佐内正史対照2 DUST

 佐内正史さんの対照2「DUST」が届いてた。今回のは西新宿を撮ったものだ。

1の「浮浪」が京都だったので、まさに対照的な2つの場所を撮影場所として選んだということになる。(※「対照」というシリーズは、今後もいくつか出て行くので、この2冊が「対照」という意図を持ってつくられているわけではないようだが)

個人的には、「浮浪」だけを見ているときには意識しなかったことが、「DUST」を見て、浮かび上がってきたりして面白かった。再度「浮浪」を見返してみて、「浮浪」の良さを改めて実感した。

「浮浪」には もう今はそこにないかもしれないと思わせるもの、かけがえのなさが漂う。収められている写真にはのっぺりとした時間が漂い、それは確かにあったある日、あの時、あの空気みたいなものを否応なく醸し出す。

一方、「DUST」にも同じようにのっぺりとした時間が漂いはしているのかもしれないが、そこに「歴史」が根付いていないように思えるのだ。「DUST」にあるのは「変わらない日常」を捉えた空虚感みたいなものだ。

あくまでも個人的な感覚に過ぎないが、言い換えるならば、

「浮浪」では「ある日」が失われることの哀しさがあるのにたいして、「DUST」には、「ある日」が失われえないことの哀しさが漂っている とでも言うべきか。

「対照」シリーズは今年だけでもあと2~3作でる予定というようなことを写真好きの友達から聞いたが、次の「対照」を手にしたとき、また、この2作の見え方が大きく変わるかもしれない。

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