ドラッカーメモ/貢献へ焦点をあてること・強みを生かすこと

(2)外部に対する貢献に焦点をあてること

成果をあげるためには貢献に焦点をあてなければならない。

「組織の業務に影響を与えるような貢献は何か」を自らに問わなければならない。

成果には3つの領域がある。

  1. 直接的な成果の領域(売上や利益)
  2. 価値の創造と価値の再確認の領域(要するに組織としても目的を確認したり、つくったりすること)
  3. 明日のための人材育成の領域(「明日自らのマネジメントに当たるべき人間を、今日用意しなければならない)

これら三つの領域で成果があげられなければ組織は死ぬ。したがって、この三つの領域における貢献を、あらゆる仕事に組み込んでおかなければならない。

人間関係のあるべき姿

貢献に焦点を合わせることによってのみ、

  1. コミュニケーション
  2. チームワーク
  3. 自己開発
  4. 人材育成

という成果をあげるうえで必要な四つの人間関係上の基本条件を満たすことができる。

「コミュニケーション」とは、「組織、おようび上司である私は、あなたにどのような貢献の責任をもたせるべきか」「「あなたに期待すべきことは何か」「あなたの知識や能力を最もよく活用できる道は何か」と聞く。こうして初めて、コミュニケーションが可能となり、容易に行われるようになる。(P.88)

「チームワーク」とは横へのコミュニケーション。「私の生み出すものが成果に結びつくためには、だれがそれを利用してくれなければならないか」と問うこと。

「自己開発」も貢献に焦点をあてなければならない。「組織の業績に対する自分の最も重要な貢献は何か」と自問し、「いかなる自己開発が必要か」「なすべき貢献のためには、いかなる知識や技能を身につけるべきか」「いかなる強みを仕事に適用すべきか」「いかなる基準をもって自分の基準とすべきか」を考えること。

「人材開発」は貢献に焦点をあてることで他人の「自己開発」を誘発すること。属人的な基準ではなく、仕事のニーズに根ざした基準を設定し、卓越性を要求すること。

(3)強みを基準に据えること

組織の役割は、人間一人一人の強みを、共同の事業のための建築用ブロックとして使うところにある。

他人に成果をあげさせるためには、決して「彼は私とうまくやっていけるか」を考えてはならない。「彼はどのような貢献ができるか」を問わなければならない。また、「何ができないか」を考えてはならない。常に「何を非常によくできるか」を考えなければならない。

強みに基づいた人事には四つの原則がある。

  • 人間にはできない職務をつくらないように気をつけなければならない

    前職において十分な仕事ぶりを示してきた人間を二人三人と挫折させる職務は、そもそも人間の職務ではない
  • 職務はすべて、多くを要求する大きなものに設計しなければならない
  • 職務が要求するものではなく、その人間にできることからスタートしなければならない
  • 強みを手にするためには、弱みはがまんしなければならない。

人事考課は「できないこと」を明らかにしたり、弱みを分析するものではあってはならない。「われわれは、一人一人の人間が組織の成果のために果たす貢献について、徹底的に考えなければならない。なぜならば、具体的な成果への期待に関してのみ、人間の成果は評価できるからだ」。

「成果をあげるエグゼクティブは、通常、彼ら独自の考課方法を工夫している。そのような人事考課は、まず、過去と現在の職務において期待されるべき貢献、およびその貢献の目標に関して、実際の成果を記録する。その後、次の四点について評価する。」

  1. 「彼(または彼女)がよくやった仕事は何か」
  2. 「彼がよくできそうな仕事は何か」
  3. 「彼が強みを発揮するためには、何を知り、何を身につけなければならないか」
  4. 「彼の下で自分の子供を働かせるか

    (i)そうであるならばなぜか

    (ii)そうでないならばなぜか

ついつい評価となると、「彼(彼女)は何ができない」「あれが苦手」という欠陥探しが始まってしまう。しかし弱みに焦点をあわせた人事は組織を疲弊させるだけだろう。強みに焦点をあわせ、その強みを成果に貢献できるよう職務を設計することが必要なのだ。

今、潜在化している問題の一つは確実にここにある。

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