割れ窓理論、雰囲気の醸成

割れ窓理論(われまどりろん、Broken Windows Theory)は、軽微な犯罪も徹底的に取り締まることで凶悪犯罪を含めた犯罪を抑止できるとする環境犯罪学上の理論。アメリカで考案された。「建物の窓が壊れているのを放置すると、誰も注意を払っていないという象徴になり、やがて他の窓もまもなく全て壊される」との考え方からこの名がある。

割れ窓理論 – Wikipedia.

ニューヨークの犯罪軽減に地下鉄の落書きを徹底してきれいにするというのが役立ったという話は有名だ。地下鉄のように人目に付きにくそうなところでも、きちんと人が見ているんだというパフォーマンスにもなるし、また環境をキレイに保つこと自体が、良い雰囲気を醸し出す。

雰囲気ってのはすごく重要で、人は雰囲気にかなり左右されて自身の行動を無意識的に選択することが多い。

自衛隊のように規律が重要なところでは、整理整頓や時間厳守は相当徹底される。大学時代の友人は自衛官になったが、最初の2年間にそういうところを徹底して叩き込まれるという話をしていた。寮の毛布を畳む際にも、数センチずれていても怒られるらしい。
いまどきナンセンスなと思うが、こういうも実は、「割れ窓理論」の考え方が裏側にはあるのだろうなと思う。自衛隊などでは、ちょっとした所作や手順の違い、気の緩みが大事故、下手をすれば死に繋がることさえある。だから、日常から細かいところでも心配りができ、自然と正確な対処ができるよにしていくことが重要なのかもしれない。多分、細部をないがしろにすると、そういう雰囲気が醸成されてしまい、それは周りに伝播し、いろいろなところに悪影響を及ぼすのだろう。

会社で言うと、この業界は深夜作業に陥ることが多いので勤怠が乱れがちだ。午前中はぽつりぽつりしか人がいないなんて制作会社は少なくはないだろう。勤怠の乱れってのは、雰囲気に大きく影響を与える。これは相当自制心がないと、たいていの人は周りに流されていく。

例えば、9時30始業の会社があるとして、入社したばかりの人は皆、最初は「9時30分」に始業できるように、早めに会社に来るはずだ。ところが、早くに会社に来ても誰も出社してない。始業時間の9時30分になっても、来ている人のほうが少ない。10時前になり、10時を周り、1人、2人と出社してくる。その状況で特に上司もそれを怒るわけでもない。こんなのが続けば、その新入社員もよほどでもないかぎり、あぁこの会社はこういうルールなんだとなんとなく感じ取って、そういう勤怠に陥っていくことになる。悪気があるわけでもない。単純に雰囲気がそうさせてしまうのだ。

これが「割れ窓」で、そのまま放置していけば、それはどんどんひどくなっていく可能性が高い。気づいたら、11時出社が当たり前みたいな世界だ。その状況がさらに周りに波及していく。不のスパイラル。

まぁ人によっては、勤怠がみんなきちんとしてれば儲かるんですか?なんて言う人もいるが、儲かるか儲からないかは別として、勤怠が乱れている会社の業績が低迷しがちってのはあるだろうと思う。特にこの業界では。お客さんから電話が来ても、午前中は取り次げないことが多いとか、午後から外に出る人が、午前中に何かしらの調整をしておきたかったが、いなくて出来ず、結局、帰ってきてから打ち合わせしたするので、また帰るのが遅くなって、さらに勤怠が悪化するみたな。またまた悪の連鎖。

ほんとに仕事に追われて深夜作業、残業が仕方ない状態の人が午前休をとったり、出勤時間を遅らせたりするのは全然問題ない。しかし、そういう人たちにつられて、別段遅く帰ってるわけでも、仕事がつまっているわけでもない人の勤怠までも乱れていく。これは問題だ。朝遅くなると、その分を取り戻すために夜遅くまで仕事する。さらに朝遅くなる。
夜のほうが仕事に集中できて良いって人も多いかもしれないが、深夜になっていくとやはり効率が落ちる人は多い。見ている限りでは、やはり夜のほうがダラダラ感が高い。喫煙者はタバコの回数が増える。すごく密度の薄い時間で仕事をするようになっていく。時間だけはかかる。(ってなことを書くと、ほんとに追われて集中して深夜作業せざるをえずに、頑張ってる人に対して失礼だが)

勤怠が乱れてくると、その雰囲気は他の業務、仕事にも影響を及ぼしていく。例えば、会議の時間が厳守されなくなってきたり、お客さんところへ来訪する際も、時間に少しづつルーズになっていったり。ちゃんとした統計データをとってるわけでもないので、絶対かと聞かれてもそうだと答えられはしないけど、うちの会社でもこのへんの相関関係はあるだろうと思う。
勤怠とかってのは、多分、野球で言うと、ソフトボールとかランニングみたいなもんで、それをきちんと出来てるから打てるとかファインプレーができるかというとそういうもんでもないけど、でも、基礎の基礎なんでそこがしっかりしてなければ、本番だけでいいプレーができるわけでもない。繋がっているのだ。

だから、勤怠にはある程度の厳しさが必要だったりするんではないか。それは歯止めみたいなものなのだ。
もちろん出勤もそうだし、退社も。朝きちんと来るというだけではなく、夜もきちんと帰るってこと。決められた時間、密度内でのパフォーマンスを最大化させようという意識が働かないと、そもそものパフォーマンス測定も無理だし。そういう紀律が雰囲気を作り出す。その雰囲気がさらにパフォーマンスを上げるんではないか。

ボク個人の理想は、セムコ社のようなルール撤廃、各自の自主性にゆだねた自由経営みたいなところを志向したいって想いはあるのだけれど、現実はとても難しい。

今日久々に勤怠が乱れがちな中堅社員をしかった。あと、マネジャーなのに朝がとてつもなく弱い人にも釘をさしておいた。ここ数ヶ月、あまり細かいことを言わずに傍観してたのだが、案の定というか、事務所全体の勤怠状況が少しづつ悪くなってきている。当たり前だっさ始業時間に5分、10分と微妙に遅れる人が増えてきて、さらにそれが30分、40分の遅れでも普通になりつつある。これはちょっと危険だなあと思ったのだ。んな細かいことでいちいちベテラン、中堅社員を怒るなんてことはしたくないが、彼等に歯止めをかけないと、周りが流されていってしまう。実際、流れていっちゃってるし。

スポンサーリンク

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする

スポンサーリンク

コメントをどうぞ

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です