企画力 「共感の物語」を伝える技術と心得

企画力 「共感の物語」を伝える技術と心得

企画力 「共感の物語」を伝える技術と心得

役員会議の休憩中に、監査役の方から薦められた本。
その場でAmazonで注文したら今日届いた。スグに読める本だけれど、すごく面白い。文章も明快で、一文一文がしっかりと伝わってくる。

僕は「企画書」の書き方、HowTo系の本や、図解手法の本は手当たり次第買ってた時期があるので、かなりの数持っている。
それらの本で得た技術・技法的なノウハウや代理店さん経由のプランニングのお手伝いをたくさんやったお陰で、企画書や提案書類をつくるのは得意なほうだ(と、自分では思い込んでいた)
それっぽいものをつくって、自分には「企画力」があると勘違いしていたところがある。

が、本書を読むと、自分が書いてたものなんて「企画書」でもなんでもなく、それは「計画書」にすぎなかったんだな、ということを思い知らされた。

企画のアイディアや表現のテクニックのもっともっと根本にある「企てる」という最も重要なことを忘れてしまっていた気がする。そう、本書のサブタイトルにもある企画の「心得」の部分がすっかり抜け落ちてしまっていたのだ。反省。

ちょっとしたアイディアやポイントの整理を、凝った図で表現して、なんとなく「企画書」をつくった気になっていたわけだが、これはとんでもない間違いだ。

著者は冒頭で「企画力」を「人と組織を動かす力」だと定義する。つまり、「企画書」をつくるときは、何かアイディアや考えを立案するということではなく、その企画書を通じて人が動き、組織をも動かすものでなければならない。「企画」というは立案と実行が表裏一体の関係にあり、どちらかが欠けてもまったく意味のないものなのだ。

この短い本のなかの一つ一つの言葉には、まさに「企画力」が詰まっている。読者を本文に引込み、一気に最後まで読ませてしまう力。そしてここで語られたことを実践しようという気にさせてしまう力。
「企画書」に必要なのは、豊かな図解の表現や技術などではなく、まずその力だろう。

本書の各章のタイトルはそのままこの本の要約になる。次ぎに「企画書」を書くときに忘れないように記しておくことにする。
  • 人間と組織を動かす力 それが、企画力
  • 企画とは、実行されて初めて企画と呼ぶ
  • 企画力とは「物語のアート」である
  • 「最高の企画書」とは「最高の推理小説」である
  • 「知識」を学んで「知恵」を掴んだと錯覚するな
  • 「企画書」においては「企み」を語れ
  • 「何を行うか」よりも「なぜ行うか」を語れ
  • タイトルで「企み」を語る それが、最高の「掴み」
  • これから何が起こるのか その「ビジョン」を語れ
  • 「企み」を「戦略」に翻訳せよ
  • 読みやすい企画書は「自問自答」のスタイル
  • 読み手の「思考の流れ」を導け
  • 「三の原則」を用いて 企画書をつくれ
  • 企画書は「一人歩き」すると思え
  • 顧客企業の担当者は「同士」である
  • 「攻め」だけでなく「守り」に強い企画書をめざせ
  • 「表の企画書」だけでなく 「裏の企画書」をつくれ
  • 企画書とは「営業の品質管理」である
  • 営業担当者を企画会議に参加させよ
  • 没にした企画の数が企画の凄み
  • 顧客の心を読み、言葉を選び 迷いを捨てよ
  • 企画書は読み終えた一瞬が、勝負

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コメント

  1. K.Furubayashi より:

    「日経広告手帳」2 月号---特集:広告の明日を問う---の中のパネルディスカッション「世界のメガ・エージェンシーから見た日本の広告(業)」が面白い。マッキャン・エリクソンのCEO/ゴスリング氏の「コンシューマ・インサイト」がブランド・コミュニケーションの
    絶対条件、という発言と「コミュニケーション」という概念をもっと
    深く考えるべきだという日本の広告(業)への助言、というよりは苦言。私を含め日本の制作者の意識は、まだまだ本当のところへは到達していないのでは、みんな分かったつもりでいるだけなのでは、という感想です。まず反省ありき。仕事を通じてもっともっと考えねば!c

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