『仕事に使えるゲーム理論』のP.312「従業員の最適配置」より
ジェーンは、1日にスイッチ1個か、もしくは歯車1個をつくれる。
ビルはスイッチ2個か、もしくは歯車7個をつくれる。
この極めて単純なモデルから、従業員の能力を判断するのに必要な考え方が得られる。
ジェーンとビルを比較すれば、ビルのほうが価値ある人間であることは間違いない。
では、ジェーンを解雇すれば良いか?
表面的に見れば、ジェーンはスイッチをつくるにせよ、歯車をつくるにせよ、ビルの能力に劣る。ジェーンのパフォーマンスはビルに含まれているので、ジェーンは解雇してしまえばいいのではないか。
しかし、これは間違いだ。
仕事を交換すればジェーンは二日間に歯車7個もつくれる。これが理解できるだろうか?
答えを聞けば簡単だ。そのまま引用しよう。
あなたの会社にビルしかおらず、急にスイッチ二個が必要になった。スイッチ二個作るのにビルは1日掛かる。つまり、その日は歯車は作れない。スイッチ二個をつくるために、あなたの会社は七個の歯車を諦めることになる。ここでジェーンを雇ったとしよう。ジェーンは二日でスイッチ二個を作り終える。ビルはスイッチ作りから解放され、その時間で七個の歯車を作る。会社にすれば、ジェーンが二日働くことで七個の歯車が余分に作れたことになる。つまりジェーンは、二日で歯車七個を作れるだけの価値を持つ人間なのだ。
ドラッカーが弱みには目をつぶり、強みに目を向けろ、と言ってるのは、このような「交換」による全体価値の最適化が背景にあるのだろう。従業員の能力を考えるとき、その人の能力だけでなく、その人の存在がもたらす、チームとして会社としてのパフォーマンスも充分に考慮する必要がある。
そして、全体としてパフォーマンスが出るように仕事の交換を行っていかなければならないわけだ。
経済学で言うところの、比較優位の原則ですね。
極端な言い方かもしれないけど、「出来る人間が出来ない人間に比較的簡単な仕事を振っていく」ということ?
意味を理解したいので、いつか会うときにわかるようでしたら教えてください。