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ヴィレヴァン、オンライン店舗の運営についての考察

Webソリューションの世界で、企業が担当するウェブ制作会社を変えるということは決して珍しいことではない。
何年かごとに大規模なリニューアルをかけ、その度にコンペを開いては、担当会社を決めるところもあるし、広告代理店などに丸ごとお願いしている会社なども、担当広告会社が変ることで、その先にあるパートナー会社も全部変るということもよくあることだろう。
何か大きいヘマをやらかして、トップダウンで無理矢理制作会社を変更されてしまうこともあれば、そのあまりにも不条理な要求や対応基準に、すいません、と頭を下げて、自ら担当制作会社を降ろさせてもらうケースもある。昨今だと、制作会社の経営難というような理由も少なからずで、弊社にもそういう事情での引継ぎ相談などもちょくちょくはやってくる。
ころころと制作会社を変えるよりは、パートナーとして信頼できる会社とガッツリ組んで、中長期的な視座を持って、協力してプロジェクトに取り組む、という方が、学習コストやコミュニケーションコスト、リスクなどを勘案すれば、実際のところは効率的/効果的だとは思うのだけれども、そうは問屋がおろさない、大人の事情などもあったりもするので仕方のないことなのだろうが、勿体無いなーと思うことは多い。

今回のエントリーで考察したのは、ある大手ECサイトの運営移管、運営方法などについてだ。
それはあのユニークな商品や雑貨が所狭しと並ぶ、ちょっと変わった本屋・雑貨屋ヴィレッジヴァンガード(以下、VV)のオンライン店舗についてだ。
VVのオンライン店舗、VVオンライン(現在は正式にはVVオンラインストアという名称)が、この4月にIMJさん運営から、チームラボさんに変わった。サイトもリニューアルされてるので、リニューアルに伴って、運営主が移管したということなのだろうけれども、この移管がボクはちょっと引っかかってる。詳しい事情などは全く知らないので、推測でしかないのだけれども、どういう経緯で、担当会社が変わったのか、その裏にどういう契約があるのか、ということがすごーく気になるのだ。

というのは、IMJさんは、VVオンラインを通常の受託契約とは違う形態で手がけられていたように思っていたからだ。
そしてその形態はチームラボさんに変わってからも継続されているように思える。

◆IMJさんのVVオンラインの取り組み

IMJさんがVVオンラインのリニューアルを手がけたのは、2008年08月だ。次のようなプレスを発表している。

IMJ | 企業情報 | プレスルーム | 「ヴィレッジヴァンガード オンライン」をリニューアルオープン

実は昔のプレスリリースを探してみると、
個人情報漏えいに関するお詫びとお知らせ / IMJモバイル
こんなのもあったので、サイト運営自体はこのリニューアル以前からIMJさんが手がけられていたみたいだ。しかし、この2008年8月以降、IMJさんのリリースの文章に、VVオンラインを「自社で運営する」というような表現が目立つようになってくる。もしかすると、このリニューアル以前は通常の請負や委託契約などだったのが、リニューアルとあわせて契約形態を大きく変えたのかもしれない。

例えば、2009年5月のプレスリリース等には、
(※ボールドは、ボクがつけてます)

株式会社アイ・エム・ジェイ(本社:東京都品川区 代表取締役社長:廣田 武仁 以下、IMJ)は、サイト運用のみならず、商品選定・仕入れ・発注から、在庫管理・販売・コールセンタ運営まで全般的に行っている書籍・雑貨のECサイト「ヴィレッジヴァンガード オンライン」…(略)

IMJ | 企業情報 | プレスルーム | ヴィレッジヴァンガード オンライン初の実店舗連動企画! ~西 加奈子新刊「きりこについて」発売記念トークショー&サイン会を開催~

というような表記がある。

また、2010年の次のプレスリリースでも、

株式会社アイ・エム・ジェイ(本社:東京都目黒区 代表取締役社長:廣田 武仁 以下、IMJさん)は、自社が運営する雑貨・書籍の携帯サイト「ヴィレッジヴァンガード・モバイル…(略)

IMJ | 企業情報 | プレスルーム | 「ヴィレッジヴァンガード・モバイル」にレコメンドエンジン「Rtoaster™ モバイル」を導入~サイト全体のコンバージョン率が120%、一人あたりの売上金額が110%に~

とあり、これらを見ると、ブランドはVVだけれども、IMJさん自体が運営主体となって、取り組んでいることが伺える。こういう形態で請負契約ということもないだろうと思うので、おそらく実際の売上や粗利などに連動した契約になっていたのではないだろうか。
実態は、よくわからないけれども、とにかくこのあたりの取り組みを見ていると、IMJさんはかなりガッツリ、主体的にこのサイトの運営やPDCAに人や金、あるいは時間をかけていたんだろうなぁと言うことはよくわかる。

その後、もっとも近いプレスリリースでは、今年の2月に「売上1.5 倍を実現したヴィレッジヴァンガードオンラインの戦術とは?」というタイトルでセミナーも開催している。(IMJ | 企業情報 | プレスルーム | ネット&モバイル通販フェア2011出展のご案内

VVオンラインでの取り組みは、様々なカタチでセミナーなどに使ってたいたと思うが、IMJさんとしてみれば、自社で身銭切って(?かどうかはわからないけど)、得てる実践的なノウハウや手法なので、それを使わない手はないということではないか。
VVオンラインは、IMJさんが色々と取り扱う各分野の代表的な製品やツールをフル導入して、それぞれのツールの見本市というか効果や実績作りとしての意味合いもあったんではないかと思う。

プレスリリースを追いかけていくと、上記で参照した「RToaster」の他にも、ダブルクリック社が提供するメール配信ASPサービス「ClickM@iler.jp」や、Webアクセス解析ツールの「Omniture SiteCatalyst」など、高度なパーソナライゼーションやら、マーケティングデータ収集&活用やらに必要なツールをかなり贅沢に盛り込んでいる。

自動最適化、PDCAサイクル運用、データドリブンといった「最先端?」のマーケティング&マーケティングテクノロジーの結晶として、このサイトが位置づけられていたのだろう。
この手のツールや手法は、ある程度の規模があるサイトでないとなかなか費用対効果が得られないし、かといって実際の案件の中で事例を作っていこうと思うと、お客さんの都合や予算もあり、なかなか全部を組み合わせて、理想としてるモデルを回すことが出来る案件も少ないのかもしれない。ということで、自身で自らが掲げるマーケティングの理想形を追求し、それをショーケースにしようという意図があったのはないか。

しかし、2011年2月のタイミングでこういうセミナーが開催されていたのに、同年の4月にはチームラボさんが、VVオンラインのリニューアルを発表している。

お知らせ » チームラボ制作、ヴィレッジヴァンガードのECサイト「ヴィレッジヴァンガードオンラインストア」がリニューアルオープン! – チームラボ株式会社

同じサイトだけれども、ドメインもサイト名も微妙に違ってる。でも、サイトは同じだ。
IMJさん時代は、
ヴィレッジヴァンガード オンライン
PC http://vgvd.jp/
(※モバイルも同一URL)

だったけれども、チームラボさんがリニューアルした後は、
ヴィレッジヴァンガードオンラインストア
PC http://vvstore.jp
モバイル http://vvstore.jp/m/

(なので以下の文章では、IMJさん時代のサイトを「VVオンライン」、チームラボさんが手がける現状のサイトを「VVオンラインストア」と分けて表現している。)

◆IMJさんからチームラボさんへ

さすがにこの規模のサイトのリニューアルを1〜2ヶ月とかでなんとかなるわけがないので(ウルトラテクノロジスト集団の手チームラボさんだと、ボクが普通に考えるスケールとは違うスケールでプロジェクトなんかも手がけてしまうのかもしれないが、、、)、チームラボさんは、2011年2月より以前から、このサイトのリニューアルを手がけていたということになるだろう。果たして、IMJさんは、そのことを知っててこの2月のネット&モバイル通販フェアで、VVオンラインの事例を使ったていたのだろうか?

知ってはいたけど、とりあえず使えるうちは使っておけというような感じだったのかもしれない。このセミナー以降、IMJさんがVVオンラインの事例を使ってるようには思えないので、運営中の権利みたいなものなのだったのだろうか? ちなみにIMJさんの2010年3月決算発表の資料にもコンテンツの自動ターゲティング事例として、VVオンラインがキャプチャ付きで取り上げられている。

このチームラボさんのリニューアルに伴い、SiteCatalystのタグはなくなっていた。
メールマガジンもリニューアル以前の最後の号では、「clickmailer.jp」経由でのメール配信だったが、リニューアル後、4月8日に配信された第一号では、「.hm-f.jp」というドメインからになっている。このドメインは、株式会社ラスクのドメインであり、おそらく「配配メール」に切り替えられたということなのだろう。

SiteCatalystは無償のGoogleAnalyticsに切り替えられ、ClickM@iler.jp は配配メールに切り替わった。
ClickM@iler.jp と配配メールの価格を較べると、例えば、顧客レコードが1~2万件というレンジで見ても、ClickM@iler.jp が7.5~10万円/月なのに対して、配配メールは、2万円だ。(あくまでもウェブサイトに掲載されている料金表の比較だが) もともとのこれらのツール類はIMJさんが持ち出しで導入していた可能性は高いけれども、同じように、手弁当でということになれば、チームラボさんがこれらのツールを出来る限り安価なものに変えようとするのは当然のことだろう。(VV社自体が運営コストの削減としてツールを変えたということかもしれない。)
チームラボさんは、自社開発のレコメンデーションエンジンやサイト内検索サービスなども持っているので、RToasterなどの部分は、それらの自社もののパッケージに置き換えられたのではないか。

◆VV社オンライン店舗の売上やモデルの推測

現在の、VVオンラインストアのクレジットは、

Village Vanguard Webbed CORP. / TEAM★LAB Inc. 2011

となっており、チームラボさんが共同の運営主として名前を連ねている。

「特定商取引に関する法律に基づく表示」を見ても、販売業者は「チームラボ株式会社」となっている。
つまり、このオンライン店舗は、チームラボさんが運営・管理しているということだ。おそらくIMJさんの時も同じような形だったのだろうと思う。
このクレジットにある「Village Vanguard Webbed」という会社は、VV社の連結対象子会社のようだ。IR資料を見ると、2011年3月に設立されている。(ヴィレッジヴァンガード:IR情報
それまではVV社の一部門、一事業部的な位置づけにすぎなかった「オンライン」というカテゴリーが、子会社として切り分けられたということになる。よりオンライン展開のスピードを上げていこうとか、収支をわかりやすくしようとか、色々な意図があってのことだろう。

VV社のIR資料「22期 決算説明会」(2009年6月〜2010年5月)のには、2007年6月からの四半期単位でのオンラインでの売上の推移が掲載されている。
最初に理解しやすくするために整理しておくと、VV社は5月決算なので、6~8月が1Q、9~11月が2Q、12~2月が3Q、3~5月が4Qとなる。これを前提にすると、IMJさんがリニューアルを手がけたのは、2009年5月期の1Q終わり、2Q初めとなる。

06年6月からの売上推移、昨対を見ると、IMJさんがリニューアルを手がけた2008年8月以降は、ずっと昨対は上回っていている。

オンライン店舗の対前年売上は、
2009年5月期の1Qは266.5%、2Qは246.3%、3Qが211.8%、4Q185.7%。比較対象となる前年の売上がたいしたことなかったとかという理由はあるんだろうけれども、この数値は凄いんじゃないだろうか。
2010年5月期も1Q:163.4%、2Q:152.0%、3Q:147.4%、4Q:143.0% と、少なくとも2008年8月以降、2010年5月までは、ずっと対前年を大きく上回っている。

対前年比率ということもあるので、当然、その伸び率は低下しているけれども、その前年(2007年6~2008年5月)は、全四半期で対前年割という状態だったことを考えると、IMJさんがリニューアルを行い、様々な取り組みを行ったことで、サイトが活性化したということは、間違いないのだろう。

なおこの資料には、「※2 オンライン売上高は、最終消費者への販売価格合計であり、弊社の純売上高ではございません。」とあるので、やはり実際はIMJさんが売上を計上してたりして、VV社に入ってくるのはそのうちの一部だったりするのだろう。(つまり、VV社自体が最終消費者への販売主ではない、販売主体ではないということ)

翌年、つまり2011年5月期(「第23期 決算説明会」)の資料を見ると、オンライン店舗については、Village Vanguard Webbed社のパートに切りだされていて、より詳しくなる(前年までは、「オンライン」はあくまでもVV社本体の中の1事業部門的なものに過ぎなかった)

こちらの資料に記載されている2010年6月〜2011年5月の「オンライン」の売上は、対前年で92.4%という結果になっている。つまり、2008年~2010年までの快進撃は、2010年6月以降に若干鈍化したことが分かる。資料内のグラフで見ても、2010年6月以降、対前年で100%を切ってる月が何ヶ月かあったりと、やや右肩下がりの状況が伺える。追い打ちをかけるように、2011年3月、4月は震災などの影響も大きいのだろうか。大きく対前年割れしている。

このような状況から推測すると、まず、VVオンラインの運営主体をチームラボさんに移管するというのは、おそらく、Village Vanguard Webbed社の設立などのタイミングと合わせてのことだったのではないかと思われる。事業子会社化するタイミングで、運営体制やら契約関係なども刷新して、改めて「次」の展開を目指そうという意図が働いたのかもしれない。2010年6月以降の売上鈍化なども多少は影響があったのだろうか。

こちらのIR資料では、VVオンラインストアの展開の将来像として、2011年~2012年にユーザーが自由に出品可能にしていくというプラットホーム構想が示されている。2014年の商品取扱高の目標は50億だ。すでに、VV選定のクリエイター作品の取扱も開始しており、プラットホーム化への布石を売っているところだ。

ヴィレヴァン通販 / クリエイターズラボ

このあたりの将来構想や、クリエイターとのコラボや取り組みあたりも、もしかしたらチームラボさんへの移行の理由の一つだったのかもしれないとも思う。(チームラボさんのほうがそのへんに強そうなイメージがある)

そもそもVVオンラインの売上は、2010年5月期(2009年6月~2010年5月)までは2.58億となっていて、これが最終消費者への販売価格合計とある。2011年5月期が、これに対して先程も言及した通り、対前年92.4%となっているので、計算すると、2010年6月~2011年5月の売上は、2.38億ぐらいだったのかなと予想できる。2012年5月期の目標は、それに対して、115.2%の目標なので、2.74億ぐらいの売上が目標と設定されていることになる。
これは意外と少ないなーという印象だ。これぐらい知名度がある有名店であれば、年間10億ぐらいの売上はあるんじゃないかと思っていたのだけれど… この手のオモシログッズ、ウォンツ喚起系グッズは、オンラインではけっこう難しいということなのだろうか。

◆VVオンラインストアの契約形態の推測

さて、2012年5月期のオンラインストアの売上目標が2.74億だとすると、Village Vanguard Webbed社の売上目標が1.95億なので、ちょっと差がある。この差分がチームラボさんとの契約と関係しているのかもしれない? オンライン専門の会社として子会社化されてはいるけど、この会社の「売上」は、オンライン店舗での最終消費者への売上額とはイコールではないということで、これだけを見るとIMJさんの時と同じような契約形態なんだろうということが伺える。

先に見たクレジットや利用規約の文言などを見ても、やはり直接の販売主はチームラボさんになっているので、まず、売上はチームラボさんに立つのだろう。チームラボさんがどこまでの業務範囲をやっているのかはわからないが、何らかの契約で、そのうちの70%ぐらいが、Village Vanguard Webbed社の売上に立つということになる。チームラボさんから見た時には原価として扱われてるんだろうか?
逆に考えると、売上の30%をフィーとして、オンラインストア周りのすべてを取り仕切る、責任を持つというような形になっているということだ。この比率で考えると、商品の仕入れや発送関連をVillage Vanguard Webbed社がやってて、商品の原価を含めて70%ということなのかもしれない。

IMJさんのプレスの時には、「商品選定・仕入れ・発注から、在庫管理・販売・コールセンタ運営まで全般的に行っている」とあったが、コールセンターや在庫管理まで含めて全部手がけたとして売上の30%の報酬で出来るものなのだろうか?
仮に売上の30%でチームラボさんがこのサイトを運営していたとする。目標の売上が達成したらならば、年間の運営費は7900万円となる。リニューアルそのものの費用も負担しているとしたら、大変だろうけれども、12ヶ月均等で割れば毎月660万円弱ぐらいの運営費ということになるので、何人か貼りつきの専属チームを付けることは十分可能だろう。コールセンター運営もなんとかなるだろう。もちろん、目標を達成できての数値だろうけれども。

ここで書いてることは、完全にボクの空想なので、全く違うってことも十分考えられる。もしかすると数値の読み違えや勘違いなどもあるかもしれないない。(そこまでしっかりと調べたり確認もしてないので。)
なんで、あんまり真剣に取り扱わないで欲しいけれども、なんとなく、ここでイメージした事業モデルみたいなものは、同じWeb系のソリューション会社から見たときには羨ましいというか、そういう取り組み方ができれば良いなと思う理想の一つかもしれない。単なる受託や委託を超えて、自らも運営主体となって、それぞれが得意領域を持ち寄り、共同で1つのビジネスに取り組む。
もちろん、こういう形態がすべてではないだろうけれども、「パートナーシップ」の形としては面白いモデルなんじゃないかと思う。ちゃんとやろうと思うと、契約面とか、細かい取り決めも含めて、かなりきちんとやらないと、後々色々問題になることも多いモデルだとは思うんで、大変だろうけども、ソリューション会社にとってもクライアント企業にとっても、うまくいくと、メリットがあるモデルなんだろう(が、売上がどんどん伸びてきたら、最終的には全部総取りしたくなって一緒に会社つくるか、ブランドや商品を持ってる側で全部の体制つくって、自社でやってしまいたくなるか、というところに行き着きそうでもあるけど)

気に掛かるのは、なぜ、IMJさんからチームラボさんへパートナーチェンジが行われたのかというところ。色々な邪推もできるけど、もしかしたら単純に最初から契約で何年間のパートナーシップということを決めていたのかもしれないかもしれないし、このへんはいくら考えても本当のところはわからない。仮に上記で推測したようなパフォーマンスに基づくような成功報酬・成果報酬に近いようなモデルなのだとすると、2008年のリニューアル後、2年間でかなり大きく売上は伸ばし、ベースを固めて、これから回収していくようなイメージなのではないかと思ったけれど、やはり2010年6〜2011年5月での前年割が痛かったのだろうか、なんてことを考えたり。

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「買いたい人」を絞り込みリピート購買を増やせ!―カタリナ流ターゲット・マーケティング

これもH氏に借りて読んだ本。最近、H氏の机には魅力的なタイトルの本が並んでいる。
H氏が読む前に少し拝借して、ざっと流し読みしてした。

「買いたい人」を絞り込みリピート購買を増やせ!―カタリナ流ターゲット・マーケティング (単行本)
4478090122

たかがクーポン。されどクーポン。
クーポンにもこれほどまでにバリエーションがあるのだということに驚いた。

カタリナ社では、買物客がレジで会計を済ませた瞬間に、レジに併設された専用プリンターから出力され、手渡しされる「レジクーポン(R)」をソリューションとして提供している。
この「レジクーポン」は従来のばら撒き型のクーポンとは違い、買物客が「その日何を買ったか=トランザクションベース」と、「過去に何を買ったか=買い物履歴」ベースの2つから、その顧客に最適なクーポンを生成することができるというのが大きい特徴となっている。
「特定の商品グループの購入有無によるターゲティング」でも、こんなに多くのクーポン発券パターンがある。ただ、日本ってあまりメーカークーポンは馴染みがないので、カタリナ社のソリューションでどこまで対応できるのかはよくわからない。

■ベーシック
・特定商品グループの購入者に発券する。
自社(●●会社)のお米購入者に「次回、●●会社のお米をお買い上げの際に、××円値引き」。継続購入促進。

■プログレッシブ・ヘビー・ユーザー
特定商品グループ購入者の購入個数に着目する。
購入個数が2~4個なら、「次回5点お買い上げで50円引き」、5~9個なら「次回10点お買い上げで100円引き」

■フィックスド・プライス・ベースド
小売店での店頭販売価格の変動に対応し、店頭価格に応じて異なるクーポンを発券する。
店頭で定価販売されていたら「次回50円引き」、定価より30円安く販売されていたら「次回20円引き」等。
実売価格を維持した販促を行いたい際に有効。

■プライス・ベースド・レギュラー
競合商品の価格に応じて3種類のクーポンを発券できる。
「例えば、自社商品の店頭販売価格が100円の時、競合商品が80円以下、81~109円、110円以上などのパターンに分け、その日の競合商品の店頭かかっくに対して優位性のある値引き価格が印字されたクーポンが発券できる」

■アマウント・オブ・トリガー
一度の買い物で、特定の商品グループ内の商品の購入金額が設定した金額以上になった購入者に発券する。「ビールを××円以上購入したら、●●円のお買い物券を発券」

■リンクド・イベント
複数の商品グループからそれぞれの商品を購入した人にクーポンを発券する。
焼酎とポン酢と調理用シート購入者というように。

■ディドント・バイ
特定の商品グループを購入しなかった人に「次回●●商品をお買い上げの際、××円値引き」など。新規顧客開拓・離反呼び戻しなどを目的とする。

■ディドント・バイ/ディド・バイ
特定の商品グループを複数設定できる「ディドント・バイ」。
特定商品グループ1内の商品は購入せず、特定商品グループ2~9内だけ購入した人をターゲットとするなど。

■フランチャイズ
上記のターゲティング方法を組み合わせて、こ入う内容によって細かくターゲティングされた購入者へクーポンを発券する。

「特定の商品グループ購入以外の条件でのターゲティング」としても、
■オーダーサイズ/プレグレッシブ・オーダーサイズ
購入総額が設定された最小購入金額以上になった購入者にクーポンを発券。
購入総額の引き上げが目的。1000円以上の購入なら次回100円引き、2000円以上の購入なら次回200円引き等。

■カードベース
ポイントカードなどのカードを使用した場合にクーポンを発券。
カード会員のメリット拡大などを目的とする。

などのパターンが紹介されている。

僕などは、クーポンといえば、ホットペッパーのような新規客呼び込み用のクーポンか、店頭で貰うリピート用のクーポンの2つぐらいしか知らなかった。
購入総額を増やしたり、特定カテゴリーに興味を持たせることで、購入品数を増やすなど、色々な活用方法があるということを知ることができて、これだけでもこの本を手にしたかいがあったなと思う。まさかこんなに奥深いとは。

全部が全部ではないけど、当然、オンライン店舗のマーケティングプログラムにだって、こういう考え方は応用できるだろう。特に総合系のショッピングサイトでは、かなり有効なのではないだろうか?
イオンとか、イトーヨーカ堂とか、ファミリーマート.comとか、あの手の総合ECサイトはどうだろうか。すでにこの手のプログラムは盛り込み済みだろうか?

カタリナ社は、世界のスーパーマーケットチェーン4.7万店舗(米国のスーパーマーケットの全売上高の75%、日本のスーパーマーケットの45%をカバーしているそうだ)をネットワークに持っている。店舗にPOSスキャナーを提供し、POSスキャナーを通じてリアルタイムに消費者のデータを収集・分析できるインフラを構築している。

結果、カタリナ社は全世界で1.55億人(世帯)分の「購読者ID・FSP番号」を保持し、毎週3.5億回文、年間180億回分のショッピングバスケットデータを分析できるそうな。
データベースサイズは1.4ペタバイト。とてつもない量のデータを分析しているのだ。

こういった圧倒的な実データを元に分析した結果、
たった2.5%の買物客が、平均的なCPGブランドの売上の80%を占めている
とか
研究された1364ブランド、すなわち製品ジャンルの中でも最も人気のあるものすべてのうち、各々の売上高の80%を10%以上の購入者層が占めていたのは25ブランドに過ぎない

などという衝撃的なデータを発表している。

これはもう20対80の法則どころの話ではない。もちろんこのデータはアメリカの消費者の行動分析なので、そのままでは日本の市場もそうだと言い切ることはできないだろうけれど、それにしてもこれほどまでに偏りがでるのは衝撃的だ。

なにせ、あのコカ・コーラでさえ、ブランド合算の売上高の80%を占めていたのは18.8%の重要消費者だというのだ。(ここでは20対80の関係が成立してるけれど、それにしても世界的ブランドのコカ・コーラ社の商品でさえ、こんなに偏りがあるということに驚く)

カタリナ社の分析から見えてくるのは、今まで、マーケティングの常識とされていた考え方が通用しなくなりつつある世界の片鱗だ。

●ロイヤルティを持っていた上位顧客が、翌年以降も上位顧客である割合は18.6%
●8割以上の顧客が翌年には何らかの理由でブランドとの距離を置いてしまう。

さらに衝撃的な数値は続く。
この8割のうち、32.7%は、そのブランドをまったく買わなくなってしまう。24.9%は、そのブランドを含むカテゴリー自体を買わなくなってしまう、というデータだ。

ブランドロイヤルティの向上やら維持みたいなことをマーケティング戦略の基礎として位置づけていても、そのカテゴリー自体買わなくなってしまったらそのロイヤルティなんて何の意味もないわけだ。
本書では、このように今まであまり見たこと聞いたこともなかったような消費の世界が垣間見られて面白い。

また、本書は一般的なGMS(総合スーパー)やSM(食品スーパー)では、どんな消費行動、消費構造になっているのかということも、いくつかの実データと共に明らかにしていて、それも興味深いものが多いのだ。
平均客単価が顧客ボリュームゾーンではない、というような盲点や、購入者は買上品目で金額をコントロールしていることが分かるというようなデータ、そして客単価の最初の壁が3,000円であることなど。

こういったデータや、普段何気に流してた数値の裏側などの意味を読みといていく手法は、決して実店舗だけに有効なのではなく、僕らが手がけているようなオンライン店舗などのマーケティング戦略にもそのまま応用できるものだろう。

全体的には、カタリナ社自身のプレゼンテーション的な意味合いが濃い内容ではあるけれども、特に総合系のショッピングサイトなどを手がけている人は読んどいて損はないと思う。

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やっぱりアミューズだけではすまなかったか…

アミューズの通販サイトに不正アクセス、情報漏えいが発生 – ITmedia エンタープライズ
アミューズのECサイトから顧客情報が漏洩した事件。委託を受けていたのはテイパーズという会社。サイトの業務内容を見る限り、EC関連を専門にしているのではなく、ファンクラブ運営、そこに付随する業務全般をメイン業務にしているようだ特に音楽、芸能系に強いようで、アーチストのファンクラブ運営などを多数運営代行している。
アミューズの事故が報じられたときに多分、他の管理しているサイトもまずいだろうなぁと思ってたら、案の定、ちらほら出てきてる。

「湘南乃風」公式サイト内各種グッズ通販における顧客情報への不正アクセスに伴う個人情報流出についてのご報告とお詫び

株式会社テイパーズ 通販サイト「VISION FACTORY OFFICIAL SHOP」における顧客情報への不正アクセス発生についてのご報告とお詫び
VISION FACTORYは安室奈美恵、SPEED、DA PUMPらが所属する芸能プロダクション。

株式会社テイパーズ 通販サイト「Alfred Online Shop」における顧客情報への不正アクセス発生についてのご報告とお詫び
Alfred Online Shopは、芸能事務所エイトデイズが委託してたアルフィーの公式ECサイトだ。

果たして、これだけで済むのかどうか。

例えば、「テイパーズ 運営」なんかで検索すると、他にもアーチストのファンクラブサイトを運営していることがわかる。

青山テルマのオフィシャルファンクラブ「Thelma」

第12条:(運営の委託について)
当ファンクラブは、運営や管理を、株式会社テイパーズに委託します。そのために本サービスのプログラム・ソフトウエアなどの権利は、株式会社テイパーズが所有しています。

中島みゆき夜会vol.16事務局

「中島みゆき夜会vol.16事務局(以下、当事務局という)」の管理運営は株式会社エピキュラス(http://www.epicurus.co.jp)が行ない、株式会社エピキュラス監督の下、運営の一部を株式会社テイパーズ(http://www.tapirs.co.jp)、及びチケットスペース(株式会社インタースペースhttp://www.ints.co.jp)に委託しています。

HOUND DOGオフィシャルファンクラブ「GOOD FELLOWS」

当ファンクラブは、会の運営や管理を、株式会社テイパーズに委託します。そのために本サービスのプログラム・ソフトウエアなどの権利は、株式会社テイパーズが所有しています。

とんねるずオフィシャルウェブサイト

【運営の委託について】
当ファンクラブは、会の運営や管理を、株式会社テイパーズに委託します。
そのために本サービスのプログラム・ソフトウエアなどの権利は、株式会社テイパーズが所有しています。

これはごく一部で、ある記事だと100組を超えるアーチストやタレントのファンクラブ運営代行を行っているという。
テンパーズさんはウェブ周りは本業でもない。これだけの数の会員システムやECの運営を受託しているとなると、すべて別々のシステムでやってるわけがなく、同じようなシステムの使いまわしだろう。WebサーバもIISがほとんどだし、サーバの設定、システム含め、同じような構成のものが多数あるということは容易に想像できる
ファンクラブの会員管理のシステムは違うシステムを利用しているので、今回の漏洩には影響してない、みたいなことをアミューズは発表してたけど、ほんとに大丈夫かどうか。かなり疑問だと思う。

サーバに侵入されてカード情報も含む個人情報が安易に持ち出されてしまうということは、カード情報を自社で管理していて、且つそれらの情報を暗号化も分散化もせずにネットワークに繋がったサーバ上で管理していたという事実を物語っているわけで、この規模のECサイトの運営でその杜撰な管理であることを考えると、規模の小さなファンクラブのサイトなんかはもっと杜撰なんではないかと想像してしまう。

決済代行会社が安心かというと、そうでもないとも思うが、少なくともそこに特化してやってる以上は相当なセキュリティ対策はしているはずで、自社サーバで管理しているよりは安全だろう。

今後、ラック社のコンサルティングのもとに、セキュリティを強化していくということだが、各ファンクラブのサーバなども含めて対応していくことになると、かなりの規模の投資が必要になるだろう。個人情報漏洩などは、もしかしたら保険などに入ってればある程度カバーできるかもしれないが、セキュリティ対策用のコストは保険では賄えない。けっこう大変だろうなぁと思う。

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EC成功企業がそのノウハウをソリューション提供

もともと自社のネット通販(EC)で成功して、そのノウハウをソリューションに展開していくというところが増えてきている。
企業・メーカー側も、ECの機能を構築できるノウハウしかないSIerやWebソリューション会社よりは、実務ノウハウを持っていて、且つECで成功している会社の手ほどきを受けたいと思うのは当然かもしれない。

「ECの機能を構築できるノウハウしかない」と書いたけど、マーケティングだとかプロモーションだとかのノウハウや経験もあって、通販のコンサルなんかもできるみたいなソリューション会社だってもちろんある。ただ、圧倒的に多くは「構築できること」「運用できること」がメインだし、自分たち自身でECの運用を手がけていることを売りに出来るところは殆どない。

ECサイトの構築って初期構築はそれはそれで、それぞれの商材やら業界やら市場特性やらに適応したものを作っていかなければならないからある程度のノウハウや経験も必要な世界だ。でも、何よりも重要なのはやはり運営だろう。結局、運営の積み重ねのなかで、どうやって1つでも多くの商品を買ってもらうか、1回でも多くリピートしてもらえるかを考え、実践していかなければならない。実際にやってる、運営している、顧客が全くいないところから作り上げてきた、そんな実践ノウハウというのは、EC運営には何者にも変えがたいものだ。

ZOZO運営のスタートトゥデイ、 伊勢丹のECサイトを支援 – 2009年07月30日 – ファッションニュース – Fashionsnap.com
スタートトゥデイ(ZOZO)は、すでに「BEAMS(ビームス)」、「UNITED ARROWS(ユナイテッドアローズ)」、「And A(アンドエー)」、「HYSTERIC GLAMOUR(ヒステリックグラマー)」などのアパレル系の直販ECの支援も行っている。

アパレル業界にはアパレル業界特有の慣習だとかルールみたいなものがあるし、売り方や商品管理の方法、受注フローみたいなものも、そこには独自のノウハウみたいなものがあるだろう。スタートゥデイみたいな会社はZOZOで培ったノウハウがあるので、メーカー側も話が通じやすいだろうし、安心して任せられる。

「UNITED ARROWS」なんかは元々LICLIS(リクリス)という独自直販サイトを2007年4月25日にオープンしたが、1年を待たず2008年2月17日に閉店してしまった。
理由はわからないが、何にせようまくいかなかったということだろう。

今回、2009年9月15日に再チャレンジで自社ECサイト「UNITED ARROWS LTD. ONLINE STORE」をオープンさせるようだが、これはスタートトゥデイが支援したものだろう。
これが成功するとスタートトゥデイのアパレルECでの信頼は不動のものになるかもしれない。(でも、アパレル系って競合でもそのへんは全然気にしないんだろうか。UNITED ARROWSとBEAMSとか。微妙には違うのかしれないけど、傍から見るとけっこう同一層のお客さんを取り合うような構造になる気がしないでもない)

アウトドア&フィッシング ナチュラムなんかも、運営主体とECシステムやバックヤードの提供会社を分割して幅広くECソリューションを提供している。

ジェネシスECセンター
物流周りから店長育成みたいなECに関わる必要な業務のほぼすべてをワンストップで提供している。この会社の最大の強みはもちろん、「ナチュラム」という成功を収めた実ECサイトの構築、運用のノウハウだろう。ここはこの手のサービス提供会社にしては珍しく、かなり分かりやすい料金体系、サービスメニューを用意している。

ただし、ナチュラムは2008年に不正アクセスを受けて、顧客情報を流出している。こういう事件があると、逆にマイナスイメージが広がってしまう可能性もある。ナチュラムの場合は、その後の対応などをうまくPRに生かして、そこまで徹底してやってるという安心感につなげることには成功しているように思えるけど。(「アウトドア&フィッシング ナチュラム」への不正アクセス発生についてのご報告とお詫び)

有機野菜の安全食材宅配で有名なOisix(おいしっくす)。彼らも、オイシックスECソリューションズ株式会社という会社でECのソリューション事業を展開している。実績を見ると、オイシックスが得意としている領域の商材とは少し違うものもあるのだけれど、こちらも問い合わせが殺到しているようだ。

楽天で大成功をおさめているアンジェ web shop | angers (インテリア雑貨 セレクトショップ)
このショップの運営会社であるSELECTURE(セレクチュアー株式会社)もECトータルソリューション事業を展開している。
日流eコマースだったか何かで読んだが、こちらの事業もかなり引き合いが多く、好調だというような話だ。

アンジェをはじめとして、楽天で大成功を収めている桃源郷、北国からの贈り物の3店舗の代表らが集ったこんな会社・サービスもある。Eコマース戦略研究所 ~E研の「EC通信講座」~
こちらはコンサルティングがメイン。神田商法的な会員制ビジネスを展開している。
楽天のベストショップ経営者が教えるEコマース成功の条件 (単行本)
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EC構築のパッケージソフト大手であるecbeingも、元々はPCなどの特価通販サイトである特価COMから生まれたものだ。今やこの会社の主力事業はecbeingとなっている。
今は、ecbeing自体のほうが知名度もあるだろうけど、初期段階の営業では、特価.comで使われてるノウハウ&システムだという売り文句はお客さんに響いたんではないかと想像できる。

千趣会みたいな大手通販会社でさえ、通販事業の支援ソリューションを展開していたり、あるいは関西のWebソリューション企業の大手であるペタビット株式会社EC Direct(イーシーダイレクト)という商品を出したりしている。(千趣会は「監修」)

という具合に、他にも小さいのも含めると相当数のEC成功店舗、会社によるソリューションサービスが提供されている。
(Amazonだって、ある側面を切り取ればWEBソリューション会社、テクノロジー会社だ)

自社ECでは大成功できたし、そのノウハウを1社、2社に提供するのは問題なかったとしても、それをじゃぁ100社、200社に提供するというのは、また違ったノウハウが必要だろうし、そもそものビジネスモデルや形態も全然違う。

サービスを提供する企業全てに自社ECで開発したプラットホームそのままの機能を提供しておけば事足りるというようなもんでもないだろう。各社にあわせて独自のカスタマイズなんかも行っていくんだろうし、それはそれで色んなバージョンの色んなアプリケーションを同時にメンテナンスしたり、バージョンアップしていかなければならない。
ここも自社ECのシステムだけを管理しているのとは全く違うノウハウが求められる。

今まで本業だった領域に、こういった異種の、しかも強力なプレイヤーが参入してくることで、SIerやWebソリューション会社なんかも今まで価値としていた部分と違うところでの価値が求められるだろう。
ソリューション会社はソリューション会社で、成功報酬型のようなモデルで、自らもリスクをとっていくことを躊躇しないところも増えてきている。(papativa.jp – 成功報酬型のWebソリューションモデル)

それだけEC市場の成長が大きく、そこへの参入プレイヤーも多いということだろう。
一方で、ECなんかは「成果」が非常にはっきりとわかる世界であり、単にお客さんの希望通りに開発できる、構築できるということでやっててはうまくいかない、成り立たないということがはっきりしてきたということか。

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成功報酬型のWebソリューションモデル

何年か前に、某大手制作会社の幹部陣と話をしたときに、その中の一人は、今後何年かのうちに、必ず成功報酬型に近いウェブ制作やソリューションのモデルが登場してくるだろう、ということを言ってた。
それはECやダイレクトビジネスの市場規模の拡大に伴い、様々な企業がネットでのダイレクトビジネスを活発化させていくであろう予測に基づいた発言だったのだが、実際、ここ最近大手の制作会社でもそういう動きが活発化してきているように感じる。

実はこういうモデルは、ずっと前からあって、むしろ規模の小さな制作会社が、お客さんと懇意になって共同事業みたいな形でウェブビジネスを手がけるというような感じが多かったように思える。それをテコに成長した会社も何社か知ってるし、失敗して大変なことになった会社も知っている。大手の会社でも出資者になって共同で事業を運営するようなモデルなども過去からあったし、珍しいことではないのだけれど、表立って「サービス」「商品」として打ち出すことは少なかった思う。
話の流れや、懇意にしてるクライアントからの相談や紹介などを通じて、あくまでも例外的なサービスとして実施されることが多かったのではないか。

キノトロープスリーイント、ロココとECサイト構築・運用分野で協業

~ECサイトを0円で構築可能!【レベニューシェアモデル】のサービス開始~

Web制作業界では老舗、キノトロープの子会社がレベニューシェアのECサイト構築・運用サービスを発表したのは記憶に新しいし、ベルーナとGNTのモバイルコマースで協業も内容はレベニューシェアのようだ。

GNT、ベルーナとモバイルコマース事業で戦略的協業
こちらはモバイルコマース分野での協業。

イマージュ・ネットWEB広告営業事業受託について(pdf)

報酬は全て売上に応じた完全成果報酬です。営業にかかるコストはいただきません。メディアが収益を上げられなければ、私たちの収益も上がらないという、運命共同体としてビジネスを共にするスタンスで事業を行います。

以前から、この手のモデルを手がけてるところでは、ECのコンサルティングとインキュベーション – 株式会社ECホールディングス完全成果報酬のEC事業部ドットコム - インターネット・ビジネス・フロンティア株式会社などがあるだろうか。

実際、これらのサービスの体系が何をベースにした報酬体系をとり、どのような報酬率なのか、業務範囲なのかは定かではないが、1つ言えることは、協業モデルは、労働集約型ビジネスの最たるものであるWeb構築・ソリューション事業における限界を突き破ることができる事業領域であることは間違いない。

クライアントのECサイトの売上を伸ばせば伸ばすほど、自分たちの得られる利益も大きくなる。そこには人頭や労働力を超えた売上や利益を叩きだせるチャンスがある。
もちろんリスクもある。初期費用分も回収できないなんてことだって十分考えられる。

しかし、自分たちが提唱しているマーケティングや効果の上がるWEB構築手法、リニューアル手法を存分に取り入れて、実践できるのだから、これで成功させられなければ、本業の受託ソリューションも危ぶまれるかもしれない。

賭けではあるけれど、自社で開発や制作のリソースを持っていたり、マーケティングノウハウに自信がある、集客媒体を保持してるというような強みがあるならば、やり方によっては大きな成長につなげられる。リスクはあるけど取り組む価値はある。

ただ、これもある一定レベルを超えると、いろいろ問題もでてくる。うまくいかなければうまくいかないで持ち出し分を損したということになるが、うまくいけばうまくいったで、いろいろと問題はでてくる。

今は不景気なので、初期投資をかけずに、リスクを極力減らして、このようなモデルでスタートしたいと思うところは多いかもしれない。でも、うまく行きだすと、初期段階でリスクを負ってもらったことはすっかり忘れてしまって、その成功の汁は出来る限り独り占めしたい、と思うな企業だっている。
普通に人雇って社内でまかなったほうが安いやん、みたいな話がでてきたり(実際はそんなこともないんだろうけど)、普通に受発注契約にしたほうが圧倒的に安くなるので、パートナー契約を解消しようとする動きがでてきたり。
制作側もリスクを負う以上は、成功したら相応のリターンを得なければ、こういう協業モデルをやる意味はあまりないのだが。
契約で縛るという方法もあるが、一方で、そういう契約はこのモデルがうまくいかなかったときの足枷にもなりかねないので、なかなか難しいところで、このモデルは、そういう契約面も含めてノウハウが必要になるモデルだ。

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