タイの工業団地、中小企業の海外進出とか備忘録
タイではあっちこっちで工業団地が開設されてる。シラチャやラヨーン辺りの郊外を車で走っていくと、交差点ごとにここ曲がったら○○工業団地、もう一つ先は○○みたいな感じで工業団地があって、どこもすでに一杯。建設中のも予約で埋まってたりと、かなりの活況のようだ。
工業団地の魅力の一つにインフラの安定性がある。工業団地じゃない普通の地域だと、電気、水道、インターネットが止まるのは当たり前で、一日仕事できないなんてこともザラ。流石に工業団地はそのあたりはケアされてるようだ。でも年に一、二回は停電はあるらしい。二年前の洪水の問題はまだ抜本的には解決してないが、去年、今年はたまたまなのか特に大きな問題は起きていないとのこと。
工業団地に入るのはメリットばかりではない。特に中小企業企業はなかなか難しい問題がある。
まず賃金の問題。工業団地には工業団地の平均賃金があって、これがかなり高い。大手企業が多いということもあって、ボーナスなんかも四ヶ月、六ヶ月は当たり前。
タイの最低賃金は9000バーツだが、大卒レベルで普通に仕事できる人だと1.5万や2万バーツとかでは獲得はかなり難しい。
工業団地内でそういう賃金やらボーナスやらの情報のやり取りが行われてて、特に日系はつけ込まれてる感じがある。
タイの日系法人企業では日本人一人に対して最低四人のタイ人を雇うことが義務づけられてるそうで、仮に1人三万バーツ、約9万円ぐらいでも、四人で月36万円。赴任する日本人スタッフは当然手当なども含めると日本にいるよりもお金がかかる。最低でも年間800から2000万円ぐらいは必要とのことだ。(もっと大企業になると、そんな額では済まない。一桁違うぐらいの予算が必要とかなんとか)
日本人一人にこれぐらいのお金が必要となると、現地でペイさせようと思ったら相当の受注と工場の稼働が必要になる。現地スタッフもかなりの人数を雇わないといけない。このへんのバランスの問題が付きまとう。
工業団地内の家賃は広さや内容によるけど、最低毎月20万から30万バーツは必要。すると先の人件費やらと合わせると月額で200万円ぐらいは簡単に飛んで行く。仕事があろうがなかろうが、固定費がこれぐらいかかる。
日系企業は数多く進出はしてるけど、じゃあ出たらすぐに仕事があるかというと、そういうわけでもない。どこも一年、二年は厳しいって覚悟してる。
なので商売が成り立つかどうかわからないけど、最低限の維持をしていくだけでも一年、二年で2000万円、3000万円ってお金が飛んでいく。もちろん赴任させるスタッフは優秀じゃないとそもそも難しいから、こういう直接的なコストだけじゃなく、日本国内での営業やオペレーションにもかなりのダメージがあるだろう。
これは中小企業にとっとはかなり大変な投資だし、それこそもう海外にしか活路はないんだってぐらいの覚悟でいかんと成功させるのは難しい。
が、それでも工業製品やそこ周辺のサービスは、根幹ところが殆ど海外に移っていって、グローバルでのサプライチェーンが組まれていってるのは事実なので、このまま日本だけで頑張っていくのは、今のところはゆっくり死んでいくのを受け入れるような感じだったりもする。
一方で、メイド・イン・ジャパンとか品質の問題とか色々あって、そう簡単に日本でのモノづくりは消えないよ、ってのもまた事実だとは思うけど。
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