雪だるま式に人を増やすには

ガズーバ!―奈落と絶頂のシリコンバレー創業記 (Impress business books)
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人が人を呼んでくるという口コミの仕掛けで、雪だるま式に人が増えるためには、あたりまえなのだけど、人が人に紹介する率などがある一定の閾値をこえなければならない。

それを単純に表すと、

I = A × N

A: サービスを友人にすすめる割合
N: すすめる友人数


となる。このIが、1を超えないと、雪だるま式には増えない。
これは、「ガズーバ」という本の中に書いてあったことで、ボクが考えたことでもなんでもない。

説明するまでもなく当たり前すぎることだけれど、以外とこういう単純な公式を覚えておくことは役立つ。

例えば、
Aが30%で、Nが5人だとすると、Iは1.5なので、これは雪だるま式に増えていく。

100人が入会して、30人が5人へ紹介するので、150人が新たにやってきて、さらに150人の30%が、、、ということになるので、どんどん増えていく。
逆に、Aが30%でも、Nが3人だとどうなるか。Iは0.9999 と1を切る。この場合は、雪だるま式に増えない。

100人きて、30人が3人に紹介なので90人が次にやってきて、その90人のうち27人が3人づつに紹介して、81人がやってきて、、、と、徐々にやってくるユーザーの数が少なくなるので、自然に伸びがとまる。

A×Nが1を超えるような割合や数のバランスを目標としていかかないといけない。

このサービスは頑張っても、10%ぐらいしか紹介してくれない、となると、じゃぁ最低10人以上を呼び込みたくなるような仕掛けをつくらなければいけないし、いや、30%ぐらいの人は友達を呼ぶだろうということで設定できるなら、呼び込む友達数は最低3人以上になればいい。

さて、ではどうやったらこのA×Nを大きくしていくことができるだろうか。
こういうものにもいくつかのパターンがある。


■1)モバゲー、ゴルゴンゾーラ、デコブロ、お財布.com、ECNaviなどなどのポイント還元手法
友達紹介すると何ポイント(何円)もらえる。そのポイントで何かに引き換えられる。
友達1人紹介で、何かがもらえる。
モバゲーなんかまさにこのパターン。愉しむために、不特定多数の人を誘い込もうとみんなが必死になる。


■2)初期のgmail、Joost、nowa などのクローズドベータ手法
これらのサービスは、初期段階では「招待制」であり、招待できる人数にも制限がかかっていた。
実は、招待できる人も制限していても、さっきのI=A×N公式でIが1を超えていれば、クローズドでも、人は雪だるま式に増える。

これは特にもともと注目度があるサービスとか、事前パブとかで話題ああるものには有効な手法。

招待できる数を制限しておくと、逆に、人は招待を有効に使う。ほんとに使いたいという人にだけ教えたりとか、あまり無駄に招待をしなくなる。これによって、招待された人が利用する率が上がる。
仮に、招待数を10人に制限していたとしても、サービスを利用した人の20%が人に薦めるとして、薦める人が5人以上に薦めてくれさえすれば、クローズドだろうがなんだろうが、どんどんユーザーが増えていくという仕掛け。

そして、AやNの割合、値が落ち込んできたところで、「一般公開」する。すると、そこでもさらに、今まで招待されずに待ってた人
が飛び込んでくれる。二度おいしい。


■3)IM、mixi、ブログなどなど、外部ネットワーク利用もの
そのソフトやサービスなどが他の人と利用しないと意味がないもの。ネットワーク外部性が働くもの。
Instant Messengerなんかは、複数人で利用しなければそもそも使えないので、使おうと思う人は、そのソフトを一緒に使いたい人にも薦める。あるいは、他の人が利用しているソフトやサービスにあわせたものを使う。

この手法は、よほどのインパクトや革新性や斬新さなどがない限り、一度、シェアをとられてしまっているものを後発のものがひっくり返すのは、かなり難しい。
ただ、例えば、データをまるごと移管できるとか、そちらに皆で移ったほうが幸せという場合には、一気にユーザーが移ったりする可能性もある。


■4)顔ちぇき、脳内メーカー、成分分析、富士エアーDVDなど、サービス、商品そのものに「紫の牛」があるパターン
これが一番強力であり、難しいわけですが。
「紫の牛」とは、セス・ゴーディンの言葉で、つまり、商品やサービスそのものの斬新さとか、驚きとか、そういうもので人にどうしても伝えたくなったり、見せたくなったりするそういう要素のこと。

例えば、顔ちぇきだと、あのサービスを知って、利用した人は、その結果がどうであれ、どうしても何人かには、このサービスのことを伝えたくなる。伝えられた人は伝えられた人で、なかなかスルーできず、一回は試してみたくなる。

結果、ものすごいバイラルが発生する。
#この手のものは、マスメディアもすぐに飛びつくので、さらに煽られる。

ただ、このタイプのものは、おそろしい勢いで一気に広がるけれど、すぐに限界レベルまで広がり、誰もが知ってるというところに達する。そうすると、一気に減速することが多い。
そのときに、どうやってそれまでの利用者を継続的な利用者に変えられるかというのが重要。

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