図解・仕事術 最強の時間力―タイムマネジメントの法則60

図解・仕事術 最強の時間力―タイムマネジメントの法則60
4767803012行本 明説 日本タイムマネジメント普及協会

エクスナレッジ 2003-10
売り上げランキング : 15,834

おすすめ平均 star基本
starなかなか良い本だ
star直ぐに実践に移せる時間管理術の本

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

これは良い本だ。なるほど、と発見がたくさんある。
明日からすぐに取り入れたり考え方、ツールがてんこ盛り。
単なる時間管理、マネジメントの手法を唱えるだけではなく、組織のあり方や、仕事の本質などをきわめてわかりやすく、論理的に説明している。

ビジネスマン、特にマネジャーやリーダーなどは必読である。

■「四つの時間」をコントロールする

仕事と時間の関係は、

・自分一人の仕事の「(a)はじめ」と「(b)終わり」
・他人と共同の仕事の「(c)はじめ」と「(d)終わり」

この四つに集約される。

この四つをコントロールすることがタイムマネジメントの第一歩とし、著者らが提唱するのは、(a)と(d)の二つの管理─つまり、自分一人の仕事のはじめ他人と共同の仕事の終わりだ。

(d)の管理というのはたとえば、相手からアポが入ったときに「10時から11時までの1時間ならOKです」というように、終わりの時間を決めることや、会議、ミーティングなどでも、開始よりも終わりの時間を参加者に意識させるということなどだ。

(a)を管理するには、「自分にアポイントを入れる」ことが必要だと言う。
著者は具体的に、

(1)自分一人でやる重要な仕事を
(2)4週間先まで
(3)スケジュール帳に記入する
(4)時間としては一日に1~2時間程度でOK!

と述べている。

自分にアポイントを入れる

少し話はそれるが本書のなかで、従来のタイムマネジメントが提唱してきた「緊急度:高い/低い」「重要度:高い/低い」という四象限マトリクスに業務を分けて、管理するという方法は失敗すると説明されている。

この四象限は、『「7つの習慣」の重要事項を優先する』にも出てくる重要な考え方だ。では、これは「7つの習慣」の考え方を否定しているのかというと、そういうわけではない。
「7つの習慣」でこの四象限が出てくるのは、あくまでも僕らの日常は「重要度高×緊急度高」「重要度低×緊急度高」の二つの領域の時間に大部分をとられてしまい、きわめて重要な「重要度高×緊急度低」項目が後回しにされていく、ということに警笛を鳴らしているだけだからだ。

ここで言う(a)のために「自分にアポイントを入れる」という考え方は、「7つの習慣」で言う「重要度高×緊急度低」事項を後回しにしないための一つのテクニックと考えて良いだろう。

なお、
本書では、「重要度」と「緊急度」のマトリクスではなく、
「イ.自分か、他人か」「ロ.今か、後か」という単純な組み合わせで考え、

A:今、自分がやる仕事
B:後で自分がやる仕事
C:他人でもいい仕事

さらに、突発的にやってくる仕事を「X業務」として、

AX:今、自分がやる仕事
BX:後で自分がやる仕事
CX:他人でもいい仕事

という6つの優先順位を設定して、Aランク(AもしくはAX)の仕事から着手することと説明している。


■「情報処理」と「業務処理」

仕事のためのスキルとは、大きく「情報処理」と「業務処理」にわかれる。

情報処理とは、「コミュニケーションの技術」「仕事の進め方の技術」であり、業務処理とは「仕事の進め方の技術」と「その分野の専門知識・技能」だ。

情報処理と業務処理の両方に共通する「仕事の進め方の技術」であり、これはある意味「タイムマネジメント」(=仕事の管理)なのだ。

つまり、仕事とは「コミュニケーションの技術」「仕事の進め方の技術」「その分野の専門知識・技能」という三つの技術、技能によって成立する。

個人と組織の関係を考えるとき、個人はこれら3つのスキルの修得に励み、組織は三つのスキルの環境整備とルールづくりに励む、という関係が相互補完をもたらす。

昨今、組織構造として「フラット型」か「ピラミッド型」かというような議論がなされるが、そのような議論は意味がなく、著者は、

・業務処理はピラミッド型
・情報処理はフラット型

として、組織は二つの組織構造を併せ持たなければならないと言う。
そして、「情報処理」は、バーチャルなもので十分としている。

このような組織を考えるとき、中間管理職(リーダー)は、「個人とバーチャルである組織の接点」「業務処理と情報処理の接点」となる接着剤のような存在であり、不必要どころか、きわめて重要な役割となる。

このような架け橋を演じる中間管理職に必要なのは、業務処理、情報処理に共通するスキルである「仕事の進め方の技術」ということになる。

話が脱線するが、ハーバードビジネスレビュー誌に掲載された「チーム」に関するいくつかの論文を集めた『いかに「高業績チーム」をつくるか』という本のなかに、「バーチャルチームの優位性」という論文が掲載されている。


ここで言う「バーチャルチーム」とは、実際に同じ場所で業務にあたったり、直接顔をつきあわせて会議や報告会を行う「リアルチーム」に対して、「各所の散らばる人材をITで結束させる」運営形態をとるものとされている。

僕の感覚では、「リアルチーム」に比べれば、「バーチャルチーム」はまだまだ非効率だろうし、やはりフェイス・トゥ・フェイスに勝るものはないのではないかというのが正直なところなのだけれども、この論文を読むとこういう固定概念は覆される。
「バーチャルチーム」は必ずしも「リアルチーム」に劣るわけではなく、むしろ「リアルチーム」よりも高い成果を生み出す可能性を秘めている。

本論文の結論としては「プロジェクトに多種多様な能力と支店が求められる場合、またsの仕事がデジタル・ツールでまかなえる場合には、フェース・トゥ・フェースで働くリアルチームよりもバーチャル・チームを選択したほうがはるかに賢明である」(P.68)だとしている。

たとえば、複雑なプロジェクトなどでは、意思決定が頻繁に求められるが、意思決定を全員が集合するまで延期することは、すべてが遅延していく原因になる。ミーティングが近くなると、だれもがそこで実際の意思決定が下されると考え、ミーティングが開かれるまで手を止めてしまったりする。

もちろんバーチャルチームで何もかもうまくいくわけではない。バーチャルチームを選択するときには、三つの問いをしっかり考えなければならない。

・チームをどのように発足させるか
問題解決のために、チームメンバー全員に意見を求め議論し同意を得る。バーチャルチームだからこそ頻繁な会議を行うことができる。

・どのようなテクノロジーを活用するか
面白いのは、eメールやTV会議などは成功しているバーチャルチームはたいてい役に立たないと考えていることだ。ここではチームメンバーが利用する専用のバーチャル上のワークスペースがうまく行くとされている。「ワークスペース」はうちで言うとWikiみたいなものか。うちの場合は、Wikiとメールとインスタントメッセンジャーが、バーチャルチームが利用するツールになるのかもしれない。

・チームリーダーがどのようにチームメンバーに相互支援させるか
結束させるために一週間か二週間、臨時でペアを組ませて働かせたりする。
各メンバーたちに共通項を見つけさせ、結束を強めてやる。バーチャルチームだからこそ、お互いが深く理解できるために、何かしらの共通項を見つけてやるなどしなければならない。

と、大きく脱線したが、「情報処理のフラット型組織」ということを考えると、この「バーチャルチーム」の考え方は頭に入れておいても良いものかなと思った。「コミュニケーションの技術」の一つとして、バーチャルチームを成功に導くための法則は必要だろう。

スポンサーリンク

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする

スポンサーリンク

コメント

  1. JR羽越線脱線事故、先頭車両の不明母娘の怪

     複数の乗客が不明母娘を目撃しているという。
     にもかかわらず、いまだ母娘は発見されず、母娘の家族や親類と断定される人も存在しない。
     これはどういう...

コメントをどうぞ

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です