社長が現場を離れて会社を伸ばす法―「成長の壁」を越えて売上30億円つくる!

社長が現場を離れて会社を伸ばす法―「成長の壁」を越えて売上30億円つくる!
社長が現場を離れて会社を伸ばす法―「成長の壁」を越えて売上30億円つくる!松下 智明

ダイヤモンド社 2008-10-03
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会社の成長を阻む「1・3の法則」
年商3億、10億、30億、100億と、1と3が付く売上に近づくと壁が現れる。
本書はこの年商3億と10億の壁の乗り越え方の指南書みたいなものだ。

読んでいて「確かに..」と思う事例が多かった。かなり身につまされるものがある。
3億まではクライアントは商品やサービスを買ってるのではなく、「社長」という「商品」を買っているのだ、という指摘が出てくるのだけれど、これはまさにその通りだなと。

これってでも「3億」に限った話ではないかもしれない。
特にソリューション、サービス業ってのは、3億という壁を突破して10億、20億という年商を実現していたとしても、実はクライアントは「社長」ではないにしても、何人かのスーパープロデューサーやプランナーみたいな特定の人を買ってるだけということも十分ありえるんではないかと思う。

これは別の考え方をすると、労働集約型のビジネスの場合、3億の壁にぶつかったら、別に「3億」を作るチームなり、組織なりを社内に並列して持てれば、規模上の年商は3億を超えていくことになる。つまり「社長」みたいな人間が4人いれば、それで12億ぐらいは行くんだろう、ということだ。極端な話だが。もちろん「社長」みたいな人がそうそういるわけではないから、そううまくはいかないのだが。

が、が、が。組織作りやマネジメントだとか、そういうものは全然駄目でも3億までは「社長」の熱意やらやる気やらで突っ走れるわけで、ものすごく営業センスのある人間や、コンサルティング能力の高い人間であれば「社長」でなくてとも、「営業」を中心として3億の組織はつくれてしまうかもしれない。
特にソリューション事業は「人」が資産みたいな事業なので、優秀な人がいれば、そういう事業モデルというか、成長モデルを採用してしまうこともあるかもしれない。

そうやって組織された会社は、組織としての仕組みやマネジメントはほぼ機能はしておらず、個々のスーパーマンみたいな人間を中心として構成されることになる。つまり社長とその部下・スタッフみたいな構成の組織がいくつか社内にできているだけの組織構成だ。
そして、その「3億」をハンドリングする人が一番忙しい。その人の信用やら能力やらで仕事がきてるので、どんな仕事にもその人が入ることが求められる。仕事をとるときは全力でその人が入るとしてその後は、別のスタッフに任せた場合、クレームになったりする。一方で、現場は現場で非定型業務やフルカスタマイズ業務に毎回尻を叩かれる。決まった勝ちパターンや定型化された商品やマニュアルがないので、毎度の負荷は大きく、またやることが多岐に渡っているので1つ1つで得ていくノウハウが浅くなり、なかなか成長できない。
そして、みんな疲弊していく。
こんな状況が良いわけがないのだが、一度このスパイラルに入ると多分なかなか抜け出せない。人の数は増えていくし、それを支える売上や粗利が必要になり、そのためにさらに間口を広げていくみたいな悪循環に陥るからだ。

本書での3億の壁を超えるための第1歩は「商品」を作ることとしてる。
社長の時間、熱意、人柄、信用で売れているものを、商品・サービスそのものが売れていくようにすることとしている。商品の特性によって営業方法や納品、顧客化などの方法が変わってくる。なので、一番の上流は「商品づくり」となる。

3億に満たない会社というのは、「何でもやります」「どんな仕事でも引き受けます」といった謳い文句で仕事を取ってくることが非常に多い。
(中略)
独自のメリットを訴求するのが難しいからなのか、「御社の悩みに合わせて柔軟に対応します」という営業文句をホームページなどに掲載しているのをしばしば見かけます。
(中略)
かくいう私自身も、創業当初は「フルカスタマイズ」のコンサルティングを売りにしていました。「フルカスタマイズ」と言うと聞こえはいいのですが、要するに「経営支援なら何でも引き受けます」「ご要望どおりに如何ようにも作り込みます」ということ。業務が何1つ定型化されていなかったので、間口を広げたほうがお客様のニーズに対応しやすいと考えていたのです。
そのほうが、限られた人脈のなかで業務を受注するにも都合がよいわけです。間口を広げておいて脈がありそうな見込客を見つけたら、私自身がひたすら営業をかけて相手の方を説得する。相手の方も「この人なら信用できそうだ」ということで、仕事をくれたりするわけです。


ここがまさにその通りすぎ。
商品開発の方法なんかは、とりててユニークで目からウロコみたいなものはなく、こんな感じのことが詳細に説明されている。

1)御社ならではの商品を設計する
→競争優位性をつくること

2)その商品を提供するための業務を明確にする
→商品を売る流れ「勝ちパターン」をつくる

3)社員がそれらの業務を回せるように定型化する
→マニュアルに落とし込む

  1. 業務をタスク(業務全体の中の1実行単位)に分類し、時系列で並べる
  2. 各タスクで実行する項目を整理する
  3. 各実行項目のポイントをまとめる
  4. 各実行項目のインジケーター(振り返り指標)をまとめる
  5. 上4つをマニュアルにまとめる
  6. 最初の1~3ヶ月間はPDCAを回しマニュアルを精査する
確かにその通りなんだけど、これがなかなかできない。
うちも4~5年前にワークフローやドキュメントを整理したりして、いちおういろいろ体系化、マニュアル化をはかったのだけれど、それは「商品」ではなかったので、その都度、その都度、状況や環境にあわせて微妙に変化していって、その変化を反映させるのが追いついていってないというのが実際のところかもしれない。

しかし、これなおざりにして、営業ラインや採用やらってのもないよなーとも再認識。お客さんに何を買ってもらうのかというのは、会社にとってはその会社の存在理由そのものだ。

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