最近読んだ小説など
最近はすっかり池波正太郎にはまっています。いやぁ面白いです。「鬼平犯科帳」がまさかこんなに面白いとは思いませんでした。これは傑作ハードボイルドです。1つ1つの話をとりだしても十分に面白いのですが、シリーズを通しても一つの世界がつくられていて、読み進めれば読み進めるほどに面白くなってきます。
あと、大西巨人の「神聖喜劇」。こちらは遅遅として進みませんが、読むことが一つの精神鍛錬だと思って読んでます(面白くないという意味ではないです)。
しかし、最近はあまり小説を読んでないです。昔、読んで面白かったものは適当に読み返してますが、特に新人の作品についていってない。海外はほとんどまったくといっていいほど手付かず状態で、やばいなぁと感じてます(何がやばいのかはわからないですが)。
数ヶ月ぐらい小説を紹介してないので、今日は最近半年ぐらいで読んだ小説を紹介します。
- 吉村 萬壱「ハリガネムシ」
- デビュー作の「クチュクチュバーン」にはやられましたけど、芥川賞受賞作の本作も面白いです。主
人公の行動や思想に少しづつ歪みが生じてくるのに、語り口はおそろしく覚めていて、そのギャップに「痛み」や「苦しみ」が滲み出てくるんでしょうか。途中で気持ち悪くなりました。
- デビュー作の「クチュクチュバーン」にはやられましたけど、芥川賞受賞作の本作も面白いです。主
- 伊坂幸太郎「重力ピエロ」
- 舞城ほど壊れてはないけど、この人もミステリーというようなジャンルで括られるのは、どうかなぁと思います。村上春樹がある意味「ミステリー作家」であるというような意味では彼もミステリー作家なのかもしれないですが。本格ミステリーを期待してると肩透かしを食らいます。テンポの良さと文章の品の良さはものすごく優等生的ですが、それが嫌味でもない。力量なんでしょう。彼は「ストーリー」がなくても、読ませる力がある作家だと思います。
- 五十嵐 貴久「フェイク」
- あまり面白くなかったです。この手の小説は読んでる時間がいかに愉しいかということしか興味がないのですが、読み終わった後に後悔しました。最後まで読ませる力量はあるけど仕掛けの練り方があまりにも杜撰だと思います。最後は噴飯モノです。
- 矢作俊彦「THE WRONG GOODBYE ロング・グッドバイ」
- 矢作ファンにはたまらん一作です。矢作俊彦は最も尊敬する作家の一人。彼の書くものはだいたいは読んでますが、新作でまさか二村が出てくるとは思いませんでした。タイトルからして、彼の本領発揮(といっても矢作さんほど多様なスタイルを持っている作家も少ないとは思いますけど)か?と期待させるわけですが、期待に違わぬ大傑作でした。
- 村上春樹「アフターダーク」
- mixiの日記では紹介しましたが、日記を潰してしまったのでこちらへ。多分、飛躍のための助走みたいなものだと思います。軽妙な会話(重い話を軽い比喩で、軽い話を重い比喩で)とリズム、ノスタルジーみたいなものが好きな村上春樹ファンにとっては失望の一作かもしれないです。(村上春樹はそういう作家ではないとは思うけど。)
- 羽田圭介黒冷水
- 構成はすごく凝っていて、読み終わった後に仕込まれていた隠し絵がわかるようになったりするわけですが、そんなものは正直どうでもいいです。話自体、普通に面白いわけですが、やはりそのままでは終わらせられないんだろうなぁと。そこが悲しい。「ストーリー」にどうしても乗っかからざるをえず、且つそのストーリーも壊さざるをえない。このあたりを「若さ」と見るか、小説というスタイルへの志向性の一つと見るか。
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コメント
池波ファン歴15年です。鬼平も良いですが、剣客商売もなかなかですよ。この二つの小説が、クロスする回もありました。鬼平の次は、ぜひ!
舞城とは別の壊れ方で、古井由吉『杳子』や藤原伊織の初期『ダックスフントのワープ』がなかなかでした。古井の『杳子』は百■(■=門構えに月)に近いかもしれません。移動のお供にいかがでしょうか?
どもども。コメントで誰だかわかるw
「剣客商売」も並行で読もうと思ってる。実は。
古井由吉『杳子』はいいね。古井由吉は現存する作家では最も信頼できる作家の一人だと思ってます。藤原伊織は読んだことない。同居人がもってたなぁ。読んでみよう。
内田百間。旧字がでないのよねぇ。ちなみに、ひゃっけん先生の作品でボクが一番好きな短編は「流木」というやつです。「冥途」に並ぶ違和感です。
『クチュクチュバーン』
このブログは、基本的に管理人が未読(=まだ読んでいない)で、かつ近いうちに読み