映画チケット購入フローで間違えたこと

ウェブで映画の座席予約ができるサービスを使ってた時に迷ったこと。
自分が迷ったり、失敗したケースを記録・記憶しておくことが、自身が作る側や運営側にまわったときに役に立つのでメモしておこうと思う。(なんでこの販売サイトを批判したり、評価したりするつもりはない)

●ユーザーの事前知識に頼りすぎるのは良くない

チケットを選ぶ画面がこれ。

チケット購入


僕が迷ったのは、「大人」という選択肢がないこと。
まず、「ファーストデイ」というのが何かわからなかった。

「大人」という選択肢がないし、他に該当しそうな選択肢がないのだから、「ファーストデイ」を選べばいいってわかるんじゃないの、というのは大きな間違いだ。この段階での利用者は、このシステムのどこかがおかしいのではないか?という疑問を感じることもできるし、自分のここまでの手続きに何か間違いがあったのではないかと考えることもできる。ノー天気に選択肢が「ファーストデイ」しかなければ、そうだろうなんてことを考える人の方が少ないはずだ。

「ファーストデイ」はご存知の方もいるのだろうけれど、毎月1日には映画が1,000円で見られるというシステムのことだ。
その日は1日だったので、通常は「大人」とかって選択肢であるものが、「ファーストデイ」に変わっていたというオチなのだけど、もうちょいユーザビリティは考えたほうがいいんじゃないかと思う。少なくとも、チケット種類の説明やヘルプを近くに配置しておくとか。

そもそも、1日に選択肢を「ファーストデイ」に変えてしまうという仕様はそれでいいんだろうか。
自分ならどう設計するだろう?
「大人」という選択肢はそのままに、選択した際に、何らかのメッセージを出す、遷移の中で本日は1日なので、、というような案内を見せる、、、色々な方法は考えられるけど、なんかスッキリしないな。

今のシステムにあまり手を入れずに改修するとしたら、やはり選択肢の下部に、「本日は1日ファーストデイなので、通常の大人 1800円が〜」みたいなメッセージで対応しておくレベルが望ましいんだろうか。でも、そういうメッセージって読まない気もするしなぁ。

●他と似てるけどちょっと違うインターフェイスの危険

このサイトでは僕はもう1つ間違いをやらかした。
チケット購入のフローが始まる前のよくある「利用規約」だ。
規約画面


ここの「ムビチケをご利用になる方は、右のチェックボックスにチェックを入れてください。」というブロック。僕は、このブロックを「規約に同意する方」がチェックボックスにチェックするところだと勘違いしたのだ。
これだけはっきりと「ムビチケ」と書いてあるのにだ。人間って意外と見えてないものなのだなーということがよくわかる。多分、これ僕だけじゃないと思う。

このムビチケにチェック入れて進むとこの画面になる。

ムビチケ


この時点で僕は何のことかさっぱりわからなくなってしまった。
ムビチケ番号って何? ムビチケHPって? なんか手続き間違っちまったかな? 
しばらく悩んだ。なんせ、自分はさっきのページで「ムビチケ」の利用にチェックを入れたとはツユとも思ってないから。

●無意識でそういうもんだと思って使ってしまう

利用者って感覚で操作している場合が多い。特に、ネットに慣れてる人というのは、多くのサイトで用いられているインターフェイスやインタラクションを前提としてほとんど無意識で操作してる。なので、利用規約メッセージがあって、その下にチェックボックス、サブミットボタンという構成になっていると、そのチェックボックスを無条件に「利用規約への同意」だと勘違いしてしまう人もけっこういるんじゃないかと思う。(まぁ、少数派なのかもしれない。だとしたら、そこで躓くユーザーに配慮しても、費用対効果的にどうなの、みたいな話もある)

●どう改善すれば勘違いを防げるのか?

この場合なら、どうするとそういった勘違いを防ぐことができるだろうか? ムビチケ利用の場合とそうじゃない場合で、完全に購入フローを分けてしまうことがそもそも間違いなのかもしれないけど、これはシステム設計上の問題とか色々あるんだろう。今のフローのままでうまく処理するにはどうする?

利用規約と別ページにするか。遷移が増えて脱落率が上がるという懸念があるし、チェックボックス一つだけを配置するのではなく、例えば、ラジオボタンで「通常のチケット購入」と「ムビチケ利用での購入」という選択肢を二つ縦に配置し、その下部にサブミットボタンを置くとどうだろうか。 多分、多少はそこに引っかかりが生まれるので、気づきやすくなるのではないか?

このサイト云々の話ではなく、ウェブの制作業界、ソリューション業界の話なのだけど、ユーザビリティ云々というのは、そりゃ5〜6年前に較べれば随分と意識されるようにはなったと思う。
というか、もうユーザビリティに配慮するのは当たり前でしょ、みたいな風潮すらあるんではないかと思う。単純な1画面1画面での使い勝手とか配慮とかも大事だけど、ユーザーストーリーだとか、そもそもそのサイトを利用する生活の中でのシーンやら、他者との関係やら、そういうものひっくるめて「デザイン」しないとね、みたいな話も意識されるようにもなってきてるし。

でも、今回指摘したみたいな、細部、ディティールへの配慮みたいなことは、逆に、もしかしたら意識されにくくなってるんじゃないかなと少し思ったり。そんなところに配慮するのは当たり前だし、だいだい気をつけないといけないパターンは決まってるし、押さえるところ押さえてたら大丈夫、みたいな余裕というか奢りみたいなものもあるようにも少し思える(自分の意識がそうだったりして)。
でも、こういうディティールの積み重ねは大事なんじゃないかなぁと思う。利用者の気分とか感覚とかにもかなり影響を及ぼすし。そしてこういうものは、自分が利用者となって使っててうまくいかなかった体験だとか、身近な人がうまく操作できてない現場だとか、そういうものを見ておくだけでも、けっこう参考にはなる。大々的にユーザー調査をしたりしなくても、自分の失敗の積み重ねは、十分にそのまま設計の時の教科書になるんじゃないかなと。

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