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いまさらだけど「グランズウェル ソーシャルテクノロジーによる企業戦略」
グランズウェル ソーシャルテクノロジーによる企業戦略 (Harvard Business School Press) ─ まるまる1年ぐらい遅れて本書を手にした。恥ずかしいばかりだ。
買ったのは去年の初めの方で、ざっと目を通したのだけれど、豊富な事例については面白く感じたものの、それほど深く感じ入ることもなくほとんど放置状態だった。
ふとしたことで年明けに読み返してみたら最初読んだときとは全然違った風景が見えた。自分の今の気の持ち方や肌感覚の違いが大きいのだろう。「グランズウェル」が本当に現実のものとして、そこにあるということの確かさみたいなものを実感しているからだろうか。同じ本とは思えないぐらいに、何かある種の感動みたいなものを僕はこの本に覚えた、
なので、まだ読んでない社員も多いだろうから、あえて本書を紹介しておかないとダメだろうという使命感が沸き上がってきたというわけだ。
グランズウェルとは社会動向であり、人々がテクノロジーを使って、自分が必要としているものを企業などの伝統的組織ではなく、お互いから調達するようになっていることを指す。このような社会変革も、僕自身1年、2年前にはピンときてなかったのだけれど、今はかなり現実のものとして実感できる。
この業界に身を置いているからより一層そう感じるのは間違いないけれど、もうこの流れは止まらないと思う。今は、この業界だけの狭い一部的な動きかもしれないけれど、それはいずれ大部分を飲み込んでいくに違いない。
本書で紹介されている数々の事例を読んでいると、この社会変革が愉しみになワクワクするものに思えてくる。可能性はいくらでも広がっている。もちろん本書で取り上げれている成功事例の影には、その後ろに膨大な失敗事例が眠っているに違いない。本書の通りに試したけれど、全然うまくいかない、鳴かず飛ばずの企業のほうが多いに違いない。
しかしだ。企業にとって、今までの「消費者→認知→検討→選好→行動→愛用→顧客」へとステップを踏んで成長・育成していくようなマーケティングファネルモデルが崩壊しつつあることは間違いない。大声をあげて、ファネルの入り口に人を集め、ファネルの中に入ったら、購入段階まで進んでいくような働きかけを実施していけば、それではい、顧客の出来上がり、というような時代は終わった。
本書にもあるように、「消費者を導き、会話をリードしているのは、もはやマーケターではない」。
それらは様々なコミュニケーションサービスや、ソーシャルテクノロジー上での友人や知人の推奨、ネットのクチコミなどに取って変わられつつある。そう、「人々の耳を捉えるのは会話」なのだ。
であれば、企業は変わらなければいけない。遠くからメガフォンや拡声器を手にして、誰だかわからない人々の群れに向かって必死で叫んでても、その声は誰にも届かない。自らが人々の群れに加わり、会話に参加していかなければならないだろう。
本書は、その一歩を踏み出させるために勇気を与えてくれ、肩を押してくれるものだ。
この業界の人々と問わず、企業のマーケターや経営者で、まだこの本を手にしてない人は、是非とも読んでもらいたい。
本書内で紹介される概念として重要なのは、「ソーシャル・テクノグラフィックス・プロフィール」と、「グランズウェル戦略の5つの目的」の整理だろう。この2つのポイントに絞って本書の内容を簡単にまとめる。
「ソーシャル・テクノグラフィックス・プロフィール」は、ソーシャルサービスへの参加や関与の形態によって、そのタイプを以下の6つに分類したものだ。
創造者
月1回以上ブログを書いたり、ウェブサイトへ記事を投稿したり、YouTubeにビデオをアップしたりしている人々。
批評者
ネット上のコンテンツに反応する人。レビューやコメントを書いたりする人々。
収集者
ソーシャルブックマークでURLを保存したり、RSSフィードを使って情報収集したりしている人々。。
加入者
SNSに加入して、プロフィールを更新している人々。
観察者
他者のコンテンツを利用する人々。
不参加者
これらの活動のいずれにも参加しない人々。
ソーシャル戦略の立案の際には、自社商品の対象顧客や、自社が狙う市場や社会などで、この6つのタイプがどのような割合になっているかを調査することで、ソーシャル戦略の骨格が決まる。その対象ユーザーに「批評者」が多く、「創造者」が少ないようなら、元の素材となるコンテンツはこちらで用意し、それにユーザーがアレンジを加えたり、レビューできたりするような仕組みを盛り込むというレベルに留めたほうが良いかもしれないし、「創造者」が多いユーザー層ならば、創作意欲をかき立てるようなサービスや素材類の提供などが良いかもしれない。ソーシャル・テクノグラフィックスは、ソーシャルテクノロジーをどのように活用していくかという基準や目安を与えてくれる指標だ。
本書に掲載されている「日本」の「ソーシャル・テクノグラフィックス」は、
創造者:22%
批評者:36%
収集者:6%
加入者:22%
観察者:70%
不参加者:26%
だったが、2009年度のデータを見ると、
創造者:34%
批評者:30%
収集者:11%
加入者:26%
観察者:69%
不参加者:23%
となっていた。創造者が大きく伸びていることがわかる。
(もちろん「全体」として見ているのでは、この指標はほとんど何の役にも立たない。自社商品やサービスの利用者や競合ユーザー、対象年齢やコミュニティに属する人々などの切り口でこれらの指標を見ることが重要だ)
フランスなどは加入者が4%、不参加者が57%と、ソーシャルサービスへの参加度合いはかなり低いものとなっている。それに較べると、日本はmixiやgree、モバゲーといったSNSの存在のおかげだろうか、比較的加入者の比率が高い。
この「ソーシャル・テクノグラフィックス」だが、実は、本書が上梓された頃には大きな影響力を持っていなかったTwitterが大躍進したということもあり、最新のデータでは、「会話者(Conversationalists)」という概念が、創造者と批評者の間に加わっている。日本という限定された地域でこの新しい「会話者」というタイプがどれほどいるのかはわからないが、おそらく昨今のTwitterブームなどにより、けっこう高い割合になるのではないかと思う。
Social Technographics: Conversationalists get onto the ladder
なお、この「ソーシャル・テクノグラフィックス」のデータは、色々なデモグラフィックデータとかけ合わせてウェブで確認することができる。ただ、まだこちらのシミュレーターには「会話者」が入ってない。また、残念ながら「Japan」のデータは年齢別の切り口では提供されていない。
Consumer Profile Tool (now with 2009 data)
ソーシャル戦略の骨格には、当然ながら、何を目的としてソーシャルテクノロジーを活用するのかという目的視点が必要となる。本書では、グランズウェル戦略の5つの目的として整理している。
1.耳を傾ける(傾聴戦略)
・リサーチ、顧客理解。
・顧客インサイトをマーケティングや開発に利用したい企業に適してる。
・プライベートコミュニティを立ちあげる/スローンケタリング記念がんセンター
・ブランドモニタリングを始める。
2.話をする(会話戦略)
・自社メッセージを広げる。より双方向的な手段でメッセージを広げたいと考えている企業に適している。
・バイラルビデオを投稿する/ブレンダー(料理用ミキサー)にiPhoneを突っ込んで粉砕する動画。
・SNSやユーザー生成コンテンツサイトに参加する/世界的な会計事務所アースと&ヤング(E&Y)は、毎年3500人もの新卒大学生を採用している。大学生の期待に応えるため、同社はSNSに進出。
・ブログスフィアに参加する/HPは複数のブログを用意し、様々な部署の社員が執筆できるようにした。
・コミュニティをつくる/P&Gの少女向けコミュニティ「ビーイングガール」
3.活気づける(活性化戦略)
・熱心な顧客を見つけ、彼らの影響力(クチコミの力)を最大化する。
・熱烈なファンのいるブランドに適してる。
・格付けやレビューを導入して、顧客の情熱を活用する/eバッグス
・コミュニテイを作る、顧客を活気づける/コンスタントコンタクト社
・ファンが作ったネットコミュニティに参加し、メンバーを活気づける/レゴ社
4.支援する(支援戦略)
・顧客が助け合えるようにする。顧客がお互いに親近感をいだいているような企業に効果的。
・従来のサポート⇔グランズウェルサポート/ボランティアのサポートに支えられるデル社
・Q&Aコミュニティ/ティーボ社、ケロッグ社はヤフーにダイエット希望者のコミュニティ
5.統合する(統合戦略)
顧客をビジネスプロセスに統合する。難易度が高いので、他の4つのいずれかの戦略を達成してから選択することが望ましい。
これら5つは従来のマーケテイング目的でいくと、
傾聴→リサーチ
会話→マーケティング
活性化→セールス
支援→サポート
開発→統合
となるものだ。
ソーシャルテクノロジーの活用においては、「リサーチ」は「傾聴」であり、「マーケティング」は「会話」となる。それはB2Bであっても、B2Cだっても、ソーシャルテクノロジーにおいては「人」と「人」との関係性に帰結するということを物語っている。「リサーチ」ではなく「傾聴」戸考えること、「セールス」ではなく「活性化」と考えること。この視点は単なる言葉の違いを超えて、非常に重要な観点だ。
企業やマーケターは、ついついグランズウェルにおいても、今までのマーケティングの手法や視点を持ち込んでしまいがちだ。しかし、それでは決してうまくいかない。今までのような「群集」や「マス」でなく、生身の血の通う一人ひとりの人間が相手なのだ、ということをしっかり肝に銘じておく必要がある。そのためにはこういった言葉のレベルでもその違いをきちんと理解して共有しておく必要がある。
本書にもグランズウェル戦略を始めるには「小さく始める」ことが大事だとある。こういう意識部分から始めて見るのも良いのではないか。
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顧客ロイヤルティを知る「究極の質問」

「その数学が戦略を決める」は、今日大規模なデータが簡単に集まるようになり、またその大規模なデータを解析できるコンピューター環境が整ってきたおかげで、今まで人でなければ不可能と考えられていた「決断」や「判断」や「評価」の領域にコンピューター(本書では「絶対計算」というような言葉で表現されているが)が侵食してきている様を描き出した非常に面白い本だ。「絶対計算」対「人間」では、ほとんどの場合「人間」が負けてしまうという事例を様々な分野にわたって説明している。
本書の冒頭に「ワインの値段の予測」に関する話が出てくる。
通常ワインの評価は、専門家や評論家たちが「ワインを口にふくんで吐き出す」というような方法をとる。よく見る光景だ。「今年のボルドーのワインは最高の出来」とか「今年のボジョレー・ヌーボーは10年に1度の出来だ」みたいなことを囁くのは、そういった専門家たちが、実際にテイスティングして判断している。
ここにオーリーという人物が登場する。彼は数字を分析してボルドーワインの品質を評価した。ワインの古典的な感覚的な評価方法ではなく、ある生産年の特徴がワイン競売価格の高低にどう影響するかの相関性を統計的に分析した。
彼が導き出したワインの価格を決定づける方程式は極めて単純な前提から説明できた。それは、
「収穫時期に雨が少なく、夏の平均気温が高かった年に最高のワインができる。」というものだ。そして、この前提は次のような式で表現できると導き出した。
ワインの質=12.145+0.0017×冬の降雨+0.0614×育成期平均気温-0.00386×収穫期降雨
ワインの批評家や専門家はこのような単純な式で、ワインの評価ができることを鼻から信じずバカにした。けれど、オーリーはこの式で収穫前のワインの値段や評価を予測し、見事にそれらを的中し続けた。

似たような話は、「マネー・ボール」( papativa.jp – マネーボール)という本の中にも出てきた。
この本は、アメリカ大リーグの弱小チームだったアスレチックスが常勝チームに変わっていくまでの過程を描いたものだが、いわゆるありがちなお涙頂戴的な熱血青春要素はほとんどない。アスレチックスが常勝チームに変わることができたのは、球団のGMであったビリー・ビーンが生み出した方程式「得点数=(安打数×四球数)×塁打数÷(打数+四球数)」にあった。
これはチームの得点力を求める方程式だ。自身のブログにも書いたとおり、「この公式を使うとメジャーチームのほとんどの得点が正確に予測できてしまう」のだ。そして、重要なのは、「この公式にはチーム打率や盗塁数などが入ってない。つまり、打率や盗塁数は得点を生み出すことにたいして重要ではない」ということ。
この方程式の理論に則って考えると、例えば、足の速い盗塁ができる選手よりも、選球眼の良い四球が多い選手のほうが重要ということになる。実際、この理論に沿ってチームの改革を進めていき、アスレチックスは万年Bクラスチームから、常にAクラスで優勝を争うチームに生まれ変わったのだ。
これらの話は、非常に複雑に思えるものや、数量化や方程式化するのが難しいだろうと考えているものが、意外と単純な要素で簡単な方式で推量することができることを明らかにしている。
その意味では、この「顧客ロイヤルティを知る「究極の質問」 (HARVARD BUSINESS SCHOOL PRESS) 」という本も同じようなことを明らかにしたと言えるかもしれない。

この本を知ったのは、最近になってようやく「グランズウェル ソーシャルテクノロジーによる企業戦略 (Harvard Business School Press) (ハードカバー)」を読んだからだ。買ったのは随分と前のことで、ざっとは読んだのだけど、途中で放置してた。なんだかふと思い立って手にして読んだら、うーん、なんでこれをちゃんと読んでなかったのかとすごく後悔したのだけど、まぁ、それはいいとして、本書の中に、この本が紹介されていたのだ。それもここ数年で発売されたビジネス書の中でも最も重要な本のうちの1つだと絶賛されていた。(「グランズウェル」についてはこれはこれで別途エントリーにまとめようと思う。)
「顧客ロイヤリティ」を測定するための単純な質問は、つい最近読んだ、「顧客の信頼を勝ちとる18の法則-アドボカシー・マーケティング-」(papativa.jp – 顧客の信頼を勝ちとる18の法則-アドボカシー・マーケティング)でも紹介されていて、ブログにも書いたところだった。なんとなくここには偶然の導きがあるなと感じたので読んでみたのだが、ほんとに素晴らしい本だった。少なくとも経営者は読んでおいたほうが良いだろう。
「顧客ロイヤリティ」というものも、重要であることは誰もが理解しているに違いないだろうけれど、実際、じゃぁ顧客ロイヤリティをどの測定したらいいのかということへの回答は誰も持っていなかったというのが現状ではないだろうか。さらに、顧客ロイヤリティが収益力や成長性や売上といったものと相関性を持ってることを証明することも難しいことは言うまでもないし、また、仮に、複雑なアンケートや調査を行って「顧客ロイヤリティ」を導き出すことができたとしても、それを導き出すための変数があまりにも多く複雑だと、その結果をもって顧客ロイヤリティをどのように育成していけばいいのか、獲得していけばいいのかというフィードバックがそもそも出来ないという問題もあったわけだ。
そこで本書の考え方が登場する。タイトル通りこの質問はまさに「究極の質問」だ。長年、顧客ロイヤリティを様々な角度から調査したり評価しようと考えてきた専門家や企業幹部から見たら、拍子抜けするぐらいに単純化されている。
その質問とは、「X社を友人や同僚に薦める可能性は、どのくらいありますか?」と訊くだけだ。
(X社のところは「製品名」とか「サービス名」とか、顧客ロイヤリティを測定したい対象名を入れれば良いだろう)
これに10点満点で何点かを回答してもらう。
10点は薦める「可能性が非常に高い」
5点はどちらでもない
0点は「可能性が非常に低い」
直感的に何点かをつけてもらえば良い。回答結果は3つのセグメントに分けられる。
10点、9点をつけた顧客は、「推奨者」
8点、7点をつけた顧客は、「中立者」
6点以下は「批判者」
となる。
(ただし、欧米では10点満点で10点、9点がAAやAを表すということや、6点以下がダメというのは誰もが理解していることかもしれないが、日本には残念ながらそういう文化はないので、ここには少し工夫は必要かもしれない。日本では5段階評価のほうが馴染むかもしれないし、あるいは10段階評価にしてもその裏側についての説明が必要かもしれない)
推奨者は、その会社やサービスへの満足度が高い。このセグメントはたいていの場合、再購入率が高く、顧客維持率も高い。そして、紹介客の80%は、このセグメントの客に薦められている。
中立者は、「受身」で満足しいている状態。ロイヤリティではなく、惰性が動機づけになってる場合が多い。
批判者は、その名の通り。否定的なクチコミの大部分は、このセグメントから発せられる。
そして、ここでも以下のようなシンプルな計算式が登場する。
推奨者の割合 – 批判者の割合 = 推奨者の正味スコア(NSP)
このNSPが収益性や売上などと相関性を持つ指標となる。
いろいろ事例が出てるので、本を読んでもらえればわかるが、平均的にはNSPが12%ポイント増加すると、企業の成長率が倍増するとある。
また、NSPは、ほぼどんな業界にでも使える指標でということを、膨大な調査とサンプル収集、分析によっても明らかにしている。(一部、一部のプレイヤーでの支配性が高い市場や、そもそもその市場において顧客が他に選択肢を持てないような領域においては該当しないケースもある。)
企業はこのNSPスコアを定期的に測定して、このスコアをあげることを目標にすることで、「顧客ロイヤリティ」という裏付けを伴った、売上や利益などの評価ができるわけだ。
顧客ロイヤリティを「推奨意向性」だけで測定し、さらにそれを推奨者と批判者の割合からNSPという指標を出す。
この単純さがいいのは、顧客ロイヤリティを伸ばすのは、とにかく自社や自社サービス、商品を他者(社)に薦めてもらえるようにしなければならない、という実際の企業行動や活動に繋がりやすいということがあるだろう。
複雑な計算式で導きだされていたら、何を重視したらいいのか、どこをどうすれば改善できるのかが直感的にわからない。
推奨意向者を増やす/批判者を減らす、というのはとにかくわかりやすい。わかりやすいということは行動に繋がりやすいということだ。
数値化するということもすごく重要なことで、たいていの場合、数値として表せないものは改善していくのは難しい。
NSPのような指標があるから、いかにして推奨者を増やすかと、いかにして批判者を減らすかということに意識が向くわけで、これがただ掛け声として「顧客ロイヤリティを高めよう!」だけでは、なかなか実際のところ顧客ロイヤリティを高めることはできない。そもそも高まってるかどうかの判断もできない。
少し話は脱線するが、うちの会社では労働時間の長さというのが常々問題になっていた。
それは今も解決したというわけではないけれど、でも改善に取り組みだしてからと比較すると、実際、今はものすごく改善されていたりする。
この問題に取り組みだしたのは今から4年前で、それまでは勤務時間とか労働時間は、もちろん測ってはいるけど、それをちゃんと意識して見たことはなかった。なんとなく感覚的に今月は稼働が高いなとか、帰りが遅いなとか、あのチームは高稼働が続いてるなというようなことを見てるだけだった。
ある出来事の後から、勤務時間や労働時間を事務所やチームなどで細かく見るようになった。事業経営会議でもその数値は報告されるし、役員には強制的にデータが毎月集計されて送られてくる。
そうすると人はそれについて意識する。意識するというのは重要なことで、数値が悪いとなると、改善していかないとという思考が働く。短期的にすぐに変わるかというとなかなかそういうわけにもいかないのだけれど、それでも意識しているか、意識して行動しているかで、結果は随分変わってくる。
意識しだしてからの実際の数値は、かなり改善されてきてるのは事実だ。
このブログを読んでる人の多くは、うちの社員で、社員からしてみたら、まだまだ全然だよという人も多いとは思うけれど、それでも4年前に較べるとものすごい改善されている。(まぁ、このあたりのことは「感覚的」「精神的」なところも大きく影響を及ぼすだろうから、数値はそうでも感覚的には違うよ、という声があるだろうとも思う。)
今の状態がベストだとも思ってないし、まだまだ改善の余地はあるわけだけど、数値化して意識することや、その数値がどう推移しているかを見て、状態が良くなってるのか悪くなってるのかを把握するということは、そもそも「改善」に取り組んでいくということにとって、すごく重要なことだということを言いたかっただけだ。
さて、本書には、この質問を活かしていくためのヒントや、気をつけないといけないことなどが色々説明されている。
質問はすごく単純だけれど、単純であるがゆえに、使い方を誤ると、全然意味のないものになってしまうので、それは本書を読んで注意をしてもらいたい。
僕はこの本を読んで、この質問は、顧客に対して利用できるのはもちろんだけど、他にも応用できる要素がたくさんあるなと考えた。1つは「従業員」に対してだ。従業員の会社にたしての満足度や評価みたいなものにも応用できるのではないか。
最近は、従業員へのマーケティングみたいなことも話題にあがる。どうやって従業員のモチベーションを高めるのかとか、それを専門に調査したりコンサルティングしたりする会社もあるぐらいだ。
そういった会社の調査や分析はそれはそれで無意味なものではないと思うけれど、実は、従業員の満足度だって、この質問やNSPでほぼ把握できるのではないか。もちろん、誰がどんな回答をしたかということが分かってしまうと、それがバイアスになってきちんとした評価ができなくなるという点は、従業員の場合にはよりシビアだろうけれど、そのへんをうまくカバーできれば、「推奨意向」と会社への満足度とか、ロイヤリティは近しいものになるのではないだろうか。
そして、これはどうだかわからないけど、会社へのロイヤリティが高い従業員が増えれば増えるほど、企業としての競争力も高まるのではないかとも思う。(が、もちろん、単に会社への満足度が高いだけではだめで、その前提として、その会社が顧客に対しても高い満足度を与えられているということは必要。そうしないと、従業員にとっては居心地いいけど、顧客から見たら、ダメな会社みたいになることだって十分考えられる)
経営者は顧客ロイヤリティを高めるということももちろんだけれど、自社を他者(社)に熱狂的に推奨してくれるような従業員をつくっていくことも仕事の1つなのではないか。そのための環境や制度やルールやポリシーや理念、仕事のあり方やサービスの内容、どのような顧客と付き合うか、といったことを考えていかなければならないのではないか。なんとなくだけどそんな風なことを考えていて、本書の「質問」が従業員の満足度を考えるヒントになった。
あと、ECサイトなどでのサイト運営などでPDCAサイクルを回していく際にも、単純にセッション数だとか、カート放棄率や、コンバージョン率みたいなアクセス解析数値だけではなく、こういう指標もKPIとして設定していく必要もあるかもしれない。(となると、末端顧客から評価を収集して、分析するという仕事が必要になる。) NSPと収益性が連携していることは、本書で十分に示されているので、このKPIを高めることは、すなわちゴール=たいていの場合は売上最大化とか利益とか?をもたらすことに直結していくだろうし。経営者にはオススメと書いたけれども、こういうところにも応用は十分可能だと思うので、現場の人でも一読する価値はあると思う。
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凡人が最強チームに変わる魔法の営業ミーティング
凡人が最強チームに変わる魔法の営業ミーティング (単行本(ソフトカバー))
佐藤さんの本は「凡人が最強営業マンに変わる 魔法のセールスノート」も非常に面白くて、こちらの本で提唱されていた予算を知るためのマジックワードと簡単な計算方法は、今でも、僕は多くのスタッフにネタとして話をするぐらいだ。すぐに読めて、内容も簡単で、明日からでも始めたくなる要素が満載だ。( papativa.jp – 凡人が最強営業マンに変わる魔法のセールストーク)
今回は、「営業ミーティング」というすごく限られた分野でのテクニック。
営業ミーティングが単なる営業状況の報告会になってるケースはうちの会社でも多く見られる。上司と部下みたいな関係で、上司が部下の状況を確認して、部下はただ、状況を報告するだけ。そこには想像的なものがまったくない。会議というより「報告会」。得られるのは、上司が状況把握できて安心できたというぐらい。個々のスタッフにとっては、他の人が報告している時間の大部分を無駄な時間ぐらいに感じてたりする。(他の人の状況から得られるものも多いはずだけど、現場のスタッフレベルはこのあたりの意識は多分低い。自分が報告することがどうしてもメインになってしまう。)
状況報告が悪いことでもないけど、そんなものはメールでも済ませられる。せっかく多くの人が同時に集い、時間を共有するのだから、その場でしか出来ないことをなすべきだとは思うのだけれど、なかなかどんな手順で進めれば良いのかアイデアがない。
と、いうようなことに悩んでる方はけっこういるんじゃないだろうか。
で、この本を見つけてこの本を手にしたというわけ。
佐藤さんらしいシンプルなプロセスとロジック、そこにハッとした気づきが得られる問いかけや手法が混じる。
佐藤さんが唱える「凡人が最強チームに変わる魔法の営業ミーティング」とは、ずばり以下の5つのステップを実行するだけだ。
1 今の営業の「全プロセス手順」をハッキリさせる
2 その手順のなかから、改善させたい「部分」を決める
3 成果に直結しそうなヒントを探る
4 試して実行できそうなアイデアにまとめる
5 そのアイデアを実際に行って「結果を観察」して、1に戻る
1は現在の営業手順をみんなで共有することが目的なので、うまくいってるところやいってないところは関係なく、今のところはこういう手順でセールスしているというものをアウトプットする。
2は部分にフォーカスを当てる。当てる部分はどこでもいい。良くしたいと思ってるところからピックアップすれば良い。
3がこの本の心臓部分となるところだ。
どうやって成果に直結しそうなヒントを探すのか?
「たとえ999回失敗したとしても、例外的にたった1回だけでも成功したのだとしたら、その1回に注目する」
というアプローチをとる。
つまりどんな事例でも良い。とにかく成功したい状況について、その状況を事実して整理するのだ。
ポイントは、とにかくうまくいったことにだけ注目することと、その時の状況を事実だけで整理すること。
状況を整理するためのテクニックとして、著者は「ビデオ再現法」を説いている。
「◯◯さんというお客さんに限って言えば、そこで何が起きていたのか、事実をビデオを再現するかのように教えてください」
これが成功した事実だけを引き出していくための問いだ。
ここでの整理がそのまま、4のステップにつながっていく。
「成功事例のなかに、共通していることは、何か?」
「それらの共通点から、アイデアがあるとすれば、何か?」
ステップ3で得られた「事実」を材料として、そこから仮説を立てていく。
ステップ3を経ることで、ステップ4でのディスカッションが始まるというわけだ。
ここでも、そうは言ってもなかなかアイデアがでない会議ではどうするか?
「あえて言うとすれば?」というフレーズを使うことや、二人ひと組で相談させる方法などが提唱されている。これはファシリテーターのテクニックの一つだが、覚えておきたいところ。
そして、ステップ4であがったアイディアをステップ5で実践する。ステップ4でまとまった「実行できそうなアイディア」を実際の実行に移すステップだ。欲張らず、出来ることから絞って実行する、ということが大事だ。
佐藤さんは、「営業ミーティングは何度でもある」と言う。1回ですべてをやる必要はない。これを試したらどうだったかを次の会議で共有して、また別の案を試してみてと、何度もチャレンジしていけばいい。
語られていることや内容はすごく簡単なことばかりだけど、じゃあこういう方法を試したことがあったかというとほとんどなかった。早い人なら30分程度で読みきれるような内容だとは思うけれど、得られるものはあると思う。
特に営業系の部門のマネジャーやリーダーを任されれてる人、チームを引っ張っていかなければならない人にはオススメだ。
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顧客の信頼を勝ちとる18の法則-アドボカシー・マーケティング
新年一発目で紹介する本はこれ。非常に読みやすく、且つ事例が豊富でとても面白い。
こういう本は読んどくべき。本書の考え方はもちろんだけれど、ここで紹介されている事例は、様々な分野、業態にまたがっているし、対象範囲も広い。こういう事例は知っておくだけで色々ヒントにもなるし、仕事においても必ず役立つ場面があるだろう。
顧客の信頼を勝ちとる18の法則-アドボカシー・マーケティング- (単行本)
アドボカシーとはあまり聞き慣れない言葉だけど、「支援」「擁護」「代弁」等の意味で、つまり、アドボカシーマーケティングとは、「徹底的に顧客側に立って物事を考え実行する信頼ベース」のマーケティング手法のことを意味する。
これだけ聞くと、なんだ「顧客志向」「顧客第一主義」かと思ってしまいがちだけれども、本書で紹介される事例は、生半可な掛け声だけの「顧客志向」や「顧客第一主義」ではなく、真に顧客側に立つということがどういうことかを教えてくれる。
徹底した顧客志向ではノードストロームやリッツ・カールトン・ホテルなどがすぐに思い浮かぶ。本書内でもたびたび事例として登場するこれら企業だが、彼れが実践しているのは、自社の利益よりもまず顧客の利益を優先するという徹底的な姿勢だ。「顧客志向」といっても、ほとんどの企業は、自社の利益があって初めて顧客の利益となるのが普通だろう。しかし、真にアドボカシーな企業は、そんな常識さえも通用しない。たとえ自社に不利になることや、自社の利益に結びつかないことでも、顧客への「支援」「擁護」に惜しみない力を注ぐ。それが顧客ロイヤリティを高め、長期的には利益につながるということを知ってるからだ。
自動車保険会社の米プログレッシブ(Progressive)は、他の保険会社の保障内容を州単位での比較できるようなWebのサービスを提供していたり、商用トラクター販売のジョンディアは、競合他社のトラクターとの比較情報まで提供している。
自社に都合の良い情報だけを寄せ集めて発信したり、比較情報にしても自社製品やサービスにたくさん◯が付くように恣意的に作られた意味のない比較表などでは、もう消費者は簡単に見抜いてしまう。隠したり、誤魔化しても徹底的に調べられてしまう。であれば、欠点も含めて自身を曝け出し、真に顧客視点にたったサービス&サポートを徹底し、顧客の信頼を獲得していくほうが良い。人は「正直」が欲しくなる。「信頼」を獲得することを第一義に考える。
もちろん、こういう考え方の背景には、自社の製品やサービスに自信があるということは当然必要で、そこに磨きをかけていかなければならないことは言うまでもない。本書でも、「どこにも負けない品質に価値がある」(質の法則)というものの必要性が語られている。品質に磨きをかけ、自信があるからこそ、すべてを曝け出す。すべてを曝け出すからこそ品質レベルを高めなければならない。どちらが先というわけではないだろうが、どちらにせよ強い信念と覚悟を持って取り組まなければいけない。
また、本書内には他にも様々な事例とともに、アドボカシー・マーケティング実践のためのヒントが散りばめられている。その分野だけで有に一冊は本がかけるんじゃないかという内容の断片がいくつも盛り込まれているので、何度でも読み直したい。実際の企業と事例も豊富なので話のネタとしても知っておくと使えそうなものばかりだ。
例えば、顧客ロイヤリティを測定する方法として、顧客に次のような質問を行い、その結果を定量的に分析するという事例が紹介されているが、これなんかも簡単、単純だけれどすごいノウハウだと思う。
「この会社を友人や同僚に紹介したいと思いますか?」これだけだ。なるほど。推奨意向を訊けば、それはそのまま顧客の企業に対してのロイヤリティを表す。
「ぜひ紹介したい」を10、「全く紹介したくない」は0、「どちらでもない」を5といった段階評価で設定し、顧客にアンケートを行う。その結果、顧客は「推奨者」「中立者」「誹謗者」のいずれかに分類することができる。
推奨者を増やして、誹謗者を減らすことが顧客ロイヤルティ育成の実践となる。
飛行機業界、レンタカー業界などでは明らかにロイヤルティと利益成長率に相関性が見られた。
ロイヤリティと売上や利益の相関性というのは、あまりきちんと測定されたものを見たことがなかった。この調査では明らかに、ロイヤルティが売上増とコスト減に貢献するということが明らかにされていて、なかなか興味深い。
本書内で紹介されている事例の幅広さや内容を見ると、「アドボカシー」という言葉で括られる活動や事業が極めて広範囲ということに気づくだろう。「アドボカシー」という新しい言葉(少なくとも僕は全然知らなかったのだけど)で括ってるので、何か最新のマーケティング手法や仕掛けなのかと思うかもしれないが、決してそういうものではなく、どちらかというと典型・基礎的なマーケティングについて、もう一度、「アドボカシー」というキーワードから見直してみたというような内容なのだ。以下は備忘録として一部事例を抜粋。
●患者本位の医療方針を貫くメイヨ・クリニック
患者数ではなく、提供する価値によって一定の給与が支払われる仕組みを取り入れ、患者一人一人に十分な時間をかける。
●ネスレグループ
ロイヤルティ育成の徹底、顧客の声(VOC)を商品開発や広告展開などへも生かす
●オーケーストア
正直すぎる説明書きが店内のあらゆる商品につけられるスーパー。
●ハーレーダビッドソン
ハーレーをコアにした生活提案「ライフスタイル・マーケティング」を実践。
●USAA
顧客を会員と呼び、会員の保険料を最適にすることを第一に、自社の儲けが少なくなる安い保険料のアドバイスも行う
●ニコン
外部部品を除いた内部一式部品をまるごと交換することで修理時間の短縮と品質向上を図りる「クールピットサービス」
●MKタクシー
徹底した従業員教育、顧客志向で、タクシー業界の慣習や常識を打ち破る
●Z会
毎年1000万通以上あったDMをなくして、ネットでのSNS「パルティオゼット」の開発と運営費にまわした
●アスクル
単体を「小アスクル」、メーカーやエージェント、顧客までも含めて「大アスクル」として定義し、大アスクルでの利益の最大化を目指す。
●TOTO
流通業者との信頼関係構築「TOTOリモデルクラブネットワーク」。
全国各地のエリアごとに「リモデルクラブ◯◯店会」を発足させて、同じエリアで活動する競合同士がコミュニケーションをとれる仕組みを提供。
●SASインスティチュート
利益は公開せず、世界からの注目を浴びることを避け、従業員を一番大切にする企業文化。
「幸せな社員がお客様を幸せにする」の企業ポリシー。年間離職率平均22%というソフトウェア業界において、SASの離職率は4%。
●未来工業
年末年始に約20連休、GWに10連休を含めて年間の休日は140日。仕事は4時45分まで。
それでも給与水準は地域で一番。高いQWL(Quality of Work Life)を実現して、従業員満足度を高め、高い生産性をあげる。
●IKEAのサイト
Annnaと呼ばれるバーチャルオペレーターの導入。
(バーチャルオペレーターは、インテルの消費者サポートサイト導入の事例では、PCカメラ用ソフトのダウンロード成功率で63%→85%となった。これだけで年間100万ドル以上のコスト削減になったそうな)
そして、ジレットの元会長兼CEOジェイムズ・キルツの言葉。
「リスクテイクを奨励する必要があります。我が社では、成功の反対は失敗ではなく惰性であることを常に心に留めておくことをテーマにしています」
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「買いたい人」を絞り込みリピート購買を増やせ!―カタリナ流ターゲット・マーケティング
これもH氏に借りて読んだ本。最近、H氏の机には魅力的なタイトルの本が並んでいる。
H氏が読む前に少し拝借して、ざっと流し読みしてした。
「買いたい人」を絞り込みリピート購買を増やせ!―カタリナ流ターゲット・マーケティング (単行本)
たかがクーポン。されどクーポン。
クーポンにもこれほどまでにバリエーションがあるのだということに驚いた。
カタリナ社では、買物客がレジで会計を済ませた瞬間に、レジに併設された専用プリンターから出力され、手渡しされる「レジクーポン(R)」をソリューションとして提供している。
この「レジクーポン」は従来のばら撒き型のクーポンとは違い、買物客が「その日何を買ったか=トランザクションベース」と、「過去に何を買ったか=買い物履歴」ベースの2つから、その顧客に最適なクーポンを生成することができるというのが大きい特徴となっている。
「特定の商品グループの購入有無によるターゲティング」でも、こんなに多くのクーポン発券パターンがある。ただ、日本ってあまりメーカークーポンは馴染みがないので、カタリナ社のソリューションでどこまで対応できるのかはよくわからない。
■ベーシック
・特定商品グループの購入者に発券する。
自社(●●会社)のお米購入者に「次回、●●会社のお米をお買い上げの際に、××円値引き」。継続購入促進。
■プログレッシブ・ヘビー・ユーザー
特定商品グループ購入者の購入個数に着目する。
購入個数が2~4個なら、「次回5点お買い上げで50円引き」、5~9個なら「次回10点お買い上げで100円引き」
■フィックスド・プライス・ベースド
小売店での店頭販売価格の変動に対応し、店頭価格に応じて異なるクーポンを発券する。
店頭で定価販売されていたら「次回50円引き」、定価より30円安く販売されていたら「次回20円引き」等。
実売価格を維持した販促を行いたい際に有効。
■プライス・ベースド・レギュラー
競合商品の価格に応じて3種類のクーポンを発券できる。
「例えば、自社商品の店頭販売価格が100円の時、競合商品が80円以下、81~109円、110円以上などのパターンに分け、その日の競合商品の店頭かかっくに対して優位性のある値引き価格が印字されたクーポンが発券できる」
■アマウント・オブ・トリガー
一度の買い物で、特定の商品グループ内の商品の購入金額が設定した金額以上になった購入者に発券する。「ビールを××円以上購入したら、●●円のお買い物券を発券」
■リンクド・イベント
複数の商品グループからそれぞれの商品を購入した人にクーポンを発券する。
焼酎とポン酢と調理用シート購入者というように。
■ディドント・バイ
特定の商品グループを購入しなかった人に「次回●●商品をお買い上げの際、××円値引き」など。新規顧客開拓・離反呼び戻しなどを目的とする。
■ディドント・バイ/ディド・バイ
特定の商品グループを複数設定できる「ディドント・バイ」。
特定商品グループ1内の商品は購入せず、特定商品グループ2~9内だけ購入した人をターゲットとするなど。
■フランチャイズ
上記のターゲティング方法を組み合わせて、こ入う内容によって細かくターゲティングされた購入者へクーポンを発券する。
「特定の商品グループ購入以外の条件でのターゲティング」としても、
■オーダーサイズ/プレグレッシブ・オーダーサイズ
購入総額が設定された最小購入金額以上になった購入者にクーポンを発券。
購入総額の引き上げが目的。1000円以上の購入なら次回100円引き、2000円以上の購入なら次回200円引き等。
■カードベース
ポイントカードなどのカードを使用した場合にクーポンを発券。
カード会員のメリット拡大などを目的とする。
などのパターンが紹介されている。
僕などは、クーポンといえば、ホットペッパーのような新規客呼び込み用のクーポンか、店頭で貰うリピート用のクーポンの2つぐらいしか知らなかった。
購入総額を増やしたり、特定カテゴリーに興味を持たせることで、購入品数を増やすなど、色々な活用方法があるということを知ることができて、これだけでもこの本を手にしたかいがあったなと思う。まさかこんなに奥深いとは。
全部が全部ではないけど、当然、オンライン店舗のマーケティングプログラムにだって、こういう考え方は応用できるだろう。特に総合系のショッピングサイトでは、かなり有効なのではないだろうか?
イオンとか、イトーヨーカ堂とか、ファミリーマート.comとか、あの手の総合ECサイトはどうだろうか。すでにこの手のプログラムは盛り込み済みだろうか?
カタリナ社は、世界のスーパーマーケットチェーン4.7万店舗(米国のスーパーマーケットの全売上高の75%、日本のスーパーマーケットの45%をカバーしているそうだ)をネットワークに持っている。店舗にPOSスキャナーを提供し、POSスキャナーを通じてリアルタイムに消費者のデータを収集・分析できるインフラを構築している。
結果、カタリナ社は全世界で1.55億人(世帯)分の「購読者ID・FSP番号」を保持し、毎週3.5億回文、年間180億回分のショッピングバスケットデータを分析できるそうな。
データベースサイズは1.4ペタバイト。とてつもない量のデータを分析しているのだ。
こういった圧倒的な実データを元に分析した結果、
たった2.5%の買物客が、平均的なCPGブランドの売上の80%を占めている
とか
研究された1364ブランド、すなわち製品ジャンルの中でも最も人気のあるものすべてのうち、各々の売上高の80%を10%以上の購入者層が占めていたのは25ブランドに過ぎない
などという衝撃的なデータを発表している。
これはもう20対80の法則どころの話ではない。もちろんこのデータはアメリカの消費者の行動分析なので、そのままでは日本の市場もそうだと言い切ることはできないだろうけれど、それにしてもこれほどまでに偏りがでるのは衝撃的だ。
なにせ、あのコカ・コーラでさえ、ブランド合算の売上高の80%を占めていたのは18.8%の重要消費者だというのだ。(ここでは20対80の関係が成立してるけれど、それにしても世界的ブランドのコカ・コーラ社の商品でさえ、こんなに偏りがあるということに驚く)
カタリナ社の分析から見えてくるのは、今まで、マーケティングの常識とされていた考え方が通用しなくなりつつある世界の片鱗だ。
●ロイヤルティを持っていた上位顧客が、翌年以降も上位顧客である割合は18.6%
●8割以上の顧客が翌年には何らかの理由でブランドとの距離を置いてしまう。
さらに衝撃的な数値は続く。
この8割のうち、32.7%は、そのブランドをまったく買わなくなってしまう。24.9%は、そのブランドを含むカテゴリー自体を買わなくなってしまう、というデータだ。
ブランドロイヤルティの向上やら維持みたいなことをマーケティング戦略の基礎として位置づけていても、そのカテゴリー自体買わなくなってしまったらそのロイヤルティなんて何の意味もないわけだ。
本書では、このように今まであまり見たこと聞いたこともなかったような消費の世界が垣間見られて面白い。
また、本書は一般的なGMS(総合スーパー)やSM(食品スーパー)では、どんな消費行動、消費構造になっているのかということも、いくつかの実データと共に明らかにしていて、それも興味深いものが多いのだ。
平均客単価が顧客ボリュームゾーンではない、というような盲点や、購入者は買上品目で金額をコントロールしていることが分かるというようなデータ、そして客単価の最初の壁が3,000円であることなど。
こういったデータや、普段何気に流してた数値の裏側などの意味を読みといていく手法は、決して実店舗だけに有効なのではなく、僕らが手がけているようなオンライン店舗などのマーケティング戦略にもそのまま応用できるものだろう。
全体的には、カタリナ社自身のプレゼンテーション的な意味合いが濃い内容ではあるけれども、特に総合系のショッピングサイトなどを手がけている人は読んどいて損はないと思う。
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