EQリーダーシップ 成功する人の「こころの知能指数」の活かし方

EQリーダーシップ 成功する人の「こころの知能指数」の活かし方
ダニエル ゴールマン, リチャード ボヤツィス, アニー マッキー, 土屋 京子

久々に読み返してみた。大流行した本なのでいまさらという感じもするけれど。

EQとは本書のサブタイトルにもあるように「こころの知能指数」のこと。優れたリーダーシップにはEQが不可欠であるということ。いわばリーダー論だ。リーダーの影響力、組織をひっぱっていくリーダーの理想のタイプ、リーダーのEQを高めていくには?というようなことが、ちと怪しげな大脳生理学なんかの事例や著者らの調査データに絡めて語られる。が、述べられていることは至極まともなことで異論はない。科学的、客観的な裏づけがなくったってEQみたいなものが組織活動に与える影響が少なくないということは身をもって体験している。

企業風土(その企業で働くことについて社員がどう感じているか)は業績を二十から三十パーセント左右する力を持っている。
(略)
企業風土を左右するものは何か? 従業員が何から企業風土を感じ取るかを追跡してみると、五十ないし七十パーセントが「リーダー」という一人の人物の行動に起因していることがわかる。リーダーは、他の誰にもまして、従業員の働きぶりに直接的な影響を与える存在なのだ。(P.33)

これはかなり信憑性がある。駄目なリーダーによって何十人というスタッフがやる気をなくしていった様をマジかに見たことがあるからだ。みんな熱意を持って入社してきたにもかかわらず、数ヶ月もすると会社への不満しか出てこない状態になる。業績も思うようにあがらない。悪循環。

本書のなかでは6つのEQリーダーシップスタイルがあげられている。
ビジョン型、コーチ型、関係重視型、民主型、ペースセッター型、強制型だ。

78ページにそれぞれのスタイルの特徴が簡単にまとめられているのでそのまま掲載しておこう。自分はどのタイプに一番近いのか、どのタイプのスタイルを志すべきか。それぞれのリーダーシップスタイルには、必要なコンピテンシーがある。

ビジョン型
< <共鳴の起こし方>>共通の夢に向かって人々を動かす
< <風土へのインパクト>>最も前向き
< <適用すべき状況>>変革のための新ビジョンが必要なとき、または明確な方向性が必要なとき

コーチ型
< <共鳴の起こし方>>個々人の希望を組織の目標に結びつける
< <風土へのインパクト>>非常に前向き
従業員の長期的才能を伸ばし、パフォーマンス向上を援助するとき

関係重視型
< <共鳴の起こし方>>人々を互いに結びつけてハーモニーを作る
< <風土へのインパクト>>前向き
< <適用すべき状況>>亀裂を修復するとき、ストレスのかかる状況下でモチベーションを高めるとき、結束を強めるとき

民主型
< <共鳴の起こし方>>提案を歓迎し、参加を通じてコミットメントを得る
< <風土へのインパクト>>前向き
< <適用すべき状況>>賛同やコンセンサスを形成するとき、または従業員から貴重な提案を得たいとき

ペースセッター型
< <共鳴の起こし方>>難度が高くやりがいのある目標の達成をめざす
< <風土へのインパクト>>使い方が稚拙なケースが多いため、非常にマイナスの場合が多い
< <適用すべき状況>>モチベーションも能力も高いチームから高レベルの結果を引き出したいとき

強制型
< <共鳴の起こし方>>緊急時に明確な方向性を示すことによって恐怖を鎮める
< <風土へのインパクト>>使い方を誤るケースが多いため、非常にマイナス
< <適用すべき状況>>危機的状況下、または再建始動時、または問題のある従業員に対して、


うちの場合どうだろうか。組織としては「関係重視」から「民主型」に近いリーダーシップスタイルだろうか。部門やグループによって多少の違いはあるだろうが、全体としてはそうかもしれない。「関係重視型リーダーにとって、部下の感情面のニーズは仕事の目標以上に重要だ」。このリーダーシップスタイルにとって必要なEQコンピテンシーは「紛争解決」。意見の相違を解決する能力だ。関係重視型をとるリーダーの多くは、ビジョン型アプローチを併用する。この二つがあわさるとかなり強力だ。

社長は「民主型」を好む。上から一方的命令はしない。何をしていくにも同意と深い理解(うわべだけじゃない、背景も含めた理解)を大事にし、可能なかぎりスタッフの意見をとりいれようとするスタイルだ。デメリットもある。スピードだ。トップダウンによる決定ではないので、かなり回り道をする。回り道はするけれども、今のところ「こっち」のやり方のほうが強い組織になっていっているような気はする。

スポンサーリンク

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする

スポンサーリンク

コメント

  1. 仕事がデキる!!だけでは、人はついてこない

    EQリーダーシップ 成功する人の「こころの知能指数」の活かし方
    ダニエル ゴールマン 著, リチャード ボヤツィス 著, アニー マッキー 著, 土...

  2. セミナー「リーダーシップと脳科学」

    2月23日、神楽坂TMC 通常例会において、セミナー「リーダーシップと脳科学」を柳川が行いました。
    リーダーシップと脳科学、とりわけEQとの関係について紹...

コメントをどうぞ

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です