TQ―心の安らぎを発見する時間管理の探究

フランクリン・プランナーを利用しだしてから約2週間。
最初の1週間はゴールデンウィークだったんで、実質は1週間。

7つの習慣―成功には原則があった!」を読み返したり、「フランクリン・システム―米国企業を活性化させた90年代のタイム・マネジメント術」や「人生は手帳で変わる―第4世代手帳フランクリン・プランナーを使いこなす」あたりを読みつつ、試行錯誤しながら使ってるので、まだその効果の程はよくわからないというのが正直なところだ。いくつか良かったのは、仕事もプライベートも一緒の土台で管理して、一方的に偏ることなく生活全般をバランス良く管理しなきゃならないという意識が若干なりとも芽生えたことか。

1日1回長期的な目標から落とし込んだ月間のマスタータスクを眺め、そこからその週の初めに立てた週の目標を確認し、さらに今日のタスクを洗い出して、優先順位付けをする。出社してから15分程度で終わることだけれども、これをやってきちんとリストアップしたタスクをこなしてチェックをつけていくだけで、ちょっと心が満たされた気分になるから不思議だ。プラシーボみたいなもんですな。
「フランクリン・プランナー」の使い方は、「TQ―心の安らぎを発見する時間管理の探究」が一番親切だろう。他の活用本は「TQ―心の安らぎを発見する時間管理の探究」のおいしいところだけを要約しただけに近い。なので、「フランクリン・プランナー」を使おうと思うなら、まず「TQ」を読んだほうがいいんじゃないかというのが僕の個人的な感想。

TQ―心の安らぎを発見する時間管理の探究
ハイラム・W・スミス, 黄木 信, ジェームス・スキナー



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タイムマネイジメントの本ではあるけれど、効率的な時間管理や優先順位付けを行うというようなタイムマネイジメントではなく、タイムマネイジメントを通じての自己実現、自己啓発の発想が盛り込まれてる。自己実現・自己啓発本のほとんどがそうであるように、本書にも多分に「感動的な」(とカッコつきの)事例が頻出し、ちょっと神秘がかったところもある。こういうのが嫌いな人は多分、ちょっと読むだけで投げ出したくなるんじゃないだろうか。

根底となる考え方は「7つの習慣」と全く同じ(って「7つの習慣」よりこっちの方が先なのかな。まぁ同じ会社だし)。本書では「心のやすらぎ」を得ることが最終目標であり、そのための時間管理が語られる。(「7つの習慣」では広い意味での「成功」を得るための「習慣」が語られている。)
「心の安らぎ」は生活におけるバランスと調和によってもたらされる。これは出来事をコントロールすることによって可能となると著者は語る。「時間管理」とはとりもなおさず、「出来事をコントロールする」ことである。時間管理を「時計」と結びつけるのではなく、「出来事」と結びつけることが肝要。
「出来事」を効果的にコントロールするためには、人生において最も価値を置くものを見つけ出し、日々の行動をその価値観に照らし出していかなければならない。

価値観をベースっとした「生産性のピラミッド」をつくることが日々の行動を決定してゆき、人生をより豊かで実りの多いものにする。生産性のピラミッドとは、価値観から長期目標が決定され、長期目標から中間ステップが導き出され、中間ステップから日課リストが出来るというピラミッド構造のモデルである。上(頂点)になればなるほど、小さく、なるという意味で、より具体的、ピンポイントの活動を示していくメタファーともなっている。

「フランクリン・プランナー」はこの「生産性のピラミッド」に基づき、日課リストに落とし込むまでの過程がそのまま手帳になっている。ここを読めば、「フランクリン・プランナー」の使い方が良くわかる。

本書のなかで面白かったのは『第6章「行動と気持ち」を合致させる』の章だ。
第六の法則として「行動とは自分の想いを反映したものである」ということが語られる。なぜ悪いとわかってながら自分がそんな行動をとってしまうのか、著者は「リアリティー・モデル」というメンタルモデルで説明する。

「リアリティー・モデル」は五つの要素として成り立つ。AIDMAみたいな感じだ。
人間の行動は以下の五段階を経て生まれる。

(1)心理的欲求→(2)思いの窓→(3)ルール(もし~ならば~)→(4)行動パターン→(5)結果

(5)の結果は(1)の心理的欲求にフィードバックされる。

第一の要素「心理的欲求」は人間の基本的な四つの欲求のいずれか、あるいはその組み合わせだ。
1.「生きる」欲求
2.「愛し愛される」欲求
3.「人に良く思われる」欲求
4.「変化を味わう」欲求

これらの四つの欲求がバランス良く満たされていれば、人生はスムーズに動く。残念ながらバランスがとれることはめったになく、たいていはいずれかの欲求が満たされてない。すると人はこの欲求を充足させようと全精力を傾けてしまう。

これが行動の第一歩。

第二の要素「思いの窓」は抽象的な概念だけれども、「7つの習慣」で「パラダイム」という言葉で表現されていたものと同じようなものだろう。自身の価値観やら信念やら思い込みやら、ポリシーやらといったものをひっくるめて「思いの窓」と名づける。
第一ステップで満たされなかった欲求をどのように満たすかの方向性はこの「思いの窓」が握っている。
この「思いの窓」が歪んでいると、欲求は歪んだ方向に進む。しかしながら、たいていの場合、自分の「思いの窓」は自分自身では正しいと思い込んでしまうのが人間である。

そして、第三の要素では、これら「思いの窓」に映し出している想いに対して自身の行動を支配するルールを無意識のうちにつくる。

これら第三ステップまでをクリアして、想いが行動として現われる。
そして、行動の結果はフィードバックされる。この行動が第一要素の心理的欲求を満たすというフィードバックであった場合は、このループが再現なく繰り返される。

ここで重要なのは、「ある特定の想いが自分の欲求を満たしたかどうか、確実に分かる方法は一つしかない。時間をかけてその行動の結果を見ることだ。結果の良し悪しは時間が経たないと分からないことが多いからだ。」(P.279)ということ。短期的には心理的欲求が満たされるものであっても、長期的に見れば悪い影響を与えるものはたくさんある。酒やタバコ、麻薬、暴飲暴食といった中毒性のものなどはそうだ。一時的には心理的欲求は満たされる。でも長期的には身体には悪い。

たとえば、「人に良く思われたい」欲求を持った人が、「失敗は悪いことだ」という「思いの窓」を持っているとしよう。彼は「失敗は悪いこと」という「思いの窓」から、「失敗しないためには失敗しそうなことをしないこと」というルールをつくり、それに従った行動をとるとする。彼は失敗しそうなことはしないので、その行動の結果としては、何もしていないので賞賛も受けなければ、批判も受けないだろう。それは心理的欲求を充足させるものではないかもしれないが、しかし貶めるものでもないので、一時的な結果としては成功かもしれない。が、長期的に見た場合はどうだろう? 失敗というリスクをなに一つ犯すことなく、人生を送ることで心理的欲求の一つでも満たされるだろうか。

さて、この「リアリティー・モデル」を知ることで自身や他人の行動がなぜそうなるのかということがわかるというわけだ。そして、自身や他人の「思いの窓」を知り、人生にとってマイナスになるものならば、それを改めることができる。

1.悪い結果をもたらす「行動パターン」を特定する。
2.その行動を生み出している「想い」を明確にする。
3.その「想い」によって生まれる「将来の行動」を予測する。
4.もっと良い結果を生み出す「新しい想い」を打ち出す。
5.その「新しい想い」によって生まれる「将来の望ましい行動」を予測する。
(P.305)

まずは自身の最低な行動をさかのぼって、自分の中の歪んだ「思いの窓」を探してみよう。ありすぎて困るぐらいあるけど…

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