれど。

なぜ上場企業を目標にするか。著者は「平均」は中小企業の場合、非常に良い会社とその他の悪い会社で分布しているため意味がないからだと説明する。なるほど。確かにそうかもしれない。

一人当たり付加価値
説明するまでもなく、粗利に給与やら賞与、社会保険料なんかを足して、その金額を社員数で割ればいい。アルバイトやパートは単純化して0.5人でもいい。(厳密には一人一人の働いた時間、給与水準などで指標を出すが)

一人当たり付加価値は1500万円以上を目指す、これが著者が掲げる目標。できるならば2000万円以上が望ましい。

労働分配率
粗利(付加価値)をどれぐらい人件費に分配したかという指標。
うちも労働分配率は当然指標として見ているけど、面白いのは「役員報酬」と「社員給与」を分けて考えようという発想。この発想は正直なかった。
で、著者はずばり、「役員報酬を20%、社員給与は30%、合計で50%という分配が適正」だと語ります。(あくまでも「経験則」としてという断りはあるけど) つまり、粗利が1000万円なら200万円を役員報酬に、300万円を社員給与にということ。

一人当たり経常利益
これまた当たり前ながら利益を社員数で割るだけ。
一人当たり経常利益としてどれぐらいが妥当か? ここは経営者の個性によって異なるとしながらも、著者は「私は、一人当たり経常利益は200万円を最低基準にして経営する」と言う。
これまたすごい数字だ。正直、この数字が達成できてたらかなり凄い。うちの会社は全然及びません(といっても、ひど過ぎる数字でもないけど)
ちなみに、一人当たり経常利益200万円というのは日経流通新聞の企業ランクで言うとだいたい20位ぐらいらしい。マツモトキヨシやヤマダ電機などがいるあたりとのこと。

ROA/CROA
ROAは経常利益÷総資産だけども、総資産をキャッシュで見たらCROAになる。
ROAは最低20%。特に総資産が少ない経営初期には50%は欲しい。

一般的には7%あればいいと言われています。しかし、それは大企業の数値です。
利回りは運用資産が少ないほど高くなるというのが常識です。
ですから、大企業のように何百億もの資産を運用するより、何百万円、何千万円の運用の方が利回りが高くなります

と、「平均値」をあっさりと退け、20%、50%という数値目標を出してくる。このあたりの言い切りと具体的な数値目標の設定がわかりやすい。

労働分配率は管理数値なので、それ以外の3つ。
「一人当たり付加価値」「一人当たり経常利益」「ROA/CROA」
この3つの数値で一流企業と競争をしましょうってことだ。これは高い目標ではあるけれど、具体的な目標として示されるとじゃぁどこまでやれる考えてみようって思考になる。これは良いことだ。

別のところで、著者は商品やサービスを高値で売ることは、自分自身のストレッチになる、というようなことを言っている。つまり価格を高くすれば、安い価格よりも売りづらい、さらにお客さんの期待度も高くなる。期待度が高いので裏切られたときの失望は大きい。でも、期待を超えるようなサービスができれば顧客満足に繋がると。そういうシビアなところに身を置くことが、思考を鍛えたり努力することにつながる。すなわちストレッチだと。

この四つの数値の目標もストレッチみたいなものか。「平均」に寄りかかってるだけじゃ鍛えられない。

合法的な裏帳簿
これも中小企業ならよくやっていることだが、役員報酬を高く設定して、利益を出さないようにして、役員報酬から内部留保を作り出すってやつ。
これを上記四つの数値に絡めてきちんと管理する。見かけ上の役員報酬と、本当の役員報酬を区別し、その差分を会社のお金としてきちんと留保すること。これをやって合法的に内部留保を増やしていこうって提案。これはよくやることだけど、実はうちの会社はやってない。このあたりが倫理観なのか社風というべきか。
ただ合法的に利用できるものは、それを利用しない手もない。

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コメント

  1. miyan より:

    この本、読んでみます。で、数字も計算してみます。
    比較的理解しやすそうで計算もしやすそうなので。

  2. ゆで麺 より:

    すぐ読めるしね。また感想よろしくー。

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