質問会議

会社経営にとって「会議」ってのは、何かと問題が多いのだろう。
会議時間が長い、長いけど何かが決まるわけでもなくなんとなく終わるだけ、積極的な発言がでない….等。会議に参加する人も会議を運営する側も、こんな会議でいいのかしら、という思いがある。
だから「会議」の本はビジネス書でも人気なんだろう。会議手法や会議のテクニック、ファシリテーターのテクニック本、ブレスト本などなど。

ボクも会議に関しての本はけっこう手当たり次第には読んでる。
今まで読んだ中で一番実践的だったのは「すごい会議」と「ブレインライティング」だ。
どちらにも共通するのは「紙に書く」ということで、これは日本人には向いているんだろうとは思う。ただ、「すごい会議」はやってみてもなかなか難しい。本にあるように、目標が明確になって、皆で役割を決めてみたいなところまで落とし込むのは相当の時間がかかるし、パワーもかかる。
「ブレインライティング」は時間を決めて、少人数でアイディア出しをしたりする際にはかなり実践的で役に立つ手法だと思う。ただ、継続してやり続けるためには、この手法を皆にマスターしてもらう必要がある。

今日読んだのが、「質問会議」という本。
本自体の作りが「すごい会議」を意識してるっぽい。見た目がそっくりだ。

質問会議 なぜ質問だけの会議で生産性が上がるのか? (単行本(ソフトカバー))
4569702899

その名の通り、質問と回答だけで会議を組み立てる会議手法をレクチャーするものだ。
ベースになってるのは、アクションラーニングというチーム学習法の考え方がベースになっている。
細かいルールはあるが、基本の流れは、こんな感じだ。(前半の会議のガイダンスなどの手順は省く)

◆ステップ1
問題提示者が1~2分で簡潔に問題について説明する。
あえて簡潔に背景まで含めて長々と説明したりしないことがポイント。
なぜなら、次のステップの「質問」を通じてより深い状況や背景を探っていくからだ。

◆ステップ2
会議の参加者は「質問」を行い、その問題を明確にしていく。
※意見を言ったり、結論ではなく質問でなければならない。また、尋問や糾弾的な質問もご法度。

質問を通じて、「チーム脳」を働かせる、つまり問題について深く考えていくためのキッカケでなければならないので、自分の考えを述べて、その考えにどう思うか?というような質問はあまりよくない。
また、「あれはどうなった?」「これは●●●したのか?」というような問いかけも、共感性がないので駄目。

ここでの質問と回答の繰り返しで、会議参加者は問題の背景を深く理解していくことが最大の狙いだ。

◆ステップ3
質問、回答でしばらくたった段階で途中の振り返り=新しい視点でのアプローチを導入する。チーム内の本音のコミュニケーションをより活発化させるために、一旦クールダウンしつつ、別の視点を考えるキッカケ作りなどになる。

◆ステップ4
質問を通じて、問題の核心が浮かび上がってきたら、メンバー全員で問題の再定義を行う。メンバーそれぞれ、「本当の問題は何か」を紙に書き、発表する。
最後に問題提示者がメンバーとして発表。
問題提示者が提示した「本当の問題」の定義に、メンバーが同意できるかどうかを尋ね、同意できれば次のステップに、同意できなければ、再度、質問での深堀を始めていく。

ちなみに、質問と回答は何も問題提示者とメンバーでの1:Nのやりとりだけではなく、メンバー同士で、提示した質問に対して深堀していく質問が発生したりということが自然に起きる。それは問題ない。

◆ステップ5
問題が再定義されたら、次はゴールの設定を行う。
問題提示者が「どのような状態になればいいのか?」「どういった形がゴールなのか?」を明確にしメンバーで共有する。
「問題を解決する」「ゴールに近づく」ことを念頭に置いた質問を投げかけていく。

◆ステップ6
ゴール・目標が設定されたら行動計画を立てる。
ここでも「質問」をベースとして「何を」「いつ」「どこで」というような測定可能ものをつくっていくことを心がける。

というような一連のプログラムをだいたい1時間程度で行うというのが、「質問会議」だ。実際、本書では「質問会議」の紙面会議シミュレーションがあるが、これを読んでいると、ファシリテーター(本書ではALコーチと呼ぶ)の役割はけっこう大きい気がする。
が、他の会議本などで求められるファシリテーターとしての役割、テクニックよりは難しくない。いかにして無色無臭、中立の立場に立つかということが求められている感じだろうか。

「質問」を通じて、問題のあぶり出し、メンバー間での背景の共有を行うというのは、面白い。普通の会議だと、何か解決しなければならない議題があがったときに、一方的に意見を言って終わる人、その問題に対して、自分の問題ではないので完全に聞く側に回る人、というのが明らかになる場合が多い。
しかも、出てくる意見というのはたいていの場合、正論なのだが、問題提示をした人にとってはしっくりこなかったりということは多いのではないか。
質問しかしてはならないというルールを敷くことで、問題をより深く知るということが自然に行われ、且つ問題を捉える視点や視座について考えるきっかけとなる。それを参加メンバー全員で考えていくことができる。
ここが最も重要なポイントなのだろう。

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