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2007年02月13日

言葉の力

佐藤優の本は去年から読み続けてて、だいたい主要なものは読んでいる。彼の本を読むと、外交というものがどういうものなのかということが、本当に具体的によくわかる。今まで「外交」という言葉で漠然とイメージしていたことが、鮮やかな彩りを与えられる。
国家の自縛」の中に、とてもわかりやすく「外交」を伝える一文があったので抜粋しておく。

外交の力は言葉の力なんです。伝えたいメッセージは同じでも、「お前、嘘つくな」と言えばみんな怒る。「お互い、正直にやろうぜ」とやれば誰も怒らない。言葉は発言だけにとどまらない。文化行事もメッセージを持つ外交の言葉なんです。

国家がどのようにして、どのようなメッセージを発するのか、そのメッセージの裏側の意味は、それにどのような歴史的・地理的認識を持って応対していくのか、すべての「外交」はメッセージであり、レトリックといっても過言ではない。

「外交」ではないが、政治の世界にもレトリックの力学というのは大きな意味を持つ。
2010年NTT解体」という本の中で、NTTが報道発表した「次世代ネットワーク構築のロードマップの資料」について言及されている件がある。
その資料の当初の案では、次世代ネットワークの構築にNTTドコモが参加する、というくだりは、「移動系との一体化を実現」という表現が使われていたが、発表された資料では「移動系とのシームレス化を実現」する予定と、すげ替えられたそうだ。
「一体化」という言葉からは、バックボーンのネットワークを固定系と移動系で一つにするように見える。NTTドコモとしてはNTTが描くFMCの構想の上に、自社が位置付けられてしまうことからは距離を置き、チャンスあらば、FMS(fixed mobile substitution)のコンセプトもちらつかせて行きたい。そのためには「一体化」という言葉ではなく、曖昧、漠然とした「シームレス」という言葉を使わせたかったということだ。
この些細なメッセージの差異で、何百億というビジネスが動いているのだから面白いなと思う。「一体化」を「シームレス」という言葉に変えさせるために、相当な駆け引きがあったのだろうし、どこまで譲歩すべきか、その譲歩によってどんなメリット、デメリットが引き出せるのかという、いくつもの「読み」があったことだろう。

そういえば、佐藤優は「インテリジェンス」の大半は発表されている資料をつぶさにあたることで把握できるというようなことを言っている。
NTT、NHK、放送法絡みの政府発表や、それを受けた各新聞紙面での語り口などを分析すると、そこには必ず何かしらの意図が見えてくるだろう。たぶん、ただ日経を読んで、その上辺の情報を租借するよりも、ずっと深い情報をえぐり出すことができるだろう。

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2007/02/13 20:20

2006年12月02日

第一回すごい会議の実施

今日は休日にもかかわらず、各部門のマネジャー陣が集まり、第一回目の「すごい会議」セッションを実施した。
予定時間は9時間(休憩1時間程度)だったが、結局、コミットメントリストの作成は月曜日に。

戦略的フォーカスの策定に入る前の「過去の振り返り」でだいたい2時間程で、順調のように思えたのだが、やはり戦略的フォーカスの策定と部門の洗い出しはかなりの時間がかかった。
本来、戦略的フォーカスは1つに絞り込むべきだが、今回は2ステップの目標設定となった。まぁこれも良しとするか。

とても時間のかかる会議ではあったけど、いつものだらだらとコメント交換だけに終始している会議よりはよほど内容の濃いものになったのではないかと思う。たぶんみんなかなり疲れたとは思うけど。でも、ボクも何も今回は進行役だったにせよ、これはこれでかなり疲れた。議論が変な方向に行かないように、自分なりにはコントロールしたつもりだったが、どうだったろうか。でも、こういう疲れ方はまだ気持ちがいい。いつもの会議の後の徒労感とは違う疲労感だ。

会議ってのは、効率云々の前に、効果的かどうかを問わなければならない。どんなに効率的な会議でも、意味がなければなにもない。時間がかかろが、疲れようが、その会議が効果を生み出せばそれは、有意義な会議だ。

こういう会議手法が嫌いな人もいるかもしれないけれど、ボクは紙に書いて発言するという方法は、その部分だけ切り出しても、すばらしいアイディアだと思っている。時間はかかるが、全員が問題に対して考え、人の意見に左右されず発言ができるという場をもてることはすごく重要なことだ。たいていの会議は、最初の発言者の発言内容に意見が左右されてしまったり、場が流れていったりする。気づけばだらだらと関係のない話し合いがもたれる。
そういうのは、たぶん飲みの場でやればいいのだ。そういうだらだらと考えてることを話し、共有するということも、コミュニケーションとしてはもちろん必要なものだけれど、あえて会議という場でやる必要はない。


■反省点
・「約束を守る」ことの徹底。
時間を守る、報連相を行うという、ほんとに基礎の基礎をしっかりマネジャー陣がやらないとなぁと思う。
何時何分からはじめる、と言っても、その時間に必ず誰か揃っていない。その誰かを待ってると、その間に誰かがまた席を外す。遅れてたものが帰ってきたときには別の誰かがいない状態になってる... これが繰り返されて、必ずといってほど、休憩を挟むと、会議開始が5分から10分遅れていく。このことへの意識がすごく弱い。これはボク自身も日頃そうなので、しっかりとしなければいけないところではあるけれど、スタッフの規範の第一歩としては、ほんとにこういう基礎の基礎を軽々とできてしまわなければいけないだろうと思う。

・戦略的フォーカスに数字面の裏付けを先に前提として用意しておくことも必要かもしれない。
例えば、これを各部門ごとにやるときには、部門の売上、粗利目標が設定されている状態で、その数値目標達成のための戦略的フォーカス、あるいはその数値目標を達成することによって、どのような精神的インパクトを得たいか、というところから議論に入るほうが良いかもしれない。

・部門を上げる際に、そもそも戦略的フォーカス遂行のための「プロジェクト管理・進捗管理」という部門が必要になるという意見が出てくるケースがある。が、進捗管理は、各部門のメンバーが毎週コミットメントリストの進捗を報告しあうことで、相互チェック、確認、状況把握を行っていくという流れがあるので、この部門は必要ないという説明を最初にしておいたほうが良いかもしれない。

・コミットメントリストの作成時には、その戦略的フォーカス策定のために必要なアクションを3~5個に絞って、あげてもらうのが良い。あまりにも細かくなりすぎると、意味のないコミットメントリストが多数でてくる可能性がある。
また、コミットメントリストにまとめあげる際に、メジャーメントを設定していく形にしたほうが良い。

何はともあれ第一回を終えた。この手法を全社的、階層的にうまくインストールしていくことがボクの目標でもあり、マネジメント層の底上げのために考えた戦略なのだが。頑張らねば。

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2006/12/02 22:41

2006年11月05日

いまさらながら「すごい会議」を

すごい会議』は発売当初に読んだのだが、最近再び読み返してみた。たまたまとあるプロジェクトで大橋禅太郎さんのマネジメント・コーチを受けた会社の方とご一緒したということもあり、そこでお聞きした話にも刺激を受けた。また、上期を終えて問題は多々ありながらも目標をほぼ達成し、下期または来期に向けて、新たな組織体制、人事によって前向きなムードが芽生えつつある今だからこそ、会社としての目標を再確認し、それをマネジメント陣できちんと共有したい、という思いがあり、もっと前向きで創造的な会議をしたいと再び手にとった次第だ。

すでにあまりにも多くの人が「すごい会議」を実践して、そのことについて書いているのだが、あらためて自身の勉強のため、『すごい会議』について考えて見る。進行方法や手順は本に書かれてあることにのっとるとして、実践してみて疑問に思うところやポイント、こうしたほうがいいのではないかという考えをまとめてみる。

会議の進行手順のおさらい

1)会議の参加者に「うまくいってること」を3つ以上書いてもらい、それを発表してから会議を始める

2)この会議で得たい成果を紙に書いて発表してもらう

3)達成の障害となっている問題や懸念を書き出し、それらを「どのようにすれば~」の形に書き換える。

4)「言えない問題はなにか」を書いてから、「どのようにすれば~」の形に書き換える。

5)「あなた自身のひどい真実はなにか」を答えを書いて発表してもらう

6)「戦略的フォーカス」を参加メンバー全員で創り、合意し、約束する。

7)戦略的フォーカスにニックネームを付ける。それを達成するのに、必要不可欠な担当分野を6程度決める。

8)コミットメントリストに各担当のコミットメントを記入する。

9)「いまから一ヶ月以内に、自分の起こす一番大きな、インパクトはなにか?」を各自が書いて発表する。


■問題や懸念点の解決方法

手順3)、4)、5)は言わば、「問題」「懸念」をその根本的なところまで遡って棚卸しするステップといえる。「言えない問題」というステップを踏むことで、表面的な問題からより深層の根本的な問題をあぶり出していくための質問だ。これらのステップの後に、「戦略的フォーカス」の作成へと進むわけだが、ボクがひっかかるのは、ここで棚卸しされた問題の解決案、解決方法を考えないのか?ということだ。 すでに「どのようにして~」という文章に変換することで、アイディアが出やすくなっている。その状況を一旦宙ぶらりにして、「戦略的フォーカス」に進むのはなぜだろう? 問題を棚卸ししてることによって「戦略的フォーカス」その後のコミットメントリストの作成といったものの土台が生まれているのかもしれないが、すべてでなくともその場で解決可能なことは合意しておいても良いのではないかと思うのだ。

『すごい会議』のなかでも問題解決方法が提示されている。
STEP.1 問題点または懸念を「どのようにすれば」という質問に変換、STEP.2 「私の主張では~」をつけて、現時点での状況を15個ほどあげる。 STEP.3 「私の提案では」をつけて、提案、代替案、創造的な解決策、検討の可能性をあげていく。ここからやるもの、やらないものを決めて、アクションを起こすのが適当な人に「リクエスト」を行い、コミットメントリストを作成する(担当者/期日/望まれる成果)。ミーティング終了前に、残った問題を誰がいつまでに解決するか(またはとりあえず放っておくか)を合意する。
この集団解決方法を、5)の後に置いてはどうかと考えている。これだけで、会議はおそろしく長くなってしまうだろうが、せっかくあがった問題や懸念点、それにたいして解決策がでやすい雰囲気が生まれているのだから、そこでできる解決のためのTODOは決めてしまったほうが良いのではないかと思うのだ。

・・・と思っていたのだが、ここを見ると、「
これは、意見は集めずに、「どのようにすれば○○か」という文章を集めるだけです。」との回答があった。
また、「手順6,7,8(※このエントリーでは3)、4)、5)のこと)は答えを作る場所ではないのです。」「問題を前向きな形でたな卸しするだけです。「答え」を提示する人がいたら、それはストップします(経営者自身がやってしまい そうになることも多くみます)ここで、誰かが「答え」を言ってしまうとドチッラケなのです。 その答えが、各自、 意識的または無意識のうちに手順11でコミットメントとしてその解決策が約束される可能性を最大化するためにやっているとお考えください。」という回答が...

なるほど。手順3)、4)、5)はあくまでもコミットメントの際に参照するためのものなのか... 

しかしこのFAQの存在は知らなかった。「1,3,5,2,4,6,7,8,9,1 0,11,12です。最初の1,3,5が準備段階で一人でやる部分で、2からが参加者と一緒にやる部分 です。」というのは手順を重視する「すごい会議」ではとても重要なことではないか。うーむ。後でこのFAQと手順を読み返してみてもう一度整理してみよう。

少し話は変わるが、そもそも「すごい会議」は、会議の効率を上げるための手法ではないということ。これは見落としがちだけれどもしっかりと理解しておかなければならない。
もちろん「すごい会議」は結果的には会議の効率を上げてくれるものではあるけれども、先に「効率の改善」を考えていると、おそらくうまく機能しない。そもそも会議は効率的かどうかよりも先に効果的かどうかを問わなければならない。どれだけ効率的でも、効果的ではない会議は意味がない。果たして今、会社で開かれる種々様々な会議が効果的かどうかということを問うてみよう。そして、効果を生むための会議手法として「すごい会議」の導入を考えると良いだろう。実際、最初に「すごい会議」を開くと、かなり時間がかかる。しかし、「すごい会議」でかけられた時間は、通常の会議のように時間のほとんどが「コメント」の交換だけで終わる会議より、ずっと大きい効果を得ることができる。


■会議の発言をファシリテーターがコントロールする

『すごい会議』の中で、会議の中での発言を「提案」「リクエスト」「明確化のための質問」の3つに絞るという方法がさらりと提示されている。このテクニックだけでも本書を手に入れる意味があるのではないかと思う。『すごい会議』の中で、大橋禅太郎さんがあれやこれやとこれじゃうまくいかないんじゃないか的な発言をしていたとき、ハワードさんが「では、おまえの提案はなんだ?」と聞いている。うまくいかなり理由を指摘するときは、「代替案を提示」しろということだ。ちょっとしたことだけれども会議内でファシリテーターがこの一言を発せるかどうかは鍵だろう。「リクエスト」の際には、「誰が」「特定の日付と時間」「そして、なにをもって成功とするのか」ということを記述するようにする。会議前のルールとして、会議では原則「提案」「リクエスト」「明確化のための質問」という3つのどれかを意識して発言してもらうことを説明しておくと良いかもしれない。
ちなみに、『すごい考え方』では会議では「一般的な意見」「提案」「コミットメント」という3種類の発言があり、会議の目的は最終的に「コミットメント」を得ることとしている。「一般的な意見」の中から「提案」につながる要素を抽出したり、そこから「コミットメント」を導き出したりという役割がファシリテーターには求められる。
書いてから発表する、という方法をとることそのことが、実は「コメント」を減らすことにもなるので、まずは面倒でもとにかく書いて、整理して発表するという手順を徹底させることも重要だろう。


■1つの戦略的フォーカスに収斂させる方法?

手順6の参加者全員で「戦略的フォーカス」を創り、合意するというところ。「X年Y月Z日までに~~~(なんらかの数字または測定できること)~~~を達成することによって、~~~(欲しいインパクト)となる。」という3行の文章を完成させるというステップだが、ここの進め方がいまいち理解できていなかった。ここでも、1人1人がこの文章を完成させて読み上げていくわけだけど、最終的にはそれを1つにまとめあげなければならない。「すごい会議」の第四章では、そのまとめあげかたは書かれていない。なんとなく意思決定者が最終的に決定を行うのかなというレベルなのだが、それで良いのだろうか?

意思決定者が最終決定を行うとして、せっかく1人1人があげている戦略的フォーカスだ。これをうまく収斂させてチームの目標にできなければ、その後のステップには意味がないのではないか。
1つの方法としては、全員の戦略的フォーカスが出そろった段階で、今度はそれらの戦略的フォーカスを包括するさらに上位概念の戦略的フォーカスを全員に考えてもらう、というステップをとる方法。そうやって可能な限り上位の包括的戦略的フォーカスをつくっていき、最終的に意思決定者によって決定する。最終の戦略的フォーカスへの合意の際にも、まず自分がベストと思うものを提示し、自身のアイディアが採用されなくてもなされた意思決定が正しく機能するためにサポートしていく姿勢を生み出す。


トップマネジメントから「すごい会議」を導入する

全員で目標をつくり、コミットメントリストをつくり、ということで考えると、「すごい会議」は合議に基づくボトムアップ型のマネジメントスタイルのように思える。「戦略的フォーカス」などは、トップマネジメントでつくり、それを達成するために各階層のマネジメントが行われるというようなトップマネジメントスタイルを志向する会社には適合しにくそうなイメージがある。トップマネジメントで「すごい会議」を実践するなら、そこで合意された「戦略的フォーカス」が会社目標となるから問題はないのだろうが、ある部門やある階層のメンバーで行うとなると、下手するとそこでできあがる戦略的フォーカスが、会社の方向性とそぐわないものになる可能性もあるのではないか。

そういうことが起きないようにするためには、結局、会社としての「戦略的フォーカス」と「コミットメントリスト」を社員全員が知っておかなければならないだろう。これは当たり前のことのようだけど、実際、売上目標などの数値目標以外、会社がどういう方向を志向し、どうなろうとしているのかということを社員一人一人にまで理解してもらうことは大変なことだ。まずはトップマネジメントが「すごい会議」でしっかりとした戦略的フォーカスとコミットメントリストをつくり、その目標にむかって邁進し、その成果を達成することのインパクトやすばらしさを伝えていくことが必要なのだろうと思う。

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2006/11/05 17:44

2006年10月10日

管理職とリーダー

社長からウェルチの言葉が流れてきた。
管理職とリーダーは違うという話。
管理職という言葉を使うのは考え物である。

<ものごとの先に進めるよりもコントロールしようとする。ものごとを単純にしないで複雑にしようとする。アクセルを踏まずに、ブレーキをかけようとする>・・・・そういう人たちを、管理職と呼ぶからだ。

どうすれば事態は改善するか。その明確なビジョンを人々に示すのがリーダーである。ルーズベルトも、チャーチルも、レーガンも、みんなそうだった。
それに対し、どうでもいいような細かいことに時間を費やしているのが管理職である。管理職は、ものごとを複雑にすればよいと考えている。そうすればひとよりも頭がよくみえると勘違いしている。これでは、部下は絶対に発奮しな
い。わたしは、管理を連想させるものがすべて大嫌いである。部下をコントロールし、抑え込む。必要な情報を与えない。報告書作成などつまらない仕事で部下の時間を無駄にする。部下にまとわりついて監視する。これが管理であ
る。管理をして、部下に自信を植え付けることはできない

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2006/10/10 20:31

2006年10月04日

人材派遣の時給高騰

人材派遣料金が半年で1割も上昇しているという話。

  • IT技術者はシステムエンジニアなどの専門知識を持つ人材の時給が3000~4500円
  • IT技術者が不足しているため納期間近の欠員に「8000円程度まで一時的に時給をつり上げるケースも」

さすがに時給8000円ってのはなぁ... 人日8万円、人月160万円。

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2006/10/04 10:14