謎の会社、世界を変える。―エニグモの挑戦


謎の会社、世界を変える。―エニグモの挑戦
謎の会社、世界を変える。―エニグモの挑戦 須田 将啓ミシマ社 2008-03-14
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楽な道を安易に選ぶ人が嫌いだ。
たぶん、楽な道を選んで、スイスイ人生を渡り歩いてしまうような器用な人に憧れているだけなのだが。自分はそんな風には生きれないので、そんな風に生きれる人が羨ましい。嫉妬だ。だから、そんな人生甘くねーよ、今、楽してたら、そのうち大変な目にあうさ、などと負け犬の遠吠えのようなことを言ってしまうのだろう。

謎の会社、世界を変える。エニグモの挑戦」という本の中でこんな一節がでてきた。
「エネルギーは抵抗が大きいほど、多くのエネルギーが蓄えられる。困難な道のほうが、自分に蓄えられるエネルギーが大きく、プラスになるのだと思う」
エニグモは「バイマ」や「プレスログ」「フィルモ」といった「世界初」のサービスを生み出し続けているベンチャー企業だ。創業者の1人、須田さんが自分の行動規範として掲げている「道に悩んだら自分にとって困難な道を選ぶ」という規範の根拠として、このエネルギーの法則をあげていた。

昔、300勝を達成した大投手、元近鉄バッファローズの鈴木啓示投手もスランプに陥った時に、同じような言葉を当時の西本監督にかけられたという話を聞いたことがある。
あれは200勝達成の前だったのか、300勝達成の前だったのか覚えてないのだけれど、どちらにせよ大記録達成目前で勝てなくなってしまったことがあったらしい。
あまりにも勝てなくて、自信を喪失した鈴木は、こんな醜態を晒し続けるならもう引退したほうがいいと思い、その旨を監督に告げにいった。そこで西本監督が言ったことは、こんなことだったと思う。具体的には覚えてないが、内容に大きなズレはないだろう。
「楽な道を選ぶのはいつでもできることだ。迷ったら困難な道を選びなさい」
この話を誰から聞いたのか、いつぐらいに聞いたのかも忘れてしまったのだけれど、なぜかこの話はよく覚えていて、ボク自身の行動規範というか考え方のベースにも、こういう考え方がある。
だから、安易に楽な選択をしていく人がなんとなく肌にあわない。
エネルギーの法則がどんなものかも正直よくわかっていないけど、同じように「困難な道を選ぶ」ということを規範に据えている人がいて、その人がまさに「世界を変える」ような活躍をしていることに、なぜか嬉しくなった。

エニグモについては、「起業家2.0」でも創業当時の話を読んでいたのである程度は知っていた。最初にシステム開発を頼んだ会社が下請けに丸投げしていて、その下請けが逃げてしまい何ヶ月もかけてきた開発がパーになってしまったことなど。
外側から見れば順風満帆に見えても、起業や経営、そして誰もやっていないサービスを生み出すということには、困難に立ち向かい乗り越えていくためのパワーや情熱が必要なのだということを改めて思い起こさせてくれた。

本書のなかで、エニグモをやりはじめて会社に行くのが楽しくて楽しくて仕方がない、というような一節がでてきた。日曜日には早く月曜日になってほしい、早く会社に行きたい、それぐらいに楽しいと。その気持ちや感情はすごく素敵だなと思った。今、うちの社員で会社に行くことが楽しくて楽しくて仕方がない。早く会社に行きたいと思っている社員やマネジャーがどれぐらいいるだろうか。

昔話で過去を振り返ってばかりいても何の発展もないけれど、創業当時からある時期までは、確かに会社にいることが楽しいと心から思える時期があった。金もなく、仕事もなく、とても苦しかったけど、サークルの部室にウダウダと居座ってる感じで、気の許せる仲間と終電間際、深夜まで何をするでもなく時間や空間を共有する。もちろん当時は当時で、早くこんな状況から抜け出したいと悩み苦しんでいたのだけれど。でも当時のほうが金も技術もなかったけど、いろんなものを作ってた。作った商品のいくつかは当時のうちの財政難を支えてくれたし、いくつかの商品はなかずとばずで消えていった。でも、作ることが愉しかった。

本書を読んで、やっぱり自分たちも新しいもの、面白いものを作りたい、生み出し続けたいと強く思ったし、面白いものを生み出すには、やはり自分たちが心の底からそれを愉しまなければならないと改めてて思った。ビジネスとして、仕事として、金儲けとして、担当についたから、責任があるから、そんな理由だけでは面白い商品やサービスは生み出せないだろう。まず、何より自分たちがワクワクすること。愉しむこと。重要なのは何をつくるかよりもそこなのではないだろうか。

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