チームが絶対うまくいく法
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同著者の前作「会議が絶対うまくいく法」も読んだが、こっちはあまりピンとこなかった。ファシリテーターの重要性や役割はよくわかったけど、そのレベルですぐにこの方法や考え方を取り入れようという気にはならなかった。でも本書のほうはかなり刺激を受けた。もしかすると、本書を読んでから前作を読んだほうが前作の魅力も増すのではないかという気がする。ということで、今、前作を再読中。
組織、チームでいかにして意思決定を行っていくのか、問題を解決していくのか、ということはここ最近の僕の悩みの一つだったわけだけど、この本を読んで少し光が見えた気がした。
著者は、協調型の問題解決法として「コラボレーション」という言葉を使っている。「コラボレーション」で大事なのは、関与者(ほぼ)全員の納得・理解を得るということだ。きちんとした「コラボレーション」が行えれば、それは可能だ、と著者らは言う。
そのポイントは「コラボレーション」における「プロセス」だ。
特に「プロセス」において僕が意識していなかったのは、コンセンサスを築いていくためには、「1つずつ段階を踏んで」いかなければならないという前提だ。
ここでは、6つの段階が提案されている。コンセンサスづくりでは、この段階の1つづつで関係者全員の合意を得ていかなければならないわけだ。
第一段階:認知
問題があるのか? それをどう感じているのか。問題をオープンに話してかまわないのか。
第二段階:定義
問題は何か。その範囲や境界線は?
第三段階:分析
なぜその問題が存在するのか、その原因は何か。
第四段階:解決案リストの作成
問題解決のために考えられる案は?
第五段階:評価
解決策はどのような基準を満たすべきか。どの案が他よりも優れているか、あるいは受け入れられそうか。
第六段階:意志決定
どの解決案なら合意を得られるか。どの提案なら実行可能か。
最初の三段階を「問題領域」、その次ぎの三段階を「解決領域」といい、実は「コンセンサスづくりの大半は、問題領域で行われる。」(P.81)
個人的に特に強く意識しなければならないと感じたのは、第二段階の「定義」だ。問題をどう定義するかによって、「解決領域」の取り組みは大きく変わってくる。たとえば、問題を「売掛債権回転率の上昇をどう抑えるか/改善させるか?」と定義するのと、「キャッシュフローの悪化を防ぐには?」と定義するのとでは、解決案の検討もまったく違ってくるだろう。後者なら原因の一つとして「売掛債権回転率」があげられるかもしれないが、前者なら原因は「支払いスパンの長い1企業への売上依存度が高い
ということになるかもしれない。そのようにして諒解が得られた「定義」は、「解決領域」での議論の範囲を決定づけ、解決の方向をも決めてしまう。
ちなみに、著者らは本書で「問題」、あるいは「問題解決」をとても前向きな言葉で利用している。「問題」というと、何かマイナスのものと考えてしまいがちだが、そうではない。問題とは「誰かが変更したいと思う状況」であり、つまり問題解決とは、「状況を変更すること」、つまり何か行動すること、(P.30)だと定義している。
この考え方は実は、「問題解決」といったものに取り組む際に、前提となるものだろう。「問題」をどう定義するかによって、それは重苦しく厄介なものと映る場合もある。「問題」をそのように捉えるのと、「問題解決」は自分達が日々行ってることであり、それは企業、組織活動にとっては当たり前のものなのだと考え、実行に移していけるのとでは、当然後者のほうが良い解決が得られるのではないか。
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