そうだ、葉っぱを売ろう

そうだ、葉っぱを売ろう! 過疎の町、どん底からの再生
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7月29日に放送された「カンブリア宮殿」にはかなりたまげた。
その日の賢人は横石知二さん。
ボクはその人のことも、その人の「そうだ、葉っぱを売ろう」もまったく知らなかったのだが、放送を見始めて久々に番組に釘付けになってしまった。

舞台は徳島県上勝町。
過疎化が進むこのどこにでもありそうなこの町が、今や全国から注目を浴びている。
横石さんは、この村で「葉っぱ」を売るビジネスを組み立てた人物だ。
そう、上勝町なら誰でもどこでも手を伸ばせば手に入る「葉っぱ」だ。
それが、今、大きなビジネスとなっている。

驚いたのは、その仕組みだ。

葉っぱの注文は、全国から町役場に朝一に電話で入ってくる。
朝は電話が鳴り止まない状態だ。

注文をまとめたら、それを本部は村のおばあちゃん達に一斉にFAXをする。
おばあちゃん達は、そのFAXを受け取るや、チケット購入を争う若者達のように、一斉に本部に電話をかける。電話はなかなか繋がらない。
ようやく繋がったら、自分がどの葉っぱを何枚やるかを申請する。すでに他の人に取られてしまっている場合もある。そこは早い者勝ちなのだ。
そこで確認がとれるやいなや、おばあちゃん達は森に入っていく。森といっても、もう家のすぐ前だったりするのだけれど。

そして必要な葉っぱを探し出し、必要枚数を用意したら家に戻って出荷の準備を行う。
そうやって各おばあちゃん宅から本部に葉っぱが集まってきて、昼には本部から出荷がなされる。
葉っぱを買うのは全国の有名料亭や旅館などなど。所謂「つまもの」として購入するわけだ。
柿葉や栗の葉、緑のもみじ、笹の葉といった上勝町ならどこでも簡単に手に入れることができる葉っぱが1枚200円や300円といった値段で売れるのだから驚きだ。

横石さんはこのビジネスを大阪のがんこ寿司で思いついたそうだ。
隣にいた女性2人組みが、つまものとして使われた紅葉を「かわいいから持って帰ろう」と言ってるのを聞いて驚き、そしてピンと来た。自分達の町にはいくらでもあって珍しくもない当たり前のものが、都会や都市では価値あるものとして扱われている、これはビジネスになると確信した。

しかし、思いついてから実際にビジネスにしていくには相当な苦労があったようだ。
町の老人たちに説明しても、誰もそんな話は信じてくれなかったり。そりゃそうだろう。
そこらへんにいくらでも転がってる無料のものが売れるなんて詐欺にしか思えない。
実際、最初は料亭などでも売れず、それでもあきらめず、少しづつ説得をしつつ、自費で全国の料亭を食べめぐり、徹底的に「葉っぱ」を研究し、このビジネスを組み立てていったそうだ。この執念はすごい。

今やこのビジネス、なんと年間2億6000万円もの売上になっており、
おばあちゃん達の中には年収1000万円を超える人も現れてるとか。実際、この仕事を始めてから子供たちに家を買ってやったというおばあちゃんも現れており、上勝町は過疎化が進む町とは思えないような新しい家が続々と建っているそうな。

驚いたのはこれだけではない。

ほんとに70、80歳を越えたおばあちゃん達が、コンピューターを使って、この仕事の情報収集をしていることだ。
このビジネスに従事するおばあちゃん達には、専用のページが与えられている。そこには、どの葉っぱが今、いくらになるのかといった情報や、葉っぱの納品の仕方などを説明した動画などが掲載されている。また、自分が今月いくら売り上げているのか、先月いくら売り上げたのかといった、売上データもあり、同ビジネスに従事するメンバーの中で、自分の売上が何位なのかといったことまでわかる仕組みができているのだ。
そしてそれを普通に使いこなしている老人たち。これはかなり衝撃だ。

横石さんは、放送の中で、よくやる間違いは、おばあちゃんたちを集めて、皆で協力して仲良くやりましょう、みたいなやり方で、そういうやり方では絶対にうまくいかないと断言していた。成果主義によって、若者たちが疲れて、、みたいなことがよく言われているが、おばあちゃん達にはむしろ競争をさせないといけないと言う。それが逆に励みになるのだそうだ。順位には相当こだわるらしい。

ビジネスアイディア、着想のすばらしさももちろんのことだが、
このビジネスを実行に移していくにあたって、地元の老人達(現在、このビジネスに関わるのは平均年齢70歳たちの老人約190名とおんこと)を活用する仕組みにしたこと。
それにより、老人たちに生きがいを与えたこと。
本当にすばらしいビジネスだと思う。

プロジェクトXのような大げさな演出もなかったので、この成功譚はストーリーとしてはとてもスムーズにうまくいったように語られてしまってはいたが、ここまで来るには、やはり相当の苦労や努力があったのだろうと思う。
横石さんのいくつかの言葉からは、揺ぎ無い信念のようなものを感じた。

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コメント

  1. ヒライ より:

    私も観ました。
    一農業職員が、ここまで村を活気づかせるとはすごいなと思いました。
    (おばあさんたちの目がちょっと怖かったけど)

  2. 蛇メタ より:

    [おかしみ]カンブリア宮殿...

    この魅力は、ゲストの、しっかりしたおっさんの社長が、 小池栄子に話しかけるとウハっとなるところと 村上龍が無邪気にポジティブ語りをするところだと思う。 龍……大物なんだけ...

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