小説電通

昼過ぎにまたも新進堂でランチ。
ちょっと前、東京駅で買った「小説電通」を読む。読了。
これから昨日する予定ながら手をつけてなかった仕事1つ。

小説電通
大下 英治



おすすめ平均ノンフィクションとして読むべき

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Amazonのユーザーレビューにもあるけれど、「小説」としての面白さを期待しても仕方ない。フェイクションじゃ書けないから小説という体裁をとったというだけなので、「小説」としての魅力はまったくない。

舞台となっているのは、昭和50年代なので、今とは違うところもあるのだろう。また、ここに描かれている話のどこまでが本当でどこまでが作り話なのかについても正直よくわからない。けれど読めば確かに日本の広告会社の不思議さや、広告会社を取り巻く構造の異常さというものの一端を知るには役立つ。(ま、でもそのあたりの構造的なおかしさは、この小説に拠らなくてもいろんな文献で指摘されていることだけれど)

一業種一社だと「比較広告」が生まれないとか、他社の情報が漏れるとか、全部のクライアントに優秀なスタッフをつけられるわけじゃないだろうとか、そのへんの弊害はよく指摘されるし、これはちょっと考えれば誰にでもわかる。でも、そんな弊害をかかえながらなんでクライアント側は電通に頼まざるをえないのか? それは電通が圧倒的な「メディア支配力」を有しているからだ。本書のストーリーのほとんどはこの「メディア支配力」に絡んだ話だ。電通がいかに強力なメディア支配力を有しているのか、そのような力を得るに至った過程は? そしてその支配力を武器として極めてダーティなことにも手を染める電通….  広告業界の話ではあるが、メディアを中心とした言論や表現といったものが、いかに資本主義の権力の中でがんじがらめになっているかということも、本書を読むとよくわかる。

昨今の世界的なメガエージェンシーの台頭、グローバル化といった広告業界のビックバンは、この小説世界に描かれたような電通をはじめとする広告会社の姿を過去のものとしつつあるのだろう。だからこそ「三一書房」(1984年に徳間書店から文庫化)でしか出版できなかったこのような「タブー小説」がいまや、ぶんか社から堂々と再出版されることが許されたのだろう。

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