EC成功企業がそのノウハウをソリューション提供

もともと自社のネット通販(EC)で成功して、そのノウハウをソリューションに展開していくというところが増えてきている。
企業・メーカー側も、ECの機能を構築できるノウハウしかないSIerやWebソリューション会社よりは、実務ノウハウを持っていて、且つECで成功している会社の手ほどきを受けたいと思うのは当然かもしれない。

「ECの機能を構築できるノウハウしかない」と書いたけど、マーケティングだとかプロモーションだとかのノウハウや経験もあって、通販のコンサルなんかもできるみたいなソリューション会社だってもちろんある。ただ、圧倒的に多くは「構築できること」「運用できること」がメインだし、自分たち自身でECの運用を手がけていることを売りに出来るところは殆どない。

ECサイトの構築って初期構築はそれはそれで、それぞれの商材やら業界やら市場特性やらに適応したものを作っていかなければならないからある程度のノウハウや経験も必要な世界だ。でも、何よりも重要なのはやはり運営だろう。結局、運営の積み重ねのなかで、どうやって1つでも多くの商品を買ってもらうか、1回でも多くリピートしてもらえるかを考え、実践していかなければならない。実際にやってる、運営している、顧客が全くいないところから作り上げてきた、そんな実践ノウハウというのは、EC運営には何者にも変えがたいものだ。

ZOZO運営のスタートトゥデイ、 伊勢丹のECサイトを支援 – 2009年07月30日 – ファッションニュース – Fashionsnap.com
スタートトゥデイ(ZOZO)は、すでに「BEAMS(ビームス)」、「UNITED ARROWS(ユナイテッドアローズ)」、「And A(アンドエー)」、「HYSTERIC GLAMOUR(ヒステリックグラマー)」などのアパレル系の直販ECの支援も行っている。

アパレル業界にはアパレル業界特有の慣習だとかルールみたいなものがあるし、売り方や商品管理の方法、受注フローみたいなものも、そこには独自のノウハウみたいなものがあるだろう。スタートゥデイみたいな会社はZOZOで培ったノウハウがあるので、メーカー側も話が通じやすいだろうし、安心して任せられる。

「UNITED ARROWS」なんかは元々LICLIS(リクリス)という独自直販サイトを2007年4月25日にオープンしたが、1年を待たず2008年2月17日に閉店してしまった。
理由はわからないが、何にせようまくいかなかったということだろう。

今回、2009年9月15日に再チャレンジで自社ECサイト「UNITED ARROWS LTD. ONLINE STORE」をオープンさせるようだが、これはスタートトゥデイが支援したものだろう。
これが成功するとスタートトゥデイのアパレルECでの信頼は不動のものになるかもしれない。(でも、アパレル系って競合でもそのへんは全然気にしないんだろうか。UNITED ARROWSとBEAMSとか。微妙には違うのかしれないけど、傍から見るとけっこう同一層のお客さんを取り合うような構造になる気がしないでもない)

アウトドア&フィッシング ナチュラムなんかも、運営主体とECシステムやバックヤードの提供会社を分割して幅広くECソリューションを提供している。

ジェネシスECセンター
物流周りから店長育成みたいなECに関わる必要な業務のほぼすべてをワンストップで提供している。この会社の最大の強みはもちろん、「ナチュラム」という成功を収めた実ECサイトの構築、運用のノウハウだろう。ここはこの手のサービス提供会社にしては珍しく、かなり分かりやすい料金体系、サービスメニューを用意している。

ただし、ナチュラムは2008年に不正アクセスを受けて、顧客情報を流出している。こういう事件があると、逆にマイナスイメージが広がってしまう可能性もある。ナチュラムの場合は、その後の対応などをうまくPRに生かして、そこまで徹底してやってるという安心感につなげることには成功しているように思えるけど。(「アウトドア&フィッシング ナチュラム」への不正アクセス発生についてのご報告とお詫び)

有機野菜の安全食材宅配で有名なOisix(おいしっくす)。彼らも、オイシックスECソリューションズ株式会社という会社でECのソリューション事業を展開している。実績を見ると、オイシックスが得意としている領域の商材とは少し違うものもあるのだけれど、こちらも問い合わせが殺到しているようだ。

楽天で大成功をおさめているアンジェ web shop | angers (インテリア雑貨 セレクトショップ)
このショップの運営会社であるSELECTURE(セレクチュアー株式会社)もECトータルソリューション事業を展開している。
日流eコマースだったか何かで読んだが、こちらの事業もかなり引き合いが多く、好調だというような話だ。

アンジェをはじめとして、楽天で大成功を収めている桃源郷、北国からの贈り物の3店舗の代表らが集ったこんな会社・サービスもある。Eコマース戦略研究所 ~E研の「EC通信講座」~
こちらはコンサルティングがメイン。神田商法的な会員制ビジネスを展開している。
楽天のベストショップ経営者が教えるEコマース成功の条件 (単行本)
4532490383

EC構築のパッケージソフト大手であるecbeingも、元々はPCなどの特価通販サイトである特価COMから生まれたものだ。今やこの会社の主力事業はecbeingとなっている。
今は、ecbeing自体のほうが知名度もあるだろうけど、初期段階の営業では、特価.comで使われてるノウハウ&システムだという売り文句はお客さんに響いたんではないかと想像できる。

千趣会みたいな大手通販会社でさえ、通販事業の支援ソリューションを展開していたり、あるいは関西のWebソリューション企業の大手であるペタビット株式会社EC Direct(イーシーダイレクト)という商品を出したりしている。(千趣会は「監修」)

という具合に、他にも小さいのも含めると相当数のEC成功店舗、会社によるソリューションサービスが提供されている。
(Amazonだって、ある側面を切り取ればWEBソリューション会社、テクノロジー会社だ)

自社ECでは大成功できたし、そのノウハウを1社、2社に提供するのは問題なかったとしても、それをじゃぁ100社、200社に提供するというのは、また違ったノウハウが必要だろうし、そもそものビジネスモデルや形態も全然違う。

サービスを提供する企業全てに自社ECで開発したプラットホームそのままの機能を提供しておけば事足りるというようなもんでもないだろう。各社にあわせて独自のカスタマイズなんかも行っていくんだろうし、それはそれで色んなバージョンの色んなアプリケーションを同時にメンテナンスしたり、バージョンアップしていかなければならない。
ここも自社ECのシステムだけを管理しているのとは全く違うノウハウが求められる。

今まで本業だった領域に、こういった異種の、しかも強力なプレイヤーが参入してくることで、SIerやWebソリューション会社なんかも今まで価値としていた部分と違うところでの価値が求められるだろう。
ソリューション会社はソリューション会社で、成功報酬型のようなモデルで、自らもリスクをとっていくことを躊躇しないところも増えてきている。(papativa.jp – 成功報酬型のWebソリューションモデル)

それだけEC市場の成長が大きく、そこへの参入プレイヤーも多いということだろう。
一方で、ECなんかは「成果」が非常にはっきりとわかる世界であり、単にお客さんの希望通りに開発できる、構築できるということでやっててはうまくいかない、成り立たないということがはっきりしてきたということか。

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