楽天のメール配信システムの問題

楽天

日流eコマースの11月25日号で楽天の「エクスプレスメール」のことが一面でとりあげられている。「エクスプレスメール」は10月下旬に導入された新しいメール配信のサービス。
加入した事業者だけ即日申込み、予約の即日は威信が可能となる。加入費は月額固定10万円+1通0.3円

日流eコマースの調査では出店企業の7割がこのサービス開始に「納得がいかない」と回答している。当たり前だろう。楽天の場合、有力店舗がこぞって抜けさえしなければ、7割の店舗が反対しようが怒ろうが意に介せずには違いない。今までも楽天はそうやって、店舗から徴収する楽天税を増やしてきたのだから。

楽天については「プレゼント管理」機能の問題について書いたが、もう1つ大きな問題としては「メール配信」機能の問題がある。EC店舗を運営していく上では、なんだかんだとメール配信は重要な要素の1つだ。新規客の獲得とリピートさせる。単純だがこの2つがECの根本の歯車だったりもする。新規客獲得として非常に有効なのが懸賞キャンペーンであり、リピート客の育成に重要なのがメールだ。つまり、楽天はECの根本を支える重要なサービスの両方ともに大きな問題を抱えているということだ。

楽天のメール配信機能の最大の問題は思いついたら即メール配信、みたいなことが出来ない。
日流eコマースの記事では「ここ数年、メール配信の希望者が増加し、従来のシステムでは希望する3日より前から予約しておかなければ配信できない状況が続いていた」と書いてあるが、はっきりいって、3日前の予約で配信できるなら全然マシな方だ。たいていの場合5日先ぐらいまでは予約がいっぱいで配信できない。5日先でも予約できる時間は、午後23時以降から朝の5時ぐらいの時間帯ぐらいしか空いてなかったりする。ひどいときは1週間先でも深夜時間帯しか予約できる空きがない時さえある。

ちなみに、この予約は原稿の差し替えができない。つまり、予約するということは、FIXしたメール原稿を設定しておかなければならないという意味だ。とりあえず仮原稿で予約しておいて、直前で差し替えるなどの融通は効かない。差し替え=予約取り消しを意味する。直前でそういう作業をやったことがないので、実質どうなのかはわからないが、仕組み上、直前で予約取り消しをしてしまったら、もう再度同じ時間や日で配信設定をすることは不可能だろう。その時点ではまた5~6日先の予約可能日まで待たなければならないはずだ。

配信したいときに配信できない。配信できるのが5日、6日後って状況は、ものすごくストレスがたまる。というか、こういう状態では楽天自身が提唱するようなメールマガジンなどを活用した販促、コミュンケーションなどができるわけがない。

という状況が背景にありつつ「エクスプレスメール」の導入である。

まともに配信できない状況を作ってるのは楽天なのに、配信したけりゃお金を払えというのは「うーん」と首を傾げずにいられない。しかもその金額が月額10万円固定+従量制という楽天に出店している大部分の零細店舗にはとてもじゃないが負担できないような条件が突きつけられている。そもそも楽天の最も高いコースでも固定費部分は月額5万円だ。(そこに売上に応じた手数料や、ポイント費やらカード手数料やらアフィリエイト費やらなんやらかんやら従量制領域がオンされるわけだけど)
メールの配送のために、システム利用費の倍の金額を払い、さらに1通0.3円払わなければならないってのは、およそサービス体系としては破綻している気がする。
車を買ったら車よりもカーナビの方が高かった、みたいな感覚だ。といえば言いすぎだろうけれど。

この費用を負担してでもメール配信をしたい店舗はかなりの売上がある店舗になるだろう。そういう店舗は競争のためにこのサービスを利用せざるをえないような状況になるかもしれない。そういう店舗が熾烈な競争を繰り返すことによって、現状の無料メールのサービスレベルはもっと低下するだろう。それこそ下手したら1週間先でも予約もできないというような状況がいずれ訪れるのではないか。

メールが好きなタイミングで配信できないという問題には、そもそも楽天がやってるポイント何倍キャンペーンだとか、カード加入したら何ポイント!みたいなお店を巻き込んで行うキャンペーンなどでも大きい問題がある。
店舗側は楽天が主催するポイントアップキャンペーンやら各種キャンペーン企画に参加する。参加申請を行って、参加許可が下りるのはキャンペーン開始の3日、4日前みたいな状況は少なくはない。しかもそのキャンペーンが48時間限定みたいなものだったりする。
キャンペーンをうまく活用して、既存顧客へメールなどでアプローチしたいと思っていても、参加が決まった段階ではすでにキャンペーン期間中でのメール配信が出来ないような状況だったりする。せっかくそういうキャンペーンに参加したのに、既存顧客や、見込み客リストへアプローチできずに終わるなんてなんて馬鹿馬鹿しいことか。

もちろんあれだけの店舗が自由にメール配信を行えば、管理する側は大変なことはよくわかってる。現状の楽天が同時配信で最大何万通まで許容できるようにしているのかはわからないが、相当なものなんだろうとは思う。もちろん全店舗が同時に一斉に配信しても大丈夫なインフラを用意することはコスト的には無理なんだろう。

ただ、メールに限らずだが、楽天に求めるのはSLAを明示して欲しいということだ。
楽天という所謂ASPサービスを利用しているわけだから、支払う金額とそれに対してどこまでのサービスを保証するのかを明確にし、そのサービスレベルを下回る場合には、サービス利用料を無料にするというような契約は必要ではないか。
いくらなんでも今の楽天のサービス改定は方針は「思いつき」すぎやしないか。

携帯電話にしろ何にせよ、普通は契約者が増えればサービス費は定価していくものではないか。ASPなどでもたいていそうだ。メール配信のみに特化したASPなんかでも同じ料金で機能がバージョンアップしていくか、同じ機能で費用が安くなっていくか、ほとんどがそういう競争を繰り返している。SalesForceの利用費用がどんどん高くなる、機能が劣化しているなんて話は聞いたことがない。(実際どうなのかわからないが)
まれに初期で設定した費用が安すぎたり、予測が甘すぎて、仕方なく料金改定を行ったりするサービスは見たことがあるが、楽天の場合はどうなのか。常習犯のようにそれを盾に料金改定、サービス改定を繰り返しているようにしか見えない。
年を重ねるごとに店舗が負担する費用が大きくなっていってる気がするのだ。元々の固定費用から固定+従量制への移行。各種サービス類の有料化…
しかも有料版を使わなければ、「無料版」ではほぼ使えないというような状況..(エクスプレスメールについては従来のメール「無料」としているが、厳密には無料ではないだろう。そもそも楽天の契約費に「メール配信機能 20万通までは無料」というのが入ってるわけで、20万通までの分を店舗は固定費やら売上に応じて徴収される楽天税やらで支払ってるのだから)

何かがおかしい…. 何かがおかしい….

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