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2004年02月03日

マスターフーズリミテッドのマーケティング

マスターフーズリミテッドが特定の犬用ドッグフード「パーフェクトフィット」を発売する。(日本経済新聞)
発売するのは、ミニチュアダックスフンド、チワワ、シーズーの三種類。ミニチュアダックスなら「関節に負担がかかりやすい胴長の骨格と食欲旺盛な性質に対応」なんて具合。
オープン価格で店頭では1キロ入り千数百円の見込み。

うまいなぁと思う。ペット産業自体はすでに飽和に近づきつつあるという報告もあり、今後の人口増減を考えても、国民一人あたりのペット数が大幅に増加するなんてことはありえそうにもない。ということで、まず「ペットフード」での細分化が始まった。特定犬用に特化することで新しい付加価値を生み出そうということか。発売される三種類についても、おそらく精緻なマーケティングデータから設定されているのではないかと思う。
飼い主がペットに投じる金額であるとか、ペットに対してどのように接しているのか、あるいは国内で飼われている頭数、飼っている人の属性傾向などなど。

マスターフーズは、確か「シンプルマーケティング―市場の原点を見極める15の法則」のなかでもマーケティング上手な会社として採りあげられていたと思う。
マスターフーズは「スニッカーズ」の発売元でもあるけれど、それぞれのブランドを完全に独立して扱うことで、「犬が食べるもの」と「人が食べるもの」を一社で扱いながらも、消費者に衛生上の問題や、倫理的なところに考えが及ばないよう上手くコントロールしている云々。

マスターフーズリミテッドのウェブサイトでは、「ペットケア製品」と「スナックフード製品」が混在して表現されている。
「スニッカーズ」や「ぺディグリーチャム」をマスターフーズが販売していることを一般消費者はほとんど知らないだろうから、このウェブサイトに訪れるのは、「マスターフーズ」という会社に関して何かしらの情報を求めているのだろう。

ペディグリーチャムはちゃんと独立したサイトで展開している。「m & m's」も同じく。マスターフーズのつながりはフッタレベルにとどめられており、まったく別々のブランドとして、そのブランド固有の世界観をだそうとしている。
なるほど。このあたりもマスターフーズはリアルでのブランドマネイジメントをうまくサイトの運営に適応しているといえるのかもしれない。

ブランド・エンジニアリン」の中で、片平さんが指摘していたが、たとえば、BMW。BMWは「BMW」というコーポレートブランドでもあるし、BMWのさまざまなシリーズの自動車の総称的ブランドでもある。BMWのウェブサイトで徹底されているのは、そこに「MINI」の影がまったくないことだ。BMWのウェブサイトは、BMWという会社と、BMWという自動車のブランドを求めてくる人に向けられている。また、MINIのサイトにアクセスしてもそれは同じで、そこにはBMWの影は全くといっていいほど排除されている。
「Webサイトはブランドを映す鏡だ」というようなことを片平さんが仰ってた。ブランドの個性の理解や、各ブランドごとの関連性、ブランドと消費者の関係性などをきちんと理解していないと、それをWebサイトに反映できないということだ。

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2004/02/03 10:24

2004年01月27日

IMCは日本の広告を活性化する

宣伝会議3月号の「IMCは日本の広告を活性化する」という青山学院大学教授・商学博士小林保彦さんのコラムは、短いけど日本とアメリカの広告の違いや、IMCの概念がまとまっている。


  • 米国の「Advertising」と日本の「広告」は同じではない
  • 日本の広告は、アメリカのPRであり、日本のSPはアメリカの広告である
  • 日本語の「宣伝」はマーケティングを包括する活動であり、「広告はマーケティングの一機能」ではなく、「マーケティングが広告の一機能」となる。この発想がIMCに近い。
  • 日本にIMC概念が積極的に導入されなかったのは、1つは日本の「広告宣伝」にIMC感覚が内包されいたこと、2つめはマスメディア取引市場が自由でなく、広告会社、広告制作会社、媒体社の諸機能を企画に合わせて選び合わせることができないこと、3つめは日本では1業種1社が根付いてないので米国型IMCの導入は広告取引の問題を明らかにしたから。

コミュニケーション体系がツリー図でまとめられている。
コミュニケーション(訴求)は大きく、経済的訴求(企業の訴求活動)と宣伝・Propagandaにわかれる。宣伝・Propagandaは、経済的な訴求に対して、政治や宗教、教育という領域だ。
経済的訴求はさらに、「4Pのプロモーションに該当する「販売訴求」と、企業全体を伝えていく「全経営的訴求」となる。販売訴求は「個別的販売訴求」(マスメディアを使わない、人間による販売メッセージ伝達)と「集団的販売訴求」(マスメディアによる不特定多数への大量伝達)に分かれる。」
一方、全社的訴求(PR)は、「社内広報」と「パブリシティ」(外部意向形成/世論形成)という下部構造を持つ。
これがコミュニケーション体系のツリーだ。
このツリー上の、「経済的訴求」を根とする一連の構造が「IMC」(統合型マーケティングコミュニケーション)と位置づけれられている。
確かに、このようなツリーからIMCを考えてみると、日本の「広告代理店」が担っていた領域は、ほぼこれらすべてであり、電通のスローガンの通り、日本の広告、宣伝には「コミュニケーション」という考え方が前提としてあったことが良くわかる。

著者は1990年代の経済環境の変化、メディアの多様化、消費者の変質などがIMCの再評価を迫ったと書き、現代におていは既存メディア思考を超えたメディアプランニング、「メディアニュートラル」現象がIMCを必要としているとする。
IMCの本格的な導入は、日本の広告業界に「プランニング志向性」を根付かせることになるだろうか。メディア発想ではなく、プランニング発想。広告会社だけじゃなく、当然クライアントも変わっていく必要があるだろう。その変化は広告会社にとっては今までの既得権益を蔑ろにして、自らの首を絞めるような行為になる可能性だってある。
でも、タグボートをはじめとして、電通や博報堂を独立した優秀なクリエイターたちの成功は、この業界が変わろうとしつつある予兆なのかもしれない。

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2004/01/27 01:24

2004年01月26日

電通がデザイナー集団

電通が社内のデザイナーを集めた専門組織を設立したんだって。(日本経済新聞)

二月初旬には電通のホームページにインターネット上の仮想オフィスを設置、社内で横断的なチームを組んで、顧客企業の要望に柔軟に対応していく。
専門組織「デンツウ・デザイン・タンク」はまずデザイナー十三人で発足し、二月から本格的に活動する。

電通内クリエイティブエージェンシーみたいなものかな。

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2004/01/26 11:32

新卒向けウェブサイトのシーズン

今日の日本経済新聞の第二部は「新卒就職」の特集だ。
これはもちろん広告なのだろうが、掲載されている企業の採用広告を見ているといろいろ参考になることが多い。
たいていの広告は、採用ページへのURLを記載しているが、このURLのパターンだ。

xxxx.co.jp/saiyou/

というように、ディレクトリ名を「saiyou」としている会社が多いようだ。他には「job」「jinji」「recruit」などがある。自社サイトへ誘引するなら、「saiyou」の方がいいような気がする。「recruit」ってのは綴り間違いしそうだし。一番多いのは、おそらく会社名で検索して、検索結果からコーポレートサイトに行って、そこで「採用情報」のリンクを探すってパターンだろう。この場合には、会社名で検索して上位にヒットしてくることはもちろん、採用セクションへの導線はきちんと確保しておきたい。

URLで変わったものだと、みずほフィナンシャルグループが、「www.mizuho-jinji.net」というドメインでグループ会社をまとめた採用サイトを立ち上げてる。

NECソフトのURLは、
necsoft.saiyo.jp/2005/
だったので、saiyo.jpドメインで、NECグループがまとまってるのかなと思いきや、この「saioy.jp」は新卒採用ソリューションなどを提供している会社のものだった。つまり、その会社にアウトソーシングしているということだろう。

じゃぁ、NECはどうかな、と見てみると、新卒採用会員制サイトReal City 2005をたちあげている。どういう内容のサイトかは表向きではわからないけれど、確か以前新卒採用サイトランキングか何かで学生から高い評価を受けていた記憶がある。

SONYなんかは大学生向けに「StudentsGate.com」なんてものをたちあげてる。ソニーグループ全体として、新卒大学生との接点を確保しているわけだ。

三井住友銀行は「Web Banking College」。金融を学ぶインターネット大学というものをメタファーにしている。内容は受けていないのでわからないけれども、学生からの評判も良いようだ。NECと同じく、こちらも新卒採用サイトのランキングでは高いランクだったと思う。

大手企業では、新卒採用用に独立したサイトを構築して、学生とのコミュニケーションをはかっていくというのがトレンドのようだ。結果的に「不採用」になる人たちというのも企業にとっては重要なステークホルダーだろう。たとえ不採用でも良い会社だという印象を抱いてもらえるのと、「あの会社は最低だ」と思われるのでは大きな違いがある。

2005年春卒業予定の大学三年生を対象とした就職希望調査では、1位がJTB、2位サントリー、3位トヨタ。意識調査だと、男子はキャリアップ志向、女子は社会貢献のできる仕事に就くことを望んでいるという結果。

男女別でいくと、男子は1位トヨタ自動車、2位ソニー、3位富士通。女子は1位JTB、2位全日空、3位JALとなる。随分違うね。

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2004/01/26 11:15

2004年01月23日

IBM CRMを全世界で導入

「米IBMが全世界で顧客情報管理(CRM)システムによる営業改革に乗り出した」という記事が日経産業新聞に。

CRMを導入しただけでは、営業効率化には直結しない。導入前の段階として、営業活動の初期段階から商談成立に至るプロセスの定義を全IBMで統一。システムを有効活用するため、入力する言葉の意味をそろえた。

CRMってそもそも「営業効率化」を目指すものだろうか?結果的に営業の効率化につながればいいけど、本来の目的はそこじゃないだろう。この記事では、営業活動の効率化や、営業情報を一元管理して社員で共有を情報するなど、IBM側のメリットを中心として書かれているけど、それらは目的じゃないような気がするけどね。
CRMの話ではなくとも、商談プロセスの定義の統一とか、言葉の意味をそろえるとか、そういうことは必要なのだろうけど。(ただそういう「統一」が必ずしも顧客側の利益と結びつかなかったりすることも多いのだろうけど)

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2004/01/23 09:45