「儲かる仕組み」をつくりなさい

木曜日東京で、日帰りのつもりが帰れなくなった。もう東京に家はないのでホテルなのだが、日帰りのつもりだったので下着を持ってきてなくて購入した。こういうことを繰り返しているせいで、家には下着だではものすごい充実度だ。3週間ぐらい洗濯しなくても大丈夫なぐらいにストックがある。自慢できることでもないが。

「儲かる仕組み」をつくりなさい—-落ちこぼれ企業が「勝ち残る」ために
4309243525小山 昇

河出書房新社 2005-08-09
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あまりにもありがちなタイトルだったので迷ったけれど、株式会社武蔵野の小山さんが書いてるってこともあったし、新幹線のなかで読む本がなかったので買ってみた。帰りの新幹線で読んで、買って良かったと思った。

タイトルからは神田的な営業やダイレクトマーケティング手法が中心と思われるかもしれないが、内容はまったく違う。「人」を中心として捉えて、どうやって「人」を教育していくか、その「仕組み」をつくるためのルールや考え方に焦点が合わせられている。それは、小山社長が「ヒト・モノ・カネ」のなかで企業にとって一番重要なのは「ヒト」だという信念を持っていて、ヒトを教育して成長させられなければ、企業の発展、存続はない、という考え方を背景としている。
この考え方が基本、うちの会社の考え方と同じなので、ここで説かれているさまざまな「仕組み」、その考え方の大部分はうちの会社にも応用できるものではないかと思う。

なるほど!と思うアイディアやヒントが詰まった本書から、特に昨今うちで問題になっている「人依存」(標準化できない/スタープレイヤーに頼ってしまう)の問題を解決するための仕組みをいくつかピックアップしてみる。

例えば、武蔵野では、課長職以上の職責者は年に1度、月末から月初にかけて9日間の連続した有給休暇をとらなければならないというルールが設けられている。そしてこの休んでいる9日間は、家でメールを読んだりすることは許されているが、返信してはいけないことになっている。つまり家でも仕事はしてはならない。

月末、月初というあえて忙しい時期に無理矢理に休まなくてはいけないルールを設けることで、当人たちは自分がいなくても業務を回していけるように日頃から部下を教育する。もちろん当人が休んでいる間に何か業務に滞りが起きれば、その本人の評価に直接響くことになっている。こうなると嫌がうえでも業務の標準化を進める、マニュアルをつくるといったことを心がけるようになるそうだ。

普通なら、そんな忙しくて大事なときに、優秀な人間、上の人間が休んでてどうするんだ!?ということになるだろうが、考え方を変えれば、業務の標準化や引き継ぎ、情報の共有みたいなものを、こういう制度や考え方を敷くことで徹底させることができるわけだ。

しかも、これと同じような発想で、組織全体のスクラップ&ビルドも行ってしまう。そう、大規模な人事異動を意図的にやってしまうということ。

武蔵では2005年3月に全社員の30%が配置換えになるような大規模な人事異動を11年ぶりに行ったそうだ。「一斉に異動して混乱させることで、知っているつもり、やっているつもりという惰性を払拭し、新たな体験をさせるためです。これだけの大異動となると、社員も大慌てで引き継ぎをします。営業担当になった者は改めてお客様のところに挨拶に行きます。これが新たな体験となります。」(P.131)

武蔵では、大きな異動を行うたびに業績が上向くそうだ。
これも面白い発想だと思う。あえて大規模に組織をいじることで、組織の活性化を促していく。

また、なんと武蔵は社員が300人を超えるのに、経理担当はたった二人。しかも二年おきに交代らしい。これも同じ発想で、次の人に引き継ぐことを意識させることが狙いだ。これが小山社長の言うところの「仕組み」だ。業務のマニュアル化をしろ、引き継ぎできるようにしておけ、と口でいくら言っても、人間は怠け者だし、切羽つまらなければなかなか、後の人のために何かをするなんてことに時間を割けない。武蔵では人事異動や強制休暇という環境を与えることで、実践していく。

小山社長の考え方は実にシンプルだけれど利に叶っている。
他にも、「個人専用の机をなくせば業務の標準化が進む」というようなアイディアも、うちの発想にはなかったものだ。

一方、社員を経営に参加させる仕組みというのもとても参考になる。これもうちの大きなテーマの一つだ。

社員を経営に参加させる仕組みとして、武蔵では「クレーム対応チーム」「環境整備チーム」「安全運転推進チーム」など、11のチームがある。チームメンバーは各事業部から部門横断的に集められ、リーダーは立候補で決まっている。日産のクロスファンクショナルチームにも似ている。最近、うちでも始めた制度だ。うちでも始めた制度だけに、この運営の仕方はそのまま真似られるのだろう。

各チームは月1回あらかじめ決められた日に集まって活動する。定期的に三チームづつ、最高決定機関である「経営品質向上委員会」で活動経過や改善状況を発表しなくてはならない。この発表もごまかしが利かないようにチームメンバーのなかの一般社員が発表しなければならない、というルールになっている。

チームは半年ごとに解散してメンバーを入れ替える。自分の上司のいないチームに行くのを基本とするが、強制的に「賞与評価でCとDを取った社員は同じチームにいてはいけない」ということになっている。

チームはまず、実行計画を作成するミーティングを開く。
チームでは上下で発言の差がでないように、案を出す場合には、アイディアを付箋に書き出して貼るようにする。口頭だとどうしても職責の高いものの意見が通ってしまうからだそうな。そして、寄せられた提案は3つぐらいに集約され、最終的な決定は多数決ではなく、全員一致で決める。単純に、「全員が合意するまで帰られない」というルールを敷くことで嫌々でも「全員一致」とする。「全員一致」とすることで、改善計画はスムーズに行くのだそうだ。なるほど。

本書を読んで痛烈に感じたことは、「勉強しろ」や「情報共有しろ」「マニュアルをつくれ」とか、「引き継ぎをしろ」なんてかけ声は、ただかけ声を繰り返していれば良いのではなく、それらをやらざるをえなくなるようなトリガーを仕組みとして用意してやらなければならないのだ、ということだ。そして、それを用意できるのはマネジメント、しかもトップマネジメントの役割なのだということ。少し身につまされる思いだ。うちの会社だとどちらかというと「根性で頑張る」的発想が中心になるし、やはり「掛け声」が中心だ。ではなく、強制でも強要でも、それが社員にとっても大きなメリットとなりえるものなら、きっちりと「仕組み」化しなければならない。

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コメント

  1. ★★★★★「「儲かる仕組み」をつくりなさい」小山昇、河出書房...

    いつも応援ありがとうございます。今日は何位になっているでしょうか?---■今朝のカザフスタン・ウラルスク:9時6℃:晴れ---寒くなってきました。それにつれてスイカの値段も下がってきたようです。いつも道路で売っ...

  2. sho より:

    組織に仕組みを作ること、仕組みを作る意味の重要性を認識させること、はホント重要ですよね。非常に参考になりました。

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