WebSig24/7の資料から2009年のWeb制作業界トレンド

WebSig24/7第21回WebSigCafe忘年会の資料類がアップされていた。
イベントには参加できなかったが、この資料からだけでも、これからのWEB制作・構築という仕事を考えていくうえで参考になる。

アークウェブ中野さんの資料が、一種この会議の総括的な要素を持っているので、このシートから見ていく。(PDF 約1.4MB:「2008年を振り返り、2009年を考える

2008年波はありましたか?
という質問で、「上期が不調だった」という回答が多かったが、これはうちも同じ。絶不調まではいかないまでも、絶好調でもない。じわじわと真綿で首を絞められていくようななんともいえない感じがあった。

世間の景況とは逆行してるのか、下期(うちは10月からが会社上の下期)は東京は安定的に仕事があるような状態になってきてるけど、関西はそうでもないか。関西を拠点としている制作会社さんはどうだろうか。同じような市況感だろうか。

減ったタイプの仕事」として、

・単純な運用作業やスポット業務
・システムの絡まないサイト構築
・大規模コーポレートサイト
・静的ページのみのサイト制作


あたりが挙げられているが、これらは同じことを云ってる。

1つはシステムが絡まないサイト構築が少なくなったということ。今まで静的ページでゴリゴリ作って管理してたものはCMS導入して、みたいなことになるんだろうし、Webサイト自体の形態もカタログ的なサイトから、よりインタラクティブな、インタラクションを加味したものへとレベルアップしたということなのだろうと思う。

今後もこのトレンドは加速していくだろう。どこまでをCMS、システム絡みと定義するかは、人によって異なるだろうが、中小企業・零細企業においても、MovableTypeやらWordpressのようなブログツールをCMSとして利用することは、普通になりつつあるし、また大企業のように見栄を張る必要がないのであれば、もっと積極的に無料のツールやサービス類を活用していくということも増えていくんではないかと思う。

一方、「増えた仕事」として、

サイト運用

が上がってるが、これも「単純な運用作業やスポット業務」ではなく、

・コミュニケーション戦略の提案とプラン実施時の各メディアに即した成果物の作成
・運用業務(オペレーションという意味ではなく、1クライアントとの継続的で深い取引)。ユーザーの行動データを測るもの、利用するもの


といった戦略やマーケティング面も含めたパートナーシップとしての運用が増えたということを意味している。

メンバーズの塚本さんのドキュメント(PDF 約1.3MB:「メンバーズから見たウェブ業界の2008/2009」)では、

人材派遣含む運用の売上は増。(前年比110~120%程度)


とあり、

ウェブ総運用時代に突入。宅地造成や大規模建設はない。リフォームやメンテナンスが中心に。
・制作者がクライアントに近い位置で働く。(弊社でも制作者の常駐が増加)
・運用においては、クライアントのセキュリティ基準がきびしくなって、それに応える体制や体力が求められた。


というような指摘があるし、IMJの渋谷さんのシート(PDF 約390KB:「WEB業界の2008年/2009年」)にも

運用業務のニーズが増えた。
⇒運用って儲かるよね
⇒運用業務自体の設計
⇒共に創り共に育てる


アクセス分析/効果検証の話が増えた。
⇒KPI、PDCA、ROI…
⇒認知、ブランディングの効果検証って?


という記述が見られる。

このあたりの感覚は中堅規模以上の制作会社の人たちは、多分、同じような肌感を持っているのではないかと思う。
一方で、「単純な運用作業やスポット業務」としてやってる運用なんかはシビアになってきていて、そういうもので売上の傘をつくっているパートナー企業さんとかは結構厳しそうではある。

アークウェブさんのシートに戻ると、
仕事につながったトレンド」では、CMS、携帯向けWebサイトというような意見があがってる。
少し面白いなと思ったのは「フィジカルコンピューティング」という意見があがってることで、ここにはWEBだとかって範囲に限らず、IP技術をベースとして、様々な端末や場所、ツールを連携させていくようものが、いよいよ本格的に離陸しそうだ、という意味で考えておけば良いのかなと。

KAYACの鈴木さんのシート(PDF 約2.5MB:「今年の業績と来年のこと」)に「今年のトレンド」として

リアル連動がよりくる
携帯連動もよりくる


という言葉と共に、

.WEBカメラ
.動体検知差分見知
.モバイル
.合成


という技術トレンドがピックアップされている。

メンバーズ塚本さんも

2009年はデジタルサイネージ元年になるだろう


という社内のプランナーさんの意見を拾い上げ、

IMJ渋谷さんも

ネット以外とのデータ連携が動き出した。
⇒すべてがネットワーク化され「見える」世の中へ
⇒リアルの営業活動のデータ
⇒サイト上で申し込みした後のデータ


と語ってる。

アークウェブさんのシートの終盤、
2009年展望:来年ブレイクしそうなトレンドは?」に

GPS連動情報配信、地域ワンセグ、デジタルサイネージ
可視化されたユーザーの行動データを活用する仕組みを作る仕事。Web以外のマーケティング活動との連携


言い方や微妙な視座は違うけど、言ってる内容や方向はほぼ同じことだ。

今、Web構築・ソリューションの最前線にいる人たちは、今後のネット活用、ネットマーケティングが、今までの「WEB」という限定的領域からリアル端末や場所、データなどとの連携といった領域に広がっていくだろう、と予見している。

オールドメディアの影響力の低下の歯止めが利かなくなりつつあるなか、ユーザーの生活そのものに、どう情報を配置するのか。これらのソリューションには、リアル連携・連動が欠かせないものになっていくのではないか。
真の意味でのホリスティック・マーケティングが現実味を帯びてきたということだろうか。

さて、こういったトレンドへの肌感に対して、経営やマネジメントはどのような手を打っていくべきなのだろうか。予測はできる。普通に現場にいて、お客さんの声に耳を傾けていれば、だいたいの予測はできるはずだ。問題は、それにどのように対応できるか?
明日のために、どのような行動ができるかに掛かっている。

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