どうも最近、小説はこの手の軽いものしか読めない。小説を読むことが、ほとんど時間つぶしや気晴らし以外のなにものでもなくなってしまってて、あまり重いものを受け付けられないカラダになってしまっているようだ。
東野圭吾は「容疑者Xの献身」だけでは、よくわからないので、TVドラマもやってるしということでミーハーまるだしで、「白夜行」も読んでみた。文庫本の解説で馳さんが書いてるように、主人公の内面が一切語られず、事件を基点として20年近い時を語るというのはすごい手腕だと思う。これには驚いた。しかも事件の最も重要なところはほとんど語られてもいない。主人公二人の事件の関与もまったくといっていいほど描写されていない。所謂「ミステリー小説」が差し出す謎のようなものさえもこの小説にはない。謎といえば、そもそもなぜ主人公たちがこのような人生を送るのか、二人の間にどのような盟約や絆が結ばれているのかというおよそ「ミステリー小説」らしからぬ謎があるだけだ。しかもこれらの謎はあくまでもこうだったのだろう、ということでしか解決しない。にもかかわらず、小説としてはすべてが納まるところに納まり、きちんとした決着がつける。このあたりは「謎」を仕掛けとしてしか考えられない多くのミステリー作家さん達には到底書けそうにもないだろう。
白夜行 | |
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