小さな会社は「1通の感謝コミ」で儲けなさい―まごころを伝えるはがき、FAX、メールの総活用法

小さな会社は「1通の感謝コミ」で儲けなさい―まごころを伝えるはがき、FAX、メールの総活用法

小さな会社は「1通の感謝コミ」で儲けなさい―まごころを伝えるはがき、FAX、メールの総活用法

今日は九州出張。朝一で京都を出て、新幹線での日帰り往復。
京都からだと新幹線の方が楽だ。乗り換えが要らないので、一定時間考え事ができるし、本も読める。ということで、行きの新幹線でこの本を読んだ。(残り時間はほとんど爆睡してました…最近ある理由で睡眠時間が異常に短いのです。先週は1日あたり平均2時間ぐらいしか寝られてなくて、ふとした折に睡魔に襲われて、移動中などはコトンと眠りに落ちてしまう)

帰りは別の本を読んだのだけれど、そちらの本とこの本の対比が面白かった。帰りに読んだ本についてはまた機会があったら書くが、本書の竹田さんの考え方と全く違う考え方が展開されていて、それはそれで面白かった。

ところで、ボクがランチェスター理論(法則)に出会ったのは東京に出たばかりの頃だから7~8年前になるだろうか。神田の古本屋街を流していたときにサンマーク出版の「ランチェスター販売戦略」(田岡信夫さん)のシリーズがまとめ売りされていたのを手にした。ずいぶんと古い本だけれど、その理論には少しも古くささを感じず、夢中になって読んだ。(古くささを感じなかったのは単にボクが、ランチェスター理論について無知だったからかもしれないけど)

ランチェスター理論は不況になるとブームになるなんて言われているらしい。今、竹田さんの本に注目が集まるのは時代の要請ってところもあるのかもしれない。

田岡さんの「ランチェスター理論」は、「マーケティングの科学」的側面がかなり強く、戦略部分に重きが置かれているけれど、竹田さんの「ランチェスター理論」には、根本に「経営とは何か」「会社とは何か」という命題があり、そこから「会社のあり方」としてのランチェスター理論が提唱されている。

竹田さんの本は、「小さな会社・儲けのルール―ランチェスター経営7つの成功戦略」と、本書しか読んでないけれど、ボクはこの人の考え方にはすごく共感できる。それは竹田さんの考え方の根本にある部分に共感できるからだろう。

竹田さんの考え方の中心・根本にあるのは「会社は粗利益で生きている」「粗利益はお客からしか生まれない」「しかし、商品をどこで買うかはお客が100%決める。こちら側には1%も決定権がない」という至極当たり前の事実だ。

この当たり前の事実がある以上、会社経営とは、「お客を出発点にして」どのようにお客を獲得し、維持していくのかということを考え、実践していくことだ。これらに全力で取り組まなければならない、と竹田さんは説く。

経営要因をまとめると、以下の4大要因になる。この4大要因はランチェスターの法則の応用からウィイト付けできる。
  1. 営業関連(地域、客層、営業方法、顧客維持):53%
  2. 商品関連(有料のサービス):27%
  3. 組織関連:13%
  4. 資金関連:7%
「1」と「2」をまとめて「お客作り関連」とすると「80%」になり、「3」と「4」をまとめ「内部関連」とすると「20%」になる。「お客作り」と「内部関連」は「4:1」のウィイト配分にしなければならないわけだ。

つまり、1日あたりの業務時間を仮に10時間と考えた場合(普通8時間だろうけど、この業界だと10時間以上はざらだと思うんで….というようことを言ってると御上からお叱りを受けるけど)、8時間は「お客作り」に費やさなきゃならないということだ。
また、当然資金を投入する際にも、この比率が参考になる。「お客作り」に関係する部分にはケチってはいけない、というのが竹田さんの主張だ。

たとえば、電話やFAX。電話しても話中がないようにするために余裕をもった回線を引きなさい、電話やFAXはお客との重要な接点なのだから、そこをケチっていては経営は成り立たないと竹田さんは言う。
そういえば、うちの会社も最近時々話中になることがある。FAXも1台しかないけれど、ページの修正依頼などが大量に舞い込むときには、通話中になることが多い。このあたりは見直しが必要かも。

「お客作り」に関係することを「お客視点」から総チェックして、出来る限りお客に不便を与えてはならない。竹田さんの人間性や人柄が伝わってくる熱い主張だ。たとえば電話の取次ぎも、「お名前は?」「要件は?」というような確認をとらず、すぐに担当に取り次ぐこと。マナー研修では、必ず「お名前」「ご要件」の確認という「取調べ」を教えてもらうけれど、中小企業は、そんな必要はなく、すぐに取り次ぐべきだと竹田さんは言う。さらに、「古参」の社員から電話をとるようにしないさい、とも言う。

こういう主張に接すると、うちの会社などもしかしたら大企業病に罹ってしまう一歩前なのかもしれないと不安になる。電話をとるのは決まって新人だ。、新人が電話をとって、きちんと要件を聞いてから取り次ぐ、なんていう大企業ルールが適用されてしまっている。
これはボクらマネージャーの意識の問題なんだろうな。取り次がれて電話に出たら先物取引の営業や、求人の営業だったりして嫌気が差したりするのだけれども、考えてみれば、当然「お客さん」からの電話の方が圧倒的に多い。営業の電話を断るのだって3分もかかりはしない。なのに不要な電話に出てしまったことが最悪の事態かのように新人を叱ってしまったりする。これは猛省しなくては。

新人は取引先やお客の名前を知らないけれど、古参の社員になればなるほど、そのあたりの知識も豊富なわけなので、ちょっと気の利いた一言だって発せるかもしれない。取次ぎなどもないのでお客さんに不便をかけたりすることもない。上のものが積極的に電話に出るというのは中小企業なら「当たり前」のことかもしれない。「当たり前」のことが出来なくなる、わからなくなるというのは、危険な兆候だ。

本書では、このウェイトの重い「お客作り」に関して、特に「お客の維持」部分についての戦略と戦術を詳しく解説している。
タイトルどおり「感謝コミ」という「感謝」のコミュニケーション量をいかにして増やすかということだ。
たとえば、面白いのは「報・連・相」を実行するときの1番目の対象は「お客」でなければならない(P.94)、なんていう意見。この考え方には「はっ」とされられるものがあった。1番が「お客」。2番目が「上司や社内の関係者」。3番目が「仕入先」。こんなことは考えたこともなかった。このあたりも目からウロコという感じ。

P.97~110にかけていろいろな業界やシーンで「お礼状」を出しているかどうかというアンケート結果が掲載されているのだけれど、この結果を見ると、確かにきちんと「感謝コミ」を実行すれば、それだけでもお客からは驚かれ、喜ばれるだろうなということが想像できる。
そういえば、この業界では知ってる人も多いだろうけれど、今は買収されてしまってなくなったあるメール専門の広告代理店の社長は、お会いしたときや、何かの折には必ず自筆の熱いメッセージが書かれたFAXを送ってきてくれた。(あえて名前を出さなかったけど、わかる人にはわかるよね) 初めてFAXを受け取ったときには、かなり驚いたし、その方の人柄やマメさには関心したものだ。一度FAXを受け取ったら忘れないし、誰かに紹介する時も自信を持って紹介できる。あれも一種の「感謝コミ」なのだろう。

「感謝コミ」の実行は多分、むちゃくちゃ大変なことだ。大変なことだからこそ効果があるのだろうが、これを実行し続けていくことはかなり難しいだろう。たいていの場合、日々の業務に負われて、できなくなってしまうんじゃないだろうか。なので竹田さんは「感謝コミ」を日常業務の一部として習慣にまでしてしまわなければならないと語り、そのための考え方と方法を説明している。
竹田さんは、「感謝コミ」が実行できるかどうかは社長に責任があると言うが、まさにそうだろ。社長(あるいはそれ相応の地位にいる人)が「感謝コミ」の環境や仕組みをきちんとつくって実践していかなければ、社員やスタッフが出来るわけがない。社長やマネージャー陣の責任は重い。

本書を読んでいろんな面でかなり反省させられるところがあった。単なる反省に留まらず、会社内の知識としてきちんと理解し、行動に移せるように、まず出来ることからマネージャー陣が率先してやっていかないとなんないなぁ。

マネージャー陣、本書はぜひ読んでくだされ。CSもね。
(これは身内に向けたメッセージ)

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