ビジネスモデルを見える化する ピクト図解

4478012725 「ビジネスモデルを見える化する ピクト図解」 ─ 表面上は同じように見えてても、その根本の構造を見ると全然商売の方法が違うというようなビジネスは結構ある。その逆もしかりで、まったく違う業界、市場の異なる商売が、構造だけなら同じということもある。
ピクト図解は、そういった表面上の違いに惑わされることなく、ビジネスの根幹を、誰もが一目で理解できる仕方によって表現するための手法である。ピクト図解は非常にシンプルないくつかの「ピクトグラム」の組み合わせで作成できる。

ビジネスモデルとして以前、関心したことがあるのが、テレビ通販でよくある「高枝切りバサミ」。
テレビ通販という業態そのものは、商品提供主があり、販売主体があり、消費者がある、という非常に単純な構造で、販売主体は販売力を武器として、商品提供主から安く商品を仕入れ、それを消費者にテレビを通じて語りかけて販売する、というモデルだ。(販売主体が力を持ってくることで、販売主体が自ら商品を製造するケースも多々あるが)
つまり、1回1回の商品については、売切りのモデルであり、その1回1回で利益がでなければならない。

ところが、嘘か本当か、すでに誰に聞いたのか、どこの書籍で読んだのかも忘れてしまったので、あやふやな情報ではあるのだが、「高枝切りバサミ」というのは、そういう商品ではないそうだ。
この商品はほぼ原価で販売されているそうで、いくら販売しても販売主は儲からないらしい。トントンどころか、下手すると原価割れで販売しているので、売れば売るほど赤字というような噂も聞いたことがある。
にもかかわらず、テレビ通販好きならわかるだろうが、この手の商品は必ずといっていいほど定期的に販売される。
ほとんど儲からない商品をなぜ、定期的に扱うのだろうか?
実は、「高枝切りバサミ」は、「お金持ちの通販利用客」のリスト集めのための撒き餌さみたいなものに過ぎないらしい。つまり、高枝切りバサミのようは商品を必要とする消費者は、持ち家であり、ある程度の広さの庭を持つ。お金持ちというわけだ。しかも、テレビ通販でモノを買ってくれる。このリストは、ラグジュアリー系の商品などを販売する際の非常に価値の高いリストになるというわけだ。1回目の取引では損をするけれども、そこで得たリストに対してアプローチできることで、ある期間を通じては大きな利益を得るというわけだ。(そのリストに、その通販会社がラグジュアリー商品ばかりを扱うカタログを送付したり、という使い方ができる)
この話を聞いたのはもう何年も前のことで、当時は個人情報保護などについてもそれほど関心が高くもなく、リストの売買みたいなことも特に問題にはあがっていなかった時代だ。流石に今は何か別のものでリストを集めて、そのリストをまた別の商品・商材のセールスに活用するなんてことは、消費者側の同意も必要だろうし、なかなか難しいことだろう。なので、今はどうだかわからない。また、そもそもこの話が本当かどうかさえも怪しいものなのだろう。

こんなモデルも、ピクト図解で考えた場合、似たモデルを持つビジネスは意外と多いのではないか。
本書内では8つの代表的なビジネスモデルが紹介されているが、その中で当てはめて考えてみると、基本は、もちろん「小売モデル」なのかもしれないが、そこに「合計モデル」「二次利用モデル」の要素が加味されていると考えられるだろう。
そんな風に考えると、単に「高枝切りバサミ」の裏話が面白い、というところから、そのエッセンスをいかにして自身のビジネスや、クライアントのビジネスに活かせるのかというところに視点が切り替わっていく。

シンプルな記法によってビジネスモデルを整理する、描くということを日々意識してやることや、そのパターンをストックしていくことは、とても良い訓練というか勉強になる。
ビジネスモデルやアイデアは、ある別の業界や分野の方法や考え方を、違う業界や分野に当てはめることで大成功している例は枚挙にいとまがない。

そして、さらに、定められたルールで記述する方法を学ぶことで、そのルールさえ理解できれば、誰もがブレなく、誤解なく、そのビジネスモデルの根本を理解できる。これは大きい。PowerPointの資料でいくらビジネスモデルの説明を積み重ねても、人によって捉え方は違うだろうし、話す人や資料を作る人によっても相違がでてくる、ということはよくあることだ。ピクト図解法を使えば、それが防げる。ビジネスモデルのUMLみたいなものだ。
4478374228
また、このモデルをベースとして、そこに本書で提唱されているようなダイアグラム発想法とかアナグラム発想法の適応までを複数人で学んでおくと、ビジネスについて考えたり、ブレストしたりする場合にも、より発想が広がっていくのではないだろうか。
ちなみに、本書内でも言及されているが、ビジネスモデルのパターンをより深く学ぶなら、「ザ・プロフィット 利益はどのようにして生まれるのか」もオススメだ。こちらは世の中にあるビジネスを23のモデルに分類している。
最初読んだときは、それぞれのモデルの違いがよくわからないものもあったし、わざわざ小説形式で書かれているのも読み返すのにうっとおしくて嫌いだったのだが、でも、ここで紹介されている23のビジネスモデルは、しっかり理解しておくと、世の中にある大部分のビジネスは、これらのパターンに当てはめて考えることで、市場や業界などの違いを超えて根本のビジネスを把握することには非常に役に立つ。本書とあわせて読むことを強くオススメしたい。

スポンサーリンク

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする

スポンサーリンク

コメント

  1. [...] papativa.jp – ビジネスモデルを見える化する ピクト図解 今無料でアプリ化されてます! [...]

コメントをどうぞ

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です