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2004年06月10日

サービスの100%保証システム

Harvard Business Review 2004.6月号に1998年マッキンゼー賞受賞論文の「サービスの100%保証システム」が掲載されている。1998年ということでちと古いし、「100%保証」って概念は、日本なら神田さんをはじめとするマーケターに紹介されてるので、比較的馴染みある概念なので、今更という感じもしないではない。しかし、実は僕らのようなサービスで100%保証ってのが可能なのか不可能なのかってことについては、個人的には随分と前から考えていることだ。たいてい誰に言っても「無理」と言われるのだが.... 顧客満足を100%保証すると謳うには以下の5つの条件を満たしてなければならない。

  1. 留保条件がない
  2. わかりやすく、伝えやすい。
  3. 何らかの意味がある
  4. 保証の請求が簡単で、顧客に負担がかからない。
  5. 払い戻しがスピーディーである。

100%保証を謳っていても、これらの条件を満たしておらず、結局「詐欺」に近いことをやってる企業も多いだろう。いざ保証を利用しようとなると、厳密な審査があったり、何枚も書類を提出したり。もともと実はものすごく細かい条件がついていたりとか。 これらの条件を満たせないなら、100%保証の意味はほとんどなくなる。逆に、顧客不満足を導くだけだ。

しかし真の100%保証を掲げるならばその企業は以下の5つの副産物が得られると筆者は主張している。

  1. 組織全体が、マネジャーの仮説ではなく、顧客が定期する「優れたサービス」に注目するようになる。
  2. サービスに関する具体的な基準を設定し、従業員のサービスの質やモラールを向上させる。
  3. サービスが悪い場合、それを示すデータが払い戻しを通じてフィードバックされる。
  4. サービス・デリバリー・システムにおいてミスが発生しやすい部分をおのずと検討するようになる。
  5. 顧客の信頼を得ると同時に、売上げやシェアが向上する。

100%保証ってのは、どちらかというと顧客獲得側面での「手法」として語られることが多いけど、それよりも実は、100%保証は組織の改善に大きな影響力を及ぼすのではないか。つまりここで言うように、組織全体が、自然と顧客視点にたったサービスのあり方ということを考えるようになるということだ。顧客視点にたったサービスとは言うは易し、行うは難し。100%保証っては荒治療だけど、組織に顧客視点を導入するには良い方法かもしれない。もちろんリスクは大きいけど。

この論文の前半にでてくるマイアミを拠点とする害虫駆除会社、バグズ・バーガー・バグ・キラーズ(BBBK)は、競合のほとんどが「納得できる水準まで駆除するまで(害虫を)駆除する」と謳ってるのに対して、「完全に退治する」ことを約束している。 その徹底した約束は凄い。「建物内から害虫獣が根絶するまで、びた一文もいただきません」「サービスに満足いただけない時には、最長一年にさかのぼって料金を払い戻し、さらに翌年貴社が選ばれた当社以外の駆除会社の料金をお支払いいたします。」などなど。 100%満足しない場合には料金は貰わないということを宣言している。 この保証制度によってBBBKは、同業他社の最高10倍もの料金を設定していながら、各営業地域内ではずばぬけた高いシェアを誇るという。 1986年は売上3300万ドルに対して、支払った保証金は12万ドル。売上から見ればびびたるものだが、この保証制度が嘘ではないことを示している。

Webソリューション分野で100%保証の可能性はあるのだろうか。 一切ミスがないプロジェクト。顧客が100%満足してくれるプロジェクト。もちろん常にそんなプロジェクトを手掛けたいと思うが、実際はかなり難しい。 でも分野を絞ったり、商品を特定すれば100%保証ってのは十分考えられるだろう。それは顧客にも意味ある保証になるだろうと思う。それが何かはここでは語らないけど。

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2004/06/10 22:47

2004年06月04日

ADKと電通が次世代広告開発で合弁会社設立!

アサツー ディ・ケイと電通、次世代型広告のクリエーティブ開発事業で、合弁会社を設立
プレスリリース

びっくりしたー。こういうこともあるのだなぁ。広告ビックバンだものねぇ。
博報堂DYHといい、この合弁といい。広告業界はこれからますます騒がしくなるな。大手の合従連衡。中堅・中小広告会社の倒産。いろいろ起きるだろうな。

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2004/06/04 00:46

2004年05月24日

電通、今後3年で利益1.5倍を目標に

電通が2004年度3月期の決算説明会で、07年3月期の連結営業利益を04年3月期の1.5倍の700億円以上に高めるという目標を示した。こんな記事が日経産業に。 今後三年間で

  • コンテンツ市場などで1000億円
  • 海外市場で800億円
  • 販促などで200億円

を上積み。国内広告市場でも1200億円の増収を目指すらし。
って、、1200億ってさ。。。 今、読広で1000億ぐらいじゃない。凄い目標だなぁ。

コンテンツ市場で1000億ってのは気になる。新聞ではコンテンツ市場に「情報の内容」なんてわけのわからん説明がつけられていたけれど。当たれば大きいコンテンツ。

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2004/05/24 14:34

2004年04月26日

住宅各社がアフターサービスを充実

今朝の日経産業新聞に、「住宅各社がアフターサービスの充実による顧客満足度の向上に本腰を入れ始めた」という記事。メモ。

企業名会員組織・サービス名会員・利用者数
エス・バイ・エルすまいりんぐ倶楽部約1万7000人
旭化成ホームズヘーベリアンネット約2万人
ミサワホームライフサポートサービス不明(利用可能な顧客は55万人強)
大和ハウス工業ダイワファミリー倶楽部約2万1000人
積水ハウスNETオーナーズクラブ約9万人
三井ホーム三井ホーム倶楽部10万人程度

会員専用サイトなどで物販や住まいに関する情報を提供しているということだけれども、先に自社サイトをきちんとしたほうがいいんじゃないかと思うところもいくつかある。

記事にもあるけど、狙いは「アフターサービスの充実で、将来のリフォームやメンテナンス需要を取り込みたい」ということだ。

顧客情報漏洩して逆に信頼失うなんてことにならなきゃいいけど。

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2004/04/26 12:32

2004年04月03日

ホワイトカラーの生産性向上~ビジネス・プロセスの再設計

フィールドスタディやタスク分析、ユーザテストといった手法を使って、組織は仕事を行う新しい方法を見つけることができ、よりよい情報技術による作業のサポート方法も見つけられる。特に共同作業のインターフェイスの改善、ナレッジマネジメントの改善、決断サポートの改善は計り知れない生産性の向上につながる。既存のシステムはその名に値しない。それらは共同作業をよりよく行う手助けになっていないし、ナレッジの活用を向上させていないし、決断を早く、またはよりよく下すサポートを行っていない。しかし、不可能ではない。これが企業ユーザビリティの次なる開拓分野だ。
ホワイトカラーの生産性向上に、仕事を行う新しい方法=ワークフロー・ユーザビリティに注目しよう、というニールセン博士の提言。

ビジネスプロセスの絶え間ない「カイゼン」を組織のDNAとして有してる代表格がトヨタなのだろう。トヨタの強さというのは、生産性だけに留まらず、すべての領域においてプロセスのカイゼンを取り込んでいるところか。
「コンピューターのサポートによって最適化されたワークフローを設計するべきだ」と書かれてあるが、何もコンピューターのサポートがなくても、生産性を向上させられるプロセスなんていくらでもあるだろう。

多分、これもスタッフ一人一人が意識し続けられるかということが重要だろう。忙しい忙しいと口にするのは簡単だ。なぜ忙しいのか、どうしたらその忙しさは軽減されるのか、どのプロセスに問題が潜んでいるのか、どうすればもっと効率よく、大きなリターンを得られるのか、常に考え、検証していくおとの繰り返し。この中にしか生産性向上はないような気がする。

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2004/04/03 01:38