中村一義「楽演 2012」なんばHatch
もう先週(29日(土))のことだけれど、中村一義のデビュー15周年「楽演2012」に行ってきた。
今年は10年ぶりのソロアルバム「対音楽」も発売されて、なにかと一義界隈が活発で嬉しい。
対音楽は、一義が尊敬・敬愛するベートーベンとのコラボというちょっと変わったコンセプトアルバムで、デビュー当時からのソロワークと同じように、作詞作曲編曲、そしてほぼすべての楽器演奏までを一人で行った完全なソロ作品だ。昨年末にこのアルバムの制作が発表されてから、ボクは発売されるまでどれほど心待ちにしたことだろうか。 100Sも嫌いではないのだけれど、やはり100Sの音と一義の音は違ってる。一義のソロは良くも悪くもあのドラムとベースだ。やたらとおかずの多いビートルズのリンゴばりのドラムと、そして絡み付くような粘着性の高いベース。今回のアルバムでは、楽器の演奏のレベルがデビュー時と較べれると全体的にかなりパワーアップしてたり、編曲もかなり緻密に練って構成されてるので、そういうデビュー当時のソロワークで見せたいかにも宅録系、「マッカートニー」みたいな「スカスカ&ホームメイドアルバム」という感じはなくなっていたのだけど、よく聴くと、やはりコアのところは一義独特のリズムがちゃんと流れていて、聴けば聴くほどに好きになっていくという感じのアルバムに仕上がっていた。
「対音楽」
で、こんな魅力的なアルバムも引っさげての10年ぶりのソロライブだ。俄然期待は高まる。
この「楽演2012」は、大阪、名古屋、東京の三都市で開催されるのだが、それぞれの都市でゲストが設定されている。
名古屋はサニーデイサービス、東京はくるり。そして、今回、ボクら夫婦が行った大阪はベースボールベアー(BBB)だった。
ボクは、正直、PVぐらいでしかBBBを聴いたことがなかった。ただ、ライブではあくまでもゲストだと思ってて、数曲演るレベルだろうと高をくくってたのだが、実は今回は中村一義×BBBで、ほぼ半々でお互いの曲を演る、一義がBBBの歌を歌い、BBBが一義を歌う、一義とBBBが融合したコラボレーションライブという趣向だった。
これは、かなり賛否両論あったようで、15周年記念のソロライブで愉しみに来たのにBBBの曲が半分を占めてたのにガッカリしてる人も多かったし、実際、ボクらが行つた日のライブでは、途中から「一義の曲をやれ!」という汚い野次が外野から投げかけられ、会場にいやーな空気が漂うシーンなどもあった。確かに、ボクも一義の一義による演奏や歌を期待していた部分も大きかったし、BBBの曲はよく知らないし、ということで、多少もともと期待してたものが裏切られた感じを抱かないわけでもなかった。名古屋のサニーデイや、東京のくるりなら、ファン層がかぶる部分ももう少し大きいのかもしれないけど、多分、コアな一義ファンとBBBのファンはまだそんなに重なりは小さいのだと思う。BBBはまだ若い。なにせ、一義はデビュー15年だし。初めて聴いた時はまだ二十代だったのに今や不惑だ。
「対音楽」の曲もたぶん1曲しか演らなかったのかな。そういう部分での消化不良感がなかったといえば嘘になる。
でも。でもだ。ライブ自体はそんなに悪くはなかった。いや、なんだかんだと良かった。BBBの曲はすごく良かったし、むしろBBBっていいバンドだな、演奏うまいんだな、ということを発見できた日でもあった。一義は曲間違えたり、音外したり、体力的にもけっこうキツそうでもあったし、多分、単独で2時間とかのライブというのが厳しいのかなぁというのも正直な感想で、BBBがいたことでそういうところが補完され、全体として音楽の素晴らしさ、愉しさを再認識するという一義自身が考えるコンセプトをちゃんと実現できるライブに仕上がっていたんじゃないかと思う。
ライブから帰ってきてまんまとBBBが気になって色々調べてしまった。ベースの関根嬢が髭(HiGE)のベースと結婚してることや、映画「リンダリンダリンダ」(「リンダリンダリンダ」OFFCIAL WEBSITE)のベースの娘だということを知って吃驚したり….
「神々LOOKS YOU」この曲、いい曲ですわねぇ。なんともスーパーカーな感じだけども。