2004年02月19日

表記の統一、文字が表す感情

2月18日日経産業新聞「マニュアルNOW」

メーカーのマニュアル制作部門やマニュアル制作会社、個人のテクニカルライターなどが参加するテクニカルコミュニケーター協会(TC協会)では、カタカナ用語の使い方のガイドラインを、「外来語(カタカナ)表記(長音編)」として昨年10月に発行した。

一部、そのマニュアルに添付されたカタカナ表記がのっている。
たとえば、「Browser」は「ブラウザー」だ。ボクはたいてい「ブラウザ」なんだけど。
「architecture/アーキテクチャー」「installer/インストーラー」「engineer/エンジニアー」 「directory/ディレクトリー」などなど。
テクニカルコミュニケーター協会

ちょっと脱線するけれども、最近この手の表記のゆれでどれかを選択しなければならないときには、SEO視点から選ぶなんてことが多かったりする。カタカナ表記内のブレ程度ならまだしも、問題はカタカナにするのか、ひらがなか、それとも漢字にするのかで迷うとき。OverTureのキーワードアドバイスツールやら、検索結果総数やらで決定することが多い。ほんとにそんな決め方でいいんかいなと時々感じることがある。確かに検索回数が多いとか、検索総数が多い、少ないっても大事だけど、表記の違いってのは、発話で考えたら声色とかトーンの意味もあるわけで、使い方によって大きくイメージが変わる。そのあたりの配慮が先行すべきなんじゃないだろうか。

ContentsCreate(日本SPセンター)のクロスメディア通信第39回「それはないでしょ、ワンダーマンさん」のなかに「書き言葉では書体や文字組(タイポグラフィ)が、話し言葉でいうところの声の調子も担っている」というような一節がでてくる。あまりにも自明のことだけれど、これはすごく大事なことだ。エデュトリアル系のデザイナーなら誰もが知ってても、Webデザインから入った人には案外盲点かもしれない。(ディレクターもそこに意識が向いてなかったり)

どんな表記を選択するのか、どんな書体、タイポグラフィを用いるのかは、単純にSEOの視点ではなく、どんなメッセージを伝えたいのか、そのメッセージにどんな「感情」を持たせたいのか、どんなニュアンスを伝えたいのかということまで深く考えて行われなければならない。


[ TrackBack (0) ]

categories [ ネット・ウェブ関係 ] 2004/02/19 02:45


Comments

タイポグラフィの重要性については、Web系だけでなく広告系でもけっこうなおざりにされている。デザインが、コンテンツの性格や読者の絞込み、究極では売り上げに直結する雑誌とちがって、成果が試されないからだ。

そこのところを扱った教科書としては、エッセイ集だが
「エディトリアルデザイン事始―編集制作のための造本科学」松本 八郎 (著)
がおすすめ。ちなみに、松本さんの定義で「タイポグラフィ」は

ひとくちに印刷した文字といっても、活字、写植、手描き文字(レタリング)とさまざまである。またそこには「組む」という操作がある。その「組み」にも、本文、見出し、リード、キャプションなどと内容的には多岐にわたる表現がある。いずれも文字の大きさ、書体、字間、行間、字詰めろそれぞれの組み合わせのバリエーションによって、いろいろの表情が生まれる。私は「タイポグラフィ」という言葉を、これらの「文字組み」すべてを包含したところでとらえている。

この本は1980年初版なので、活字とか写植とか絶滅寸前の手法も登場してます。

Posted by: 津川義明 : 2004年02月19日 12:52
コメントする









名前、アドレスを登録しますか?

コメントに返信があった場合メールで受け取る: