オマケつき!マーケティング
セスの新作。少し前に買ってほったらかしにしてた。
内容は『パーミッションマーケティング』から『バイラルマーケティング』、そして『「紫の牛」を売れ』へと続く流れの延長線上に位置している。というか「紫の牛」という言葉を「オマケ」という言葉に言い換えただけのようにさえ思える。あいかわらず事例が豊富なので、この手の成功事例を仕入れたい人は読んでおいても損はないかもしれないが、内容は「紫の牛」を読めば充分と言える。
セスの主張は一貫している。パーミッションマーケティングでは、徹底してマスマーケティングの終焉と、パーミッション(許諾)をベースとしたマーケティングへのシフトを説き、その先に、クチコミというマスマーケティングの対局にあるような手法を示した。そしてそれらのベースには、商品やサービスそのものに驚きや、クチコミを誘発させるものが必要という考え方に行き着く。(一方で、セスは組織自体の活性化みたいなことを『セス・ゴーディンの生き残るだけなんてつまらない!―「ズーム」と進化がビジネスの未来を拓く』で語っていて、前にも書いたけれども、実はこの本がセスのなかではボク個人としては一番面白かったのだけれど)
ボク自身はマスマーケティングが不要になるとは到底思えないし、むしろマスが駄目だとか、バズが良いだとか、手法によってチャンネルの善し悪しを考えていくという、そのかんがえかたそのものが今の時代には危険だとは思ってはいるのだけれど、チャンネル最適化や接点管理といういわゆる生活者中心のマーケティングには、どうしても製品やサービスそのものへの視線が欠落しがちだ。商品の魅力を高めるという当たり前のことが、「パーミッションマーケティング」や「バズマーケティング」みたいなある種の偏ったタームのなかで捉えられると、すっかり忘れさられてしまう。「紫の牛」、本書と続けて、この部分について語ったは、そういう偏った考え方への警告の意味も含まれているのかもしれない。
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