Hot Pepperミラクル・ストーリー―リクルート式「楽しい事業」のつくり方
「Hot Pepperミラクル・ストーリー―リクルート式「楽しい事業」のつくり方 」─はずっと気になっていた本だったが手に取らず仕舞いだった。今回、ようやく新幹線の中で読むことができたのだが、久々に「熱さ」が伝わってくるすばらしい本だった。もっと早く読んでおくべきだった…
内容がどうだこうだは置いておいて、とにかく熱い。熱を持った本で、著者の事業に対する思いや考えがダイレクトに伝わってくる。今までの自分の考え方や行動が情けなく思えてくる、そして明日からもっとシャキっとせねばという気合を入られる、そんな一冊だ。
短くコンパクトで1~2時間で読めるので、背筋を糺したい人はぜひとも一読をオススメする。今僕らがやってるような事業と「ホットペッパー」の事業は全く違う。でも、事業が違っててもここに書かれてあることが、自分達の事業に全く活かせないかというとそうでもないだろう。むしろ活かせることはいっぱいあるはず。活かさなければならないことがあるはずだ。
「ホットペッパー」の事業規模を知ってかなり驚いた。
「ホットペッパー」の事業が企画されたのは2000年だそうだが、それから4年後には売上300億、営業利益100億のお化けビジネスになっていた。2007年には売上500億。あっという間にリクルートの基幹事業だ。
この事業をどうやって作ったのか、そこにどんな工夫があったのか、本書ではそれらをかなり具体的に明らかにしている。本書内にも書いてあるが、リクルートは、この未開の市場に対して圧倒的なシェアを獲得し、磐石の基盤を築くまでは、競合に参入されないようにしたいと考えていたそうだ。そのためあまり目立ちたくなかった。広く認知を獲得したいのでメディアには取り上げられたいがが、事業の魅力には気づかれないようにしたい。そんな思いがあった。
本書が上梓されたということはすなわち、この市場において他がそうたやすく参入できないような磐石な体制・基盤が出来上がったということを意味しているのだろう。
確かに数字を見てもそうだだろう。しかし本書を読むと、この事業が単に「数字」だけを追いかけたのではなく、文化や理念を作り、そこに共感して働く人、その人を動かす教育や仕組みを作ってきたことがよくわかる。
事業数字や市場規模などの分析からだけでは見えない強固な事業基盤。そこに「ホットペッパー」という事業の強みがあるのだろう。
さて、違う時期に読めば、またひっかかってくる箇所も違うのだろうが、今今の自身の問題意識は随分と偏っている。本の中で気になった箇所を引用していくと、だいたい自分どんなことに一番関心があるのかがわかる。(それは自分自身でもあまり気づいてないことなのだが、こうやってみると明らかだ)
本書を読んでる時に折り目をつけたり、線を引いた箇所を備忘録として引用しておく。
(太字は私が勝手に入れたもの)
顧客ニーズが多様化・複雑化していったとき、多くの経営マネジメントは判断に迷い、顧客接点の重要性を叫び、第一線が戦略を考えるなどとうそぶいて、シナリオを描く役割を放棄し、現場に押し付けた。
本来、マネジメントとはシナリオを描くために存在しているのだ。
仕組み化は情報を共有するしかけとなる。誰でも、同じように、簡単に理解し行動できるように汎用化するのが仕組み化だ。仕組み化はコミュニケーションを活発にして組織のコンセンサスをスムーズに創り出す。
また、仕組み化は人を育てる。
人を大切にして、人に依存するために仕組み化するのだ。
人のクリエイティブをさらに上位概念に引き上げるために仕組み化がある。
人がより高度な価値をつくり出すために、その価値づくりに集中して価値を磨いていくために仕組み化が行われる。
決して、誰でもできるようにして誰でもいい、人に頼らないものにしてはならない。それは仕組みとは言わない。マニュアル化という。この勘違いは多く存在する。その間違った考え方が仕組み化を非人間的なものと間違って理解させてしまう。
組織図には事業のすべてが表れる。人に対する考え方や戦略やコミュニケーションがすべて表れる。事業を変えるためには組織図を変えることだ。事業の意思や戦略を組織図に明らかにすることだ。
「~営業マンによって営業の仕方は工夫とアイデアに満ちたものでいいじゃないですか」
「剣道には小手・面・胴の3つしかない。戦う相手が変幻自在だから、技も変幻自在なのか? そうじゃない。相手の攻撃には傾向があって、それに対応する技があるんだ。営業だって一緒だよ。」
「マネジメントは要望することだ。自分ができないことを他人に要望できない。変幻自在にやれなんて要望できない。ましてや、変幻自在を教育もできない。だから型を決めて徹底的に訓練する。剣道が毎日小手100本、面100本、胴100本稽古するように・・・。
(略)
事業は団体戦だよ。全員の力を結集して勝つには毎日の稽古が必要なんだ。その稽古の型が必要なんだ。
一番大切なのは、間違った型をつくらないことだ。正しい型をつくることがマネジメントだと思う。そして、全員でいっせいに訓練して型を習得すれば、それが組織力になる」
「それって、人間の自由な創造性を阻害しませんか?」
「違う、基礎ができれば応用ができる。人間の創造性を最大レベルに引き上げるために基礎の型を訓練するんだ。つまらない失敗や壁にいつまでもぶつかって前に進めないことこそ、時間の無駄だよ。それこそ創造性発揮の機会を失っていることになる」
「現場のわれわれがだめだと言ってるんです。会社はどこを見てるんですか? 事業統括は現場がわかっていない!」
その一言に、僕はキレた。
「会社って誰だ? 事業統括さんって奴がいるのか? いったい誰のことを言ってるんだ? お前が現場をわかっていないと言ってるのは、俺のことか?」
事業部長と事業統括のグループマネジャーを僕は兼務していた。
「言っておくが、現場と統括スタッフを切り離して、現場がすべてを知っているという言い方はやめろ!『ホットペッパー』の統括は現場以上に現場を知っている。商品企画自体もまた現場なんだ。会社さんという奴も、事業統括さんという奴もいない。誰がわかっていないとはっきり言え」
(略)
「誰に向かって何を要望するのか?」の「誰」が抜けたコミュニケーションは問題とは違う議論が始まってしまう。
コメント
うちの会社で主語を抜くのは、10人ぐらいだったころの悪い癖だとおもいます。あうんの呼吸というやつでしょうか。
でも、いまとなっては主語がない話はよくないので、主語がない話が出たときは、「誰がやるの?」となる前に「俺がやる!」と言えばいいし、言えない時は誰に飛んでいたボールかもわかんないけど「俺にはできないよ。(期待に添えず、)ごめんな。」と、みんなに謝れば良いと思う。
「変なボールが来た時は、変なボールの形が面白いと思ったら拾え」ですよ。
まあ、とにかく主語は重要だと。
でも、たとえ家族でも主語が抜けるとなんか話通じないですよね、「話がわかんない」って家内によくおこられますのもの。
「あれ」とか「それ」で、会話が成立したかのように見える熟年夫婦が、突然離婚する理由はそれだ。きっとそれだ。
『Hot Pepper ミラクル・ストーリー』 - 平尾勇司著...
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