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2004年07月15日

広告取引と報酬制度

今日のアドバタイムズに「広告取引と報酬精度 アメリカのフィー事情」というレポートが載っていた。このあたりの事情はWEB業界にも無関係ともいえないのでメモ。

全米広告主協会の調査によるとアメリカの広告主と広告会社との報酬精度は74%がフィー契約だそうな。1994年時点ではフィー取引は35%に過ぎなかった。
また、パフォーマンス・インセンティブ(成果報酬)を盛り込むケースも年々増加しているとのこと。
フィー制への移行は取引の透明性を確保したいというクライアント側だけの意向ではなく、広告会社側にとっても必要不可欠と考えられている。

「たとえばインターネット広告はコンサルタント的な要素と高度な専門性、特殊な人材を要するサービス。しかし媒体の値段がテレビや雑誌などのように高価でなく、コミッションを払ってもらっても広告会社としては利益を出すのが難しい」

ただ、フィー取引がすべて薔薇色かというと当然そんなことはない。本格的なフィー制を認めてもらうためには広告会社側は利益率や人件費、オーバーヘッドコストなどをクライアントに提示する必要もでてくる。実際、100%の情報開示を求めるクライアント側と、秘密情報のすべてを開示するわけにはいかないと主張する広告会社側で契約が決裂するケースもあるようだ。

フィー制度+成果報酬というようhな契約形態への移行は、契約をますます複雑化する。アメリカでは、契約に第三者のコンサルタントが入るケースが増えているそうだ。「現在約10社の広告コンサルタントがアメリカ市場をコントロールしており、彼らの台頭も新しい風として受け止めなくてはならないだろう」と記事は締めくくられている。

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2004/07/15 09:42

2004年06月29日

個人株主はお客様

日経産業新聞で連載されている「株主と向き合う」という特集。
今日はナムコとカゴメ。二社は個人株主を基本「お客様」と捉えている。ナムコは株主総会の一環に株主懇親会を用意し、株主の「家族サービス」を充実。人気のゲームが遊べたり、同社のキャラクターによるダンスショーや、ケーキの試食など。

カゴメは三年前に「個人株主十万人」構想を掲げた。2002年2月から年に一度のペースで名古屋と東京でカゴメ商品を無料で試食できる株主向け立食パーティーを開催している。同社の広報総費用は年間四億円。従来のほぼ四倍にはねあがったが、2001年3月待つに6500人だった個人株主は三年の間で76000人超へ。10倍以上に増えた。
喜岡社長によると「カゴメのブランドも、株式も、お客様の支持があってこそ。個人株主には一般消費者の約十倍のカゴメ製品を買ってもらってる」とのこと。

東京証券取引所によると、個人株主の総数は2003年度で3400万人。1994年度の2720万人から700万人近く増えた。

いわゆるメーカーが個人株主=お客様という視点から個人株主施策を強化するというのは、マーケティング観点から考えても重要だろう。IRというと、どうもマーケティングセクションから切り離されたコミュニケーション機能として見られてしまいがちではあるけれど、これだけ個人株主が増え、今後も増え続けるであろうことを考えると、個人株主をいかにして振り向かせ、長期的な関係を築くかということは、きわめて重要なマーケティングテーマになるのではないかと思う。
確かに、自分が株主になっている企業のことは気になる。この「気にしてもらえる」ということだけでも企業にとっては十分価値のあることではないか。(もちろん個人株主施策としては、デイトレーダーのような移り気な人たちではなく、いかに長期保有してもらえるような安定個人株主の比率をあげられるかが重要。)

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2004/06/29 13:31

2004年06月16日

個人情報とは?

日本経済新聞。

来年4月に個人情報保護法が全面施行になるのに備え、企業が持つ個人情報が流出した際に、法に触れるかどうかの基準を具体的に示す指針を公表した。(メモ)

対象対象外
名簿氏名のほか住所や職業などを掲載したもの住所、氏名、電話番号だけで構成する市販の電話帳
名刺50音順など体系的に整理されたもの他人がわからない独自の方法で分類した場合
メールアドレスkeizai_ichiro@meti.go.jpなど所属機関と名前がわかるものabc012@ispisp.comなど個人を特定できない場合
映像防犯カメラの映像などで本人が識別できるもの画像が不鮮明などで本人が識別できない場合
アンケートの回答用紙住所や氏名などに基づいて分類したもの未整理でまったく分類していない場合

先日ようやくプライバシーマークを申請した。プライバシーマークの取得は、「取得」そのものよりもその取得のプロセスを通じて、スタッフ全員が個人情報やセキュリティといったことに関心を持ち、勉強するということのほうを重要だろう。これは「資格」と同じようなものだ。資格を取得するよりも、そのプロセスが大事なのだ。プライバシーマーク取得のプロジェクトメンバーは、スタッフへのセミナーや勉強会など、かなりの労力をそこにつぎ込んでもらってる。そのおかげもあって、多分、個人情報についての意識や関心、知識はずいぶんと向上したし、必要に迫られてだけれども管理もチェックが効くようになってきたのではないかと思う。
時間もお金もずいぶんかかったけども個人情報保護の考え方が社内に浸透しつつあるというのは、良い投資だったなと思う。

社内勉強会では、メールアドレス単体は個人情報かどうかという判断はグレーゾーンであったが、会社などのメールアドレスはほとんどが個人名@会社のドメインで、個人を特定することが可能であるため個人情報であろう、という考えに基づいていたけれども、経済産業省が発表したこの指針も同じよな感じだ。個人を特定できない場合は、個人情報保護法の対象とはならない。

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2004/06/16 10:37

サカイ引越センター、盗聴器を探すサービス開始

日経産業新聞。「サカイ引越センターが、7月1日から盗聴器を探すサービスを開始する」という記事。引越し。盗聴バスターズと提携。サカイが販売窓口となる。盗聴器の存在を調べるだけの簡易調査なら1万円からだそうだ。引っ越しを希望する顧客から部屋に盗聴器が仕掛けられていないか不安視する声が上がっていたそう。
メディアの影響もあるだろうが、盗聴はたしかに気になる。僕の知り合いのある女の子もとある東京のワンルームマンションで被害にあった。前に住んでいた人が仕掛けたのか、清掃業者などが仕掛けたのか。真相はわからない。本人にしたらたまったものじゃない。
が、盗聴されているかどうかなんてのは確信が持てなければ、なかなか専門家に相談できるものでもない。その子の場合もとあるきっかけがなければ、ずーっと相談しなかっただろう。
引っ越しのタイミングで、引っ越し屋さんにこういったサービスを頼むことが出来るというのはとてもいい連携だと思う。盗聴バスターズにとってもメリットは大きいだろうし、サカイにとっても付加価値になる。
ここ最近、引っ越し業者はいろいろな付加サービスを考え出してきている。女性スタッフが担当するサービスだとか、靴下を履き替えてくれるだとか(ってこれは昔からあったっけな)、カメラ付携帯電話で部屋の写真を送ったら、引っ越し費用を見積もってくれるとか、顧客ニーズを汲み取り、新しいサービス・機能を盛り込んでいくというのは当然ながらサービス業においても必要なことなのだ。

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2004/06/16 10:11

2004年06月15日

品質改善のための言葉

日経産業新聞に「日産、品質悪化 克服急ぐ」という記事。
米国市場で新製品ラッシュにより、今年1-5月では前年同期比28.2%増の販売(約39万4700万台)と躍進をとげたものの、初期品質調査では惨憺たる結果を出してしまった日産。
原因は新製品が、新工場の新しく雇った従業員が新しく取引する部品メーカーと立ち上げたため、それぞれ連携などで十分なマネジメントができていなかった、ということらしい。

この記事自体よりも、この記事のなかの次の一節に出てくる言葉に興味を惹かれた。

米国では社員一人ひとりの職務範囲が決まっているため、それぞれの責任領域が交わるグレーな部分については責任があいまいになりがち。日本流の「すり合わせ」を持ち込み、開発から生産、部品メーカーまでの動きを一体化することに全力をあげている。

「すり合わせ」ってのが、品質改善の一つの手法として語られているのが面白いなと思った。僕らはよく「すり合わせ」って言葉を使う。あまり意味も考えずに。多分、そういった「すり合わせ」は何の意味もないだろう。しかし、こんな自動化されて、ほとんど意味を失ってしまったような言葉でも、その背景や意味をきちんと理解し、言葉にきちんと役割と意味をあたえ、それを共有すれば、それはメソッドになる。トヨタなんかまさにそうか。

トヨタ生産方式で使われる「ムダ」や「カンバン」「少人化」といった独特の言葉。これらの言葉のひとつひとつにもきちんとした意味があり、その言葉の背景も含めた深い理解が従業員に染み渡っている。これらの言葉がたんなる言葉の意味を超えて、会社内の哲学として生きるとき、それらの言葉は強力な規範の根拠となり、また手法となり、ツールとなる。

かなり脱線するが...

社内での取り組みのひとつに品質改善や、ワークフローの整備といったことがある。成果物、成果物にいたるまでのプロセスを洗練させ、顧客満足度を高めたいということが目的だが、これらの取り組みにとってより重要なのはもっともっと根本的な哲学や思想なのかもしれない。哲学や思想のもっとも根本は言葉だろう。ひとつの言葉を聞いたときに、すべての人がある同一の状況を志向できなければいけないだろう。単にプロセスがわかっているというよりも、個々のプロセスでどう考えなければいけないのか、何を念頭においておかなければならないのかという思想を持たなければならないのではないか。「すり合わせ」って言葉に価値を持たせられるかどうかは、その言葉がどのように共有化されているかに拠る。品質を改善するということであれば、まず品質とは何か、品質がどんな要素で組み立てられているかということをきちんと理解しなければならないだろう。それためには言葉にする必要があるだろう。
なんてことを記事を読みながら考えていた..

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2004/06/15 10:11