7つの習慣:目的を持って始める
「7つの習慣」第二の習慣は「目的を持って始める」だ。
「人生の最後の姿を描き、それを念頭において今日という一日を始めることである。そうすれば、自分にとって何が本当に大切なのかをベースに、今日の行動、明日の行動、来週の行動、来月の行動を計画することができる。」(P.27)
「最期の姿」を念頭において、というのも極端な考え方であるが、要は長期的な目的をブレイクダウンして1日という日を送らなければならないということである。
「目的を持って始める」ということは、リーダーシップの原則に基づいている。
「マネイジメントは手段に集中しており、どうすれば目標を達成できるかという質問に答えようとするものである。一方、リーダーシップは望む結果を定義しており、何を達成したいのかという質問に答えようとするものである。」(P.132)
「リーダーシップ」と「マネイジメント」をどう切り分けるかということはたいした問題ではないが、ここで著者が言っているような「目的を定義する」能力(リーダーシップ)と「目的を達成させるための能力」(マネイジメント)は、組織においても当然欠かせない。
私自身もそうだったのだが、「マネイジメント」に率先してあるべき「リーダーシップ」については極めて曖昧な考え方しかしていなかった。ここでこの二つが切り分けられ、そしてそれが歯車の両輪であって、どちから一方でも欠けては目的達成は叶わないということを学んだ。ロジカルシンキングでも問題を要素に分解して、それぞれの要素について考えるというフレームの有効性はよく言われる。「マネイジメント」と「リーダーシップ」の問題は、僕のなかでは今までほぼ同一のもんとして一緒にまとめられていた。これを切り分けて考えることで、かなりいろんなことが整理される気がする。
目的を持って始める最も簡単で効果的な方法の一つとして、著者はミッション・ステートメントを書くことを推奨している。どうなりたいのか、何をしたいのか、自分の行動の基礎となる価値観や原則はどういうものなのか。
自身の価値の基準となるもの、自分自身に課すべき長期的な目標、価値観をつくるのだ。
ミッション・ステートメントをつくり、それを生活の中心に置くことで、それは「安定性、方向性、知恵、ならびに力の根源となる」(P.147)
「リーダーシップ」は、ころころ目標を変えてはいけない。自身が目指す価値や目標に沿って一貫した決定や行動をとっていく必要がある。そうでなければ「マネイジメント」が困るからだ。「マネイジメント」は「リーダーシップ」が照らし出す方向性へ効果的/効率的に進むための手段であり、能力だ。照らし出される方向が間違っていたり、ころころ変わっていてマネイジメントがうまくいくはずがない。
今から3、4年前に僕らも組織のミッション・ステートメントをつくった。1年近い議論を重ねて、最終的に完成したミッション。最初は自分達でつくっていながら、どことなく地に足のついていない感じがしていたのだけれど、最近になってようやくそれをつくっておいて良かったと思えるようになった。非常に抽象的な価値観の表明ではあるけれども、自分達が向かう方向や、尊いと思う価値、信条などがミッション・ステートメントにきちんと備わっている。最後の砦はいつもそこ。遠くおぼろげながらそのミッションを守ろうという意識がどこかに根付いている。
前回の面談のなかでも何人かのマネージャーの口から「ミッション・ステートメント」の話が出た。そのミッション・ステートメントが自身の仕事観にもぴったり合っていると感じられる瞬間があったとか、それが大事だということがわかったというようなかなり嬉しい言葉だった。
ミッション・ステートメントを作成しているときは、まだ社員は20人にも満たなかった。日々の資金繰りで四苦八苦しているような状況でとてもミッションなんてこと言ってる場合でもなかったのだけれど、今思えばあの時つくっておいて本当に良かったと思う。
しかし、個人的なミッション・ステートメントというのは考えたことがなかった。
会社のミッション・ステートメントをつくっていたときには既に「7つの習慣」は読んでいたはずだったのだけれど、全然結びついてこなかったし、思い出しもしなかった。恥ずかしいことだ。
会社のミッション・ステートメントをつくっていたときもそうだったけれど、ミッション・ステートメントをつくるのは凄く難しい。それがすべての価値基準・規範となるということになれば、そうそう安易にはつくれない。いきなりミッション・ステートメントを書きないさいと投げ出されても、ほとんどの人はそこで行き詰まってしまうのではないだろうか。
そこで著者は「役割と目標を決める」という前段階を提案している。
私たちは生活のなかにさまざまな役割を持っている。たとえば、父であったり、妻、あるいは友人、会社の課長、部長、社長などなど。
まず、自分にはどのような役割があるかとういことを書き出してみること。そして、それぞれの役割に、自分はどのような人になろうとしているのか、どのような価値観によって導かれるべきかということを書き上げていくというわけだ。
「フランクリン・プランナー」には、ミッション・ステートメントを書くところが用意されている。また、ミッション・ステートメントを書くために必要な、自身の価値基準を見つめなおすための質問も用意されていて、その質問に答えていくことで、徐々に自身の価値基準が明らかになっていくという仕組みだ。
演習1が「価値観/説明文」をあげていくこと
価値観:プロ意識
説明文:
・毎日優れた仕事をする
・他の人のアイディアに対してオープンである
・積極的な態度を貫く
・チームプレイヤーとして貢献する
演習2は「役割」とその役割に対して「鍵となる人々」と理想の行動を「説明文」としてつけていくこと。
役割の例 | グラフィックデザイナー |
鍵となる人々 | 上司、編集者、顧客 |
説明文 | 能力のかぎり完璧でクリエイティブな仕事をする |
演習3は「スタートとなる質問」として、次ぎの2つに答えること。
- 仕事の中で、これを行えばすばらしい結果をもたらすと思われるものがあるとすれば、それは何ですか?
- プライベートの生活の中で、これを行えばすばらしい結果をもたらすと思われるものがあるとすれば、それは何ですか?
演習4が「ある(Be)、する(Do)、持つ(Have)」を明らかにすること。
「どのような人物になりたいか?(Be)」
「したいことのすべて(Do)」
「一生の間に所有したいものすべて(Have)」
をリストアップする。
演習5は、自分が死ぬとき皆からどんな人物だったと思ってもらいたいか、どのような人物として記憶に残って欲しいかということを具体的にイメージする。
そして、最後。
演習6は、以下の5つの質問に答えること。
- わたしが最も幸福で充実感を感じるのはどういう時だろうか。
- わたしが仕事において最も楽しく充実感を覚えるのはどんなことだろうか。
- わたしが私生活で最も価値があると考える活動はどんなものだろうか。
- わたしが身につけたい才能や能力はどのようなものだろうか。
- わたしが最も貢献できることは何だろうか。
この演習1~6を自身の頭で考え、イメージし、実際に書いていくことで、少しづつ自分の価値観が明らかになってくるというわけだ。フランクリン・プランナーを購入してから僕もこの演習を寝る前にやっているのだけれど、これが結構難しい。おそらく今まで考えたこともなかったことだからだ。
コメント
7つの習慣―成功には原則があった
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私も本書は世界のベストセラーに値すると思います。トラバさせていただきます。
●セットアップその1〓価値観
フランクリン・プランナーの特徴は、ただ予定を書き込み、消化していくだけではない
はじめましてManksと申します。
私も7つの習慣からみのブログやウェブサイトを公開しています。
とてもすばらしく整理してわかりやすく掲載していらっしゃるので、とても感銘を受けました。
特に演習が盛り込まれているので、非常にイメージをしやすいです。
私も自分の価値観やミッションを見直すときに、また参考にさせていただきたいと思います。
PS:価値観について掲載しましたので、トラックバックをさせていただきましたこと、この場をおかりしてご報告申し上げます。