凡人が最強営業マンに変わる魔法のセールストーク
本書はセールス手法、テクニックについての本だ。本書の最後で著者は「マーケティング」が終わった後に始まるのが「セールス」だというようなことを言っている。つまり、見込み客を集めたり、ユーザーの興味を惹いたり、問い合わせをもたらしたりするところまでがマーケティングで、そのキッカケをクロージングにつなげるのが「セールス」。なので、本書のテクニックにいくら磨きをかけても、「問い合わせ」が1件もなければ、顧客は獲得できない。ということを前提としても1300円の価値は十分ある本だと思う。特に対面での販売を行うような業種、業態では有用と思われる実践的テクニックがいくつか紹介されている。
内容としては、「売り込まなくても売れる! ― 説得いらずの高確率セールス」と、ほぼ同じようなことを語っているけれども、より日本の風土にあっているという感じはした。「高確率セールス」にもなるほど!と思うところは少なからずあったけれども、それをこのままやっても多分日本じゃぁ通用しない。本書のほうは全てではないけれど、具体的に現場で利用できるイメージは持てた。つまりアレンジせずにそのまま明日の営業活動からでも使える、という確かな実感が本書にはあったわけだ。そこは大きな違いだ。
具体的なイメージを抱けたというのも、それは、
「魔法のセールストーク・4ステップ」として示された4つのステップのうち、ステップ1とステップ2については、ボク自身が無意識的にやっていたからかもしれない。
今日、○○○なわけですが、いまの×××に何かご不満でもおありなのですか?
という質問を投げかけるというのがステップ1だ。
このステップは単純な話、お客さんの本当のニーズを知るためにある。著者は、「お客はドリルを買いたいのではなく、穴を開けるという結果を求めてる」という例で説明している。(この例は、マーケティングの話ではよく出てくる。原典は、おそらくT・レビットだと思うけど、どうなんだろう?)
お客さんは本当に自分が欲しいものをしらない。
「○○○していただこうとすると、だいたいいくらぐらいかかりますか?」
「御社では○○○○業界でのコンサルティング実績などはありますでしょうか?」
お客さんがこんな風に聞いてきたとき、どう答えるか?先の穴あき文例の穴をそのまま埋めればいい。
「今回、○○○○するための費用についてお尋ねになられているわけですが、何かお困りのことでもおありなんですか?」
「○○○○業界についての実績を聞かれていらっしゃるわけですが、何かお悩みのことでもおありなんですか?」
こんな風に返す。ここからお客さんの本当のニーズに遡っていくキッカケをつくるわけだ。
「ウェブサイトをリニューアルしたいのだけど、いくらかかるんだろう?」と聞いてくるお客さんは多い。こんなとき「何ページぐらいですか?」「どんな機能が必要ですか?」と聞くのではなく、「ウェブサイトをリニューアルしたいということですが、現状のウェブサイトについて何かお困り、お悩みのことがおありなんですか?」と訊いたほうが良いわけだ。
そして、ステップ2ではお客が語る言葉をより具体的に、より深くつっこんでいく。その行為を著者は、
- お客の語る言葉の「あいまいな表現」を具体的にする質問
「たとえば?」
「(もう少し)具体的に言うと?」
- 根拠を聞きだす質問(極端化)
「○○だと、何か××すぎるのですか?」
の二つの質問パターンとしてまとめている。
この二つのステップについては、ボクも近いことはしていると思う。
ボクが意識しているのは、「それはどういうこと?」と疑問をどんどん遡っていくことだけだ。
お客さんが語る表面的な悩みや課題ではなく、その悩みや課題をもたらしている根源的な問題をつきつめるようと、質問を続けること。意識しているのはそこだけなのだが、結果的には著者の考え方に通じているところはある。
ただ、ステップ3についてはボクはあまり得意ではない。ここらを曖昧にしてしまう癖がある。ステップ1と2で疲れてしまって、ここらでいいかと自分で見切りをつけてしまうのだ。ステップ3は「お客の要望を整理して、相手に確認させる」ステップであり、ステップ4は、「お客の欲求を持たしている部分、満たしていない部分を明確にしたうえで、提案内容を説明する(P.104)」ステップだ。ステップ3で出来ないのは、「本当に、これで確かですかね?」という念押しだ。うーん。これってやっぱり必要なのだろうか。あと、最終ステップに進む前に「優先事項を聞いておく」ということ。これは多分、重要だろう。ステップ4において、予算内ですべての課題を解決できる提案を行えることは少ない。この場合、提案時に実施フェイズを分けていくなどの提案を行うわけだけど、当たり前ながらヒアリング時にきちんと最優先事項は聞いておかなきゃならない。
魔法のセールストークも面白かったけど、個人的に一番興味深かったのは、なんといってもお客さんから予算を聞き出す方法。これは早速次からでもやってみよう。本書では予算を聞き出す方法と、その聞き出した予算から、アッパーリミットギリギリのラインと、予算としては割安感を感じることができる価格帯を導き出す簡単な方法を教えてくれる。
特に、そこに根拠があるわけではなく、著者自身の経験からでききたある数値の掛け算をするだけなのだが、自分がクルマを購入したときや、家を探すときなどの例を思い浮かべて、そのとき自分が口にした予算にその数値をかけてみると、確かにその通りだった。
興味がある人はそこだけでも立ち読みしてもいいかも。
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