伊坂幸太郎「ラッシュライフ」

4101250227 「ラッシュライフ」─ 正月もそろそろ終わりで、積み残してたり先延ばしにしてたことをやり始めるのだけれど、なかなか手につかず、ふらりと本屋に行って買ってきた本書を一気に読んだ。
巻頭のエッシャーのだまし絵と、5つの物語が並行して進んでいく構成から、ピンとくる人にはすぐにピンとくる仕掛けだ。謎解きを愉しむというよりは、どうこの物語を収斂させるのか、どこに「騙し絵」を入れているのか、そんなことを期待しながら読み進めよう。

物語の始まりでは、5つの物語が野良犬、エッシャー展、駅前に立ち道行く人たちに好きな言葉を書いてもらうガイジンなどを介在して、5つの物語が並行して静かに語られる。そしてそれら物語は登場人物達が口にする「リレー」という言葉に集約されるかのように、あるいはエッシャーの騙し絵を見るかのように、あるところで交錯し、循環を描く。こういう仕掛けだろうなということはわかりつつ読んでいながらも、怒濤のように繋がりを生み出し収束していく物語は、一度読み始めると、最後まで読み進めたくなる強力な引力を持っている。終盤に物語全体の「謎」を一気に明るみに出していくところは、キャラクタに大部分を語らせてすませてしまうなどかなり強引とも思える構成だし、ニヒルな登場人物達の「気の利いた」台詞はいかにも作り物めいてはいるのだけど、物語そのものの作り込みは良くできていて、充分に愉しめる小説に仕上がっていると思う。

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