ソラニン 浅野いにお


“ソラニン 1 (1)” (浅野 いにお)


“ソラニン 2 (2)” (浅野 いにお)

マンガを紹介することはほとんどないが、実は大のマンガ好きだ。独身時代は暇があればマンガ喫茶に通っていたし、今も週刊誌は何冊かかかさず読んでいる。

さて、最近、浅野いにおにはまってる。「いまさら」と言われそうだが。いやぁ、今まで読まなかったことを後悔した。だって、やたらと人文系の人たちからも注目されてるし、なんかあまりに注目されるとあえて手にしたくなくなるんだよなぁ、というのは言い訳だが。しかし、ほんと読んで驚いた。

とにかく、ソラニンはやばい。なんだろうか、この息苦しさというか、読み終えた後の苦しさは。
他のいにお作品もすべて読んだのだが、やはりソラニンだ。彼の作品のなかではある意味最も青臭く、でも最もしっかり描かれた作品だと思う。ストーリーとそのストーリーを支えるさまざまな道具だけを取り上げれば、典型的なモラトリアム型青春ストーリーのありきたりさなのに、なぜこんなに突き抜けてるんだろう。

まだ読んでない人はぜひ読んでほしい。多分、今、この時代の「青春」マンガのリアルってのは、こういうことなんだろうと思う。そう感じさせるものがある。
ここには熱さはないし、かといって冷めきってるわけでもなく、「終わらない日常」と優雅に戯れられているわけでもない。脱力や無気力や厭世主義に支配されるわけでもなく、かといって暴力や狂気やエロスに走るわけでもない。ボクらは絶妙なバランスで、この今を生き、そして今こうやって生きていることが、その後、ノスタルジックな光景として思い出される日がくるのだろうな、という少しやらしい意識を片隅に持ちながら、今を生きる。とてもねじれた意識だ。でも、それがリアルなんじゃないか。

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